暮らしに役立つ、知恵がある。

 

広告

坂東玉三郎さんの新しい試み——コンサートの構成・演出、MCも。実力派兄弟デュオの歌声を、新橋演舞場で堪能

歌舞伎俳優・坂東玉三郎さん。歌舞伎だけでなくその芸術活動は多彩にわたり、近年では新橋演舞場と大阪松竹座で上演された『星列車で行こう』の演出、ブルーノート東京など全国各地で自らのコンサートを開催するなど精力的に取り組んできました。

文・クロワッサン編集部

このたび、2026年の4月にアコースティック兄弟デュオのコンサートを構成・演出、さらにMCも担当することが決定。公演タイトルは『木村竜蔵 木村徹二が歌う 坂東玉三郎の世界』。場所は新橋演舞場、木村兄弟は演歌歌手・鳥羽一郎さんの実の息子。先日都内で行われた取材会の様子をお伝えします。

演出のプランを語る坂東玉三郎さん
演出のプランを語る坂東玉三郎さん

――今回のコンサートを開催されるきっかけを教えてください。

坂東玉三郎さん(以下、玉三郎)以前、鳥羽一郎さんとこのご子息ふたりが出ておられるテレビの番組を見ました。おふたりが歌ったり喋ったりする中で、お父さまを尊敬し教えを尊重して、いい意味で恐れを持っていることが画面からわかりまして、大変素晴らしいなと。ぜひ生で聴きたいと思ったのですが、ふたりのコンサートと私のお芝居が重なってなかなか行けなくて。そうしたところ、たまたま僕が名古屋に用事があったときに現地でおふたりのファミリーコンサートがあり、拝見できました。素晴らしかったです。

そのとき、チケットが取れなかったものですから松竹の人に頼りまして。僕は大体他のお芝居とかコンサートとか見るときは自分で買って、そっと帰るんですけども、そのようなわけで繋がりができてしまったので、ご挨拶をすることになりました。僕は舞台裏に訪問するのも割と苦手なので、開演前にお目にかかってそのまま帰ったんです。
それで食事をしたいなと思ってお弁当を買って新幹線に乗りましたら、鳥羽一郎さんと同じ車両だったんです。「今日はこういうわけで拝見に行きました」って伝えたら、鳥羽さんが「玉三郎さん、僕と同じ誕生日ですね」って。「あ、調べてるんだな」と思いました(笑)。

そんなご縁から、ご兄弟の事務所から「何かご一緒にできたら」というお話をいただきました。僕は芝居の演出はしておりましたけれども、コンサートというものを作るのは初めてなので「ぜひやらせていただきたい」とお話しいたしました。

この間ふたりと打ち合わせをしましたら「トークを重要視している」ということでございました。特に徹二さんは気遣いの方で、みんなが黙っているとひとりで喋っている感じです。でも今度のコンサートはふたりは歌うだけに専念されて、僕が喋るというのはどうか?ということになりました。鳥羽一郎さんや叔父の山川豊さんのコンサートだと、客席へのご挨拶とか花束頂くとか、サイリウム振ったりとかがあるんですけど、今回はシックなコンサートにしましょうと。サイリウムはアンコールまでお待ちいただき、プレゼントは歌の間はお待ちいただき、拍手も、私がそれを前で止めるという役で(笑)おしゃべりをさせていただきたいと思っております。ふたりとも素晴らしい歌い手さんですので、皆さまにご紹介してますます活躍していただきたく、私が力添えできることがあればと今日に至ったわけでございます。ぜひ、ご来場くださいますようお願い申し上げます。


――木村竜蔵さん、徹二さんもひとことお願いします。

木村竜蔵さん(以下竜蔵)私はシンガーソングライターとして10代のころより活動しており、今は弟と「竜徹日記」というユニットと、作詞作曲のお仕事をいただいています。今回このように光栄な機会をいただいて身が引き締まる思いです。歌に真摯に向き合う機会をいただけてただ感謝のひと言です。

木村徹二さん(以下徹二)僕は普段、演歌歌手として、また兄と一緒にふたりで活動したりといろんな形でやらせていただいています。ステージはいつもトークやお客さまとの触れ合いなどいろいろな要素で構成しているのですが、今回は歌にしっかり向き合って、良いステージにできればと思います。

――玉三郎さんに伺います。コンサートのタイトルに「玉三郎の世界」という言葉がありますが、これはどのようなものでしょう。

玉三郎 徹二さんは演歌歌手、竜蔵さんはシンガーソングライターでJ-POPの方です。それぞれ質の違うおふたりの素晴らしい歌声で、アメリカの50年代、60年代のスタンダード曲や、カンツォーネなどの名曲を再生してもらいたいと思っております。私の兄はナット・キング・コールの大ファンで、私はトニー・ベネットが好きで、それらをずっと聴いてまいりました。そういう僕が好きなもので構成したら、僕の世界と言えることになるのかなと考えています。

――手放しでお褒めでいらっしゃいますね?

玉三郎 おふたりの素晴らしさは、やっぱり音楽を聴いて育ったというところが大きいと思います。歌が、ただ譜面上に書かれたものではなく、音楽の中に深く入ったところから生まれてくる。ということが僕としては期待しているところです。

――近年の玉三郎さんの歌舞伎でのご活動では、今年8月には『火の鳥』市川染五郎さんと市川團子さん、これから12月に同じ演目で尾上左近さんなど、若手にお稽古をつけながら一緒に舞台を作っていく、というものを拝見しています。今回のおふたりに関しては、「こういうとこをろを伸ばして差し上げよう」というような、稽古をつけるという気持ちはありますか?

玉三郎 もう、こんなに大人に育っちゃっているので(笑)、私は十分安心しているんですけれども。

僕たちの時代のコンサートというものは、シックなというか、歌だけを聴かせるものでした。越路吹雪さんもすごくシンプルなトークだけですぐ曲に入るって感じだったんですね。今のおふたりはトークがすごく多いコンサートをされているので、それを元に戻すというか、私たちの慣れているコンサートとにしてみたいな、と思います。おふたりのいい歌を客席に届けたい。僕自身がいい歌を客席で聴きたい、というのが最終的な望みなんです。

――竜蔵さん徹二さんに伺います。今回の公演が決まって、お父さんの鳥羽一郎さんから何かお言葉とかありましたか?

徹二 うちは言葉が少ない親子なので、もともとあまり多くのことを父に言ったりはしないのですが、名古屋のコンサートに玉三郎さんがいらっしゃると聞いたときは「お前、どうなってるんだ? お前なにかやらかしたのか」みたいなことを言っていました。

今回の公演については、父も母も前々から玉三郎さんのファンでしたので喜んでいます。

竜蔵 父はとても無口でシャイな人なんですが、このあいだコソっと「玉三郎さんとゴハンとか食べられるのかな……?」と言っていました。いやあ僕らからは言えないよ…とは返事をしておきましたが。

――玉三郎さん、いかがでしょう?

玉三郎 はい、いいですよ(笑)。新幹線の中では、鳥羽さんは私にたくさん話してくださいましたよ。おふたりの知らない、お父さんの顔なのかもしれませんね。

左から、木村徹二さん(34)と木村竜蔵さん(36)。このチャレンジはまさに兄弟船! 玉三郎さんも嬉しそうにされています
左から、木村徹二さん(34)と木村竜蔵さん(36)。このチャレンジはまさに兄弟船! 玉三郎さんも嬉しそうにされています
坂東玉三郎さんの新しい試み——コンサートの構成・演出、MCも。実力派兄弟デュオの歌声を、新橋演舞場で堪能
左から、木村徹二さん(34)と木村竜蔵さん(36)。このチャレンジはまさに兄弟船! 玉三郎さんも嬉しそうにされています
坂東玉三郎さんの新しい試み——コンサートの構成・演出、MCも。実力派兄弟デュオの歌声を、新橋演舞場で堪能
取材会ではふたりのミニコンサートも。エモーショナルに歌い上げる叙情派の竜蔵さん、声量たっぷり、正統派の徹二さん。ふたりとも、歌、うっま!! 玉三郎さんが惚れ込んだ歌声に、会場の皆が圧倒されました
取材会ではふたりのミニコンサートも。エモーショナルに歌い上げる叙情派の竜蔵さん、声量たっぷり、正統派の徹二さん。ふたりとも、歌、うっま!! 玉三郎さんが惚れ込んだ歌声に、会場の皆が圧倒されました

「木村竜蔵 木村徹二が歌う 坂東玉三郎の世界」
2026年4月2日(木)3日(金)
チケット発売など今後の情報はこちらから
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/202604_enbujo/

広告

  1. HOME
  2. くらし
  3. 坂東玉三郎さんの新しい試み——コンサートの構成・演出、MCも。実力派兄弟デュオの歌声を、新橋演舞場で堪能

人気ランキング

  • 最 新
  • 週 間
  • 月 間

注目の記事

編集部のイチオシ!

オススメの連載