フェミニズムの文脈を継承する「ガールクラッシュ」最先鋭──「Rich Man」(aespa)
高橋芳朗の暮らしのプレイリスト。現状、K-POPのガールグループの多くは「ガールクラッシュ」と呼ばれる男に媚びない力強い女性像を標榜していますが、aespaはその系譜を汲む代表格。「Rich」には物質的な富を超えた内面的な豊さ、具体的には「自分を信じること」「自分の価値を認めること」を賛美するメッセージが込められています。
文・高橋芳朗
現行K-POPシーン屈指の人気を誇るガールグループ、aespaが4都市で10公演を行う日本アリーナツアーを開催中。9月発表の最新ミニアルバム『Rich Man』の反響も引き続き上々なようです。
現状、K-POPのガールグループの多くは「ガールクラッシュ」と呼ばれる男に媚びない力強い女性像を標榜していますが、aespaはその系譜を汲む代表格。『Rich Man』のタイトル曲は、そんな彼女たちの面目躍如といえるパワフルなエンパワーメントソングです。
「Rich Man」のリリースにあたって、aespaが掲げたスローガンは「I am enough as I am, I am a “Rich Man”」(私はこのままで完璧。自分自身が「リッチマン」だから)。ここでの「Rich」には物質的な富を超えた内面的な豊さ、具体的には「自分を信じること」「自分の価値を認めること」を賛美するメッセージが込められています。
こうした「Rich Man」のコンセプトは、フェミニストの間で人気の高い「ポップの女神」ことシェールの名言に基づくもの。彼女は母親から「リッチな男性と結婚するのよ」と言われたとき次のように答えたそうです。「ママ、私がリッチなの」
フェミニズムの文脈を継承しながら、時代の変化に応じて「真の豊さ」を見事に再定義してみせたaespa。「Rich Man」はガールクラッシュの最先鋭を走る傑作と言っていいでしょう。
『クロワッサン』1153号より
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