花あしらい、打ち水、丁寧な掃除。二百年続く旅館の美意識に学ぶ
撮影・福森クニヒロ 文・大和まこ
日除けや冷え対策にも便利なシアーカーディガン
コットン100%で軽くて涼しい素材ながら、日差しや冷房の冷えからもしっかり守ってくれるカーディガン。これから暑くなる季節に持っておきたい、心強い1枚です。
香りたかい高野槙の風呂を宿泊客の到着に合わせて
『私の家内なども柊家の清潔な槇の木目の湯船をよくなつかしがる。』川端康成
空間との調和を大切にさりげなく控えめに
京都に受け継がれる老舗の心意気ともてなしを見る
それらすべてを支えるのは人である。西村さんは振り返る。「店の思いを一番初めに一生懸命に話してくれたのは八重でした」。八重さんは昭和・平成と『柊家』に60年客室係として勤め、国内外の賓客をもてなしてきた。「自分がお客様に対してしてきたこと、なぜ宿が評価されているのかを教えてくれました。言われる前に気づき、お客様に気遣いさせないということも」。今も『柊家』にとって客室係はもてなしの最前線にいる大切な存在。「ご到着からご出発まで、滞在中のお客様に関わる全てのことに親身になって対応します」。客室係となって25年のはなこさんは言う。「目配り、気配り、心配りというのが一番好きな言葉です」。宿泊客が帰った後の掃除は次の客人のために1時間ほどかけて念入りに。人の心に寄り添うのは、やはり人なのだ。
変わらず受け継がれる部分もあれば、変化を厭わないことも老舗が老舗たるゆえん。『柊家』も2006年に新館を作りあげ、次代へと受け継ぐ姿を見せている。「革新の積み重ねが京都の伝統を作りあげてきました。祖父がカーテンや照明を手元で操作できるリモコンをいち早く取り入れたように。自分たちがいる時代は先人から繋がっているからこそ成り立つということを、京都では折に触れ意識します。より良い未来への責任感がこの街に根付いています。もてなしの気持ちは変わらないけれど、時代に合わせて形を変えつつも、この先へと繋げていければ」。大女将の言葉の奥には、時代を変えてもなお受け継がれる、もてなしの形が見えた。
3段階の掃除、打ち水。もてなしは見えないところから始まる
新しい風への感性こそが、京都の歴史
『クロワッサン』1150号より
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