トラベル＆スパジャーナリスト板倉由美子さんがおすすめする“スパ”の宿──いま泊まりたい、くつろぎの宿

中医学と和漢ハーブからなる、この地ならではのスパ

奈良公園の西端に位置し、春日大社や東大寺などの世界遺産に囲まれ、古都の風情に包まれる。伝統と現代の結びをテーマにした宿は「気品ある建物や日本庭園を楽しめ、時空を超えたようなひとときを過ごすことができます」。

シルクロードの終着点といわれる奈良。ここ〈紫翠〉では、中医学の考え方に基づくスパに奈良の山山で育まれた薬草を取り入れ、オリジナルのトリートメントを展開。エネルギーの源とされる「気・血・水」を体内にバランスよく巡らせ、健やかさと活力を取り戻す。

「おすすめは仏具楽器のリンを使った少しユニークな瞑想とボディケアのコース。リンの音が心と体の緊張をゆるめ、自律神経を整えてくれます。さらに大和当帰、紅花などの和漢ハーブをブレンドしたオイルなど、体質に応じたトリートメントも絶品。ここでしかできない体験です」

浄化を促し、心と体を軽やかに整える“湯治セラピー”

名湯・箱根の玄関口、箱根湯本駅から車でわずか10分。アクセスもよく、奥湯本の美しく豊かな自然と調和するように佇む湯宿。すべての客室に自家源泉の露天風呂を備え、2つの大浴場と趣の異なる4つの貸切風呂（予約制）があり、滞在中、心ゆくまで湯めぐりを楽しめる。そんな温泉の恵みと合わせて心身を解放させてくれるのが、湯治療法を凝縮した独自メソッドの「まほろみトリートメント」。まずはマッサージの前に飲泉水を。漢方の「陰陽五行説」に基づく自然素材を用い、足湯で体を温め、音叉によるヒーリングで心身をほぐしていく。

「音叉を鳴らすと音の響きで滞りの部分がわかるので、そこを入念にほぐしてデトックス。上半身ばかり酷使しがちな現代ですが、足ツボの刺激で下半身からしっかり整えることで全身のバランスがよくなります」