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琵琶湖を舞台に、地域とともに育つ芸術祭「BIWAKO ビエンナーレ」が開催中

秋の琵琶湖畔を舞台に、町家や蔵、さらには湖に浮かぶ島までも会場にした国際芸術祭「BIWAKOビエンナーレ2025」が開催中です。
歴史ある建物に新たな命を吹き込む作品や、湖や山と響き合うインスタレーションの数々。エリアを巡りながら出会う体験は、まさに旅するように味わうアートの時間です。

写真・文 久保田千晴

琵琶湖を舞台にした、地域とともに育つ芸術祭

BIWAKO BIENNALE 2025
BIWAKO BIENNALE 2025
最寄りは近江八幡駅
最寄りは近江八幡駅
BIWAKO BIENNALE 2025
最寄りは近江八幡駅

琵琶湖のほとりで隔年開催される国際芸術祭「BIWAKOビエンナーレ」。2001年に大津市で始まり、2003年からは近江八幡の町家や蔵を舞台に開催されてきました。戦後失われつつある歴史的建築を修繕し、アート作品の力で蘇らせ公開するという試みは、全国の芸術祭の先駆けとも言える存在です。

11回目を迎える2025年のテーマは「流転〜FLUX」。

私たちの細胞が常に死と再生を繰り返し、一瞬たりとも同じ自己ではないように、刻一刻と生成変化する世界の流れの中にアートを感じ、宇宙へと思いを馳せる——そんなメッセージが込められています。

今回初の会場となる「長命寺」
今回初の会場となる「長命寺」

舞台は、「近江八幡旧市街地」「長命寺」「沖島」の3エリア。国内外合わせて約70組のアーティストが表現する作品たちを、旅をするように楽しめるのも魅力です。町家の格子越しに射す光や、湖畔を渡る風、石段の上に広がる眺めなど、日常では出会えない滋賀の景色を一緒に堪能しましょう。

中でも、今年初めて会場となった「長命寺エリア」は、琵琶湖を見渡す山腹に建つ、聖徳太子ゆかりの古刹。808段の石段を登った先で、歴史と自然、そしてアートが交差する特別なひとときに出合えます。

《True romance 2025 × 太郎坊 (2025年)》石川雷太
《True romance 2025 × 太郎坊 (2025年)》石川雷太
中国・杭州から3作品を出展する陳見非(チェン・ジエンフェイ)さん
中国・杭州から3作品を出展する陳見非(チェン・ジエンフェイ)さん

長命寺では、中国人アーティスト陳見非(チェン・ジエンフェイ)による作品が本堂に展示されるほか、石川雷太が、空中に浮かぶ言葉のインスタレーションを展開。宙に漂う赤い文字越しに琵琶湖の絶景が重なり、作品の外側に広がる風景へと思索を促す仕掛けは、まさに長命寺の歴史や自然環境と呼応しています。

古い街並みが残る「近江八幡旧市街地エリア」
古い街並みが残る「近江八幡旧市街地エリア」
《眠る夜の散歩》幸小菜
《眠る夜の散歩》幸小菜
《幻象の庭》saiho + 林イグネル小百合
《幻象の庭》saiho + 林イグネル小百合
古い街並みが残る「近江八幡旧市街地エリア」
《眠る夜の散歩》幸小菜
《幻象の庭》saiho + 林イグネル小百合

江戸時代に営業していた宿屋やもろみ倉、町家などが立ち並ぶメインエリア「近江八幡旧市街地」では、12会場に渡って歴史的な建物にアートをインストールし、古さと新しさが響き合う空間が広がります。

静寂の中、光と音で心象風景を描き出すインスタレーションや、水の渦が生み出すかすかな音に耳を澄ませるサウンドアート、花弁のひとひらまで精緻にかたどられた立体作品など。どの作品も歴史的な建物や町の空気と調和し、訪れる人に新鮮な驚きをもたらします。

ただ鑑賞するのではなく、五感で体感できるアートに身を浸すと、作品そのものだけでなく、建物や土地に刻まれた物語までも心に響いてきます。

《花の霊》米津真理奈
《花の霊》米津真理奈
《チョウズマキ》赤松音呂
《チョウズマキ》赤松音呂
《月面甲冑「白兎」》塩見亮介
《月面甲冑「白兎」》塩見亮介
《花の霊》米津真理奈
《チョウズマキ》赤松音呂
《月面甲冑「白兎」》塩見亮介

今年の会期は11月16日(日)まで。旧市街地エリアは鑑賞パスポートが必要ですが、沖島エリアと長命寺エリアはパスポートなしで入場可能です。芸術の秋、歴史と自然豊かな滋賀の地で、流転し続けるアートの波に身を委ねてみてはいかがでしょうか。

「BIWAKOビエンナーレ2025 “流転〜FLUX”」
会期:2025年9月20日(土)〜11月16日(日)
会場:近江八幡旧市街地、長命寺、沖島
鑑賞パスポート:一般3,500円(前売3,000円)、学生2,500円ほか
休場日:水曜日(11月12日の最終水曜日は開場)
※パスなしでご入場いただけるエリアは水曜関係なく入場可

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