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おしゃれ好きもドラマファンも大興奮! 上野の東京国立博物館で『江戸☆大奥』展

江戸城の一画におよそ250年、独自の文化が培われた大奥。豪華絢爛な衣裳にうっとりしつつ、権力に翻弄されながら自分の人生を懸命に生きた女性たちのリアルに思いをはせる。

文・クロワッサン編集部

東京・上野の東京国立博物館で、特別展『江戸☆大奥』が開催中です(9月21日まで)。現在の皇居にかつてあった江戸城、大奥はその一画にありました。将軍の正妻である御台所(みだいどころ)と側室、その生活を支える女中たちが暮らした場所です。

見どころは多くの衣裳のほか化粧道具や雛細工などの私物、日記、交わし合った手紙など。男性社会の権力争いの狭間で、様々な規則に縛られ閉ざされた暮らしのなかでも確かに生きた女性たち。その思いに共感できる展覧会になっています。

歴代の御台所たちの絵姿がお出迎え
歴代の御台所たちの絵姿がお出迎え
華やかな花見の錦絵は「千代田大奥 御花見」(複製部分・明治27年・1894年 楊洲周延筆 東京国立博物館蔵)
華やかな花見の錦絵は「千代田大奥 御花見」(複製部分・明治27年・1894年 楊洲周延筆 東京国立博物館蔵)

ドラマ10「大奥」ファン必見! ドラマの衣装と御鈴廊下のセット

会場に入ってすぐに目に入る豪華な衣装たち。2023年にNHKで放送されたドラマ10『大奥』(よしながふみ原作)でキャストが実際に着用したもの。細部にわたる刺繍や質感、大胆な意匠をじっくり観ることができます。御鈴廊下にずらりと並んだ姿は壮観です。

古川雄大さん演じた瀧山の衣装。粋な流水紋
古川雄大さん演じた瀧山の衣装。粋な流水紋
冨永愛さん演じた徳川吉宗の衣装。海岸で馬を駆る凛々しい姿が、放送当時「スーパー上さま」と大人気でした
冨永愛さん演じた徳川吉宗の衣装。海岸で馬を駆る凛々しい姿が、放送当時「スーパー上さま」と大人気でした
仲里依紗さん演じた徳川綱吉の豪華な衣装。ドラマ10『大奥』は8月17日から3夜連続でNHK総合で再放送予定
仲里依紗さん演じた徳川綱吉の豪華な衣装。ドラマ10『大奥』は8月17日から3夜連続でNHK総合で再放送予定

大奥の礎が作られたのは17世紀前半。三代将軍・徳川家光の乳母、春日局(かすがのつぼね)によるものとされています。以来、1868年に江戸城が明治政府に明け渡されるまで約250年に渡り続きました。

展示は、当時の庶民が憧れとともにイメージした大奥の様子と、実際に中で暮らしていた女性の様々な所持品、その両面から立体的に構成されています。

『春日局坐像』(17世紀・京都・麟祥院蔵)背筋を伸ばして座った様子に生前の威光が偲ばれる
『春日局坐像』(17世紀・京都・麟祥院蔵)背筋を伸ばして座った様子に生前の威光が偲ばれる
『奥奉公出世双六(おくほうこうしゅっせすごろく)』(万亭応賀作・19世紀・東京都江戸東京博物館蔵。前期展示)大奥勤めの女性の立身出世を双六にしたもの。大奥における役職や仕事を知ることができて面白い。雑用を引き受ける下働きの「御はした」からスタートし、将軍の子を成す「御部屋様」まで行けば大成功!
『奥奉公出世双六(おくほうこうしゅっせすごろく)』(万亭応賀作・19世紀・東京都江戸東京博物館蔵。前期展示)大奥勤めの女性の立身出世を双六にしたもの。大奥における役職や仕事を知ることができて面白い。雑用を引き受ける下働きの「御はした」からスタートし、将軍の子を成す「御部屋様」まで行けば大成功!
『偽紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ』柳亭種彦作、歌川国貞筆・文政12〜天保13年<1829〜42>・法政大学図書館蔵)。『源氏物語』を大奥の世界になぞらえた絵入りの小説。将軍家を取り巻く女性たちの姿をきらびやかに描いて熱狂的な人気を集めた
『偽紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ』柳亭種彦作、歌川国貞筆・文政12〜天保13年<1829〜42>・法政大学図書館蔵)。『源氏物語』を大奥の世界になぞらえた絵入りの小説。将軍家を取り巻く女性たちの姿をきらびやかに描いて熱狂的な人気を集めた
「江戸城本丸大奥総地図」(19世紀・東京国立博物館蔵)江戸末期に再建された江戸城本丸を描いた絵図。大工・甲良(こうら)家に伝わった資料。黄色いところが将軍正室の居住するところ、赤いところが女中の住まい。下部は銅塀で仕切られ、右下の角に御鈴廊下がある
「江戸城本丸大奥総地図」(19世紀・東京国立博物館蔵)江戸末期に再建された江戸城本丸を描いた絵図。大工・甲良(こうら)家に伝わった資料。黄色いところが将軍正室の居住するところ、赤いところが女中の住まい。下部は銅塀で仕切られ、右下の角に御鈴廊下がある

桂昌院(お玉の方)、貞恭院(種姫)、天璋院(篤姫)、静寛院(和宮)など、歴代の高貴な女性たちの美しい衣裳が一同に。ドラマや映画でその人生を知っている女性たちが確かに生きていたという事実に圧倒されます。季節のモチーフを取り入れるセンス、技術の粋を尽くした刺繍や細工など、眺めていると時間がどれだけあっても足りません。

また、雛道具や細々とした手廻り小物には、故郷や家族から遠く離れて大奥の中で暮らした彼女たちの心情が偲ばれます。

『振袖 黒綸子地梅樹竹模様』五代将軍・綱吉の生母、桂昌院(お玉の方)のもの(17世紀・東京・護国寺蔵)
『振袖 黒綸子地梅樹竹模様』五代将軍・綱吉の生母、桂昌院(お玉の方)のもの(17世紀・東京・護国寺蔵)
『単衣 浅葱絽地春景模様(ひとえ あさぎろじしゅんけいもよう)』薩摩島津家の養女から近衛家の養女となって十三代将軍・家定に嫁ぎ、御台所となった天璋院(篤姫)の夏の着物。江戸城の無血開城に尽力したと言われる。咲き誇る桜と松竹梅を表す優美な柄に、浅葱色が涼しげ。(19世紀・東京国立博物館蔵)
『単衣 浅葱絽地春景模様(ひとえ あさぎろじしゅんけいもよう)』薩摩島津家の養女から近衛家の養女となって十三代将軍・家定に嫁ぎ、御台所となった天璋院(篤姫)の夏の着物。江戸城の無血開城に尽力したと言われる。咲き誇る桜と松竹梅を表す優美な柄に、浅葱色が涼しげ。(19世紀・東京国立博物館蔵)
『掻取 白綸子地桜牡丹藤源氏車模様』和宮(静寛院)のものとされる打掛。四季の花々と源氏車の意匠が優美。仁孝天皇の第8皇女・和宮は徳川幕府と公家との力の駆け引きのなかで十四代将軍・家茂に降嫁。その人生はたびたびドラマなどで取り上げられている。(19世紀・公益財団法人・徳川記念財団蔵)
『掻取 白綸子地桜牡丹藤源氏車模様』和宮(静寛院)のものとされる打掛。四季の花々と源氏車の意匠が優美。仁孝天皇の第8皇女・和宮は徳川幕府と公家との力の駆け引きのなかで十四代将軍・家茂に降嫁。その人生はたびたびドラマなどで取り上げられている。(19世紀・公益財団法人・徳川記念財団蔵)
繊細な細工が美しい薩摩切子の雛道具は篤姫の私物。嫁入り道具のひとつと伝えられる。(公益財団法人・徳川記念財団蔵)
繊細な細工が美しい薩摩切子の雛道具は篤姫の私物。嫁入り道具のひとつと伝えられる。(公益財団法人・徳川記念財団蔵)
和宮が愛用した身の回りの小物。人形類や貝、玉虫、知恵の輪など、小さなものを集めては慈しんだ和宮の可愛らしい趣味が伝わる。大切そうに紙に包む手もとが見えるよう。(公益財団法人・徳川記念財団蔵)
和宮が愛用した身の回りの小物。人形類や貝、玉虫、知恵の輪など、小さなものを集めては慈しんだ和宮の可愛らしい趣味が伝わる。大切そうに紙に包む手もとが見えるよう。(公益財団法人・徳川記念財団蔵)
色とりどりの衣裳は貞恭院(種姫)のもの。第十代将軍・家治の養女で紀州藩主徳川治宝の正室。(東京国立博物館蔵)
色とりどりの衣裳は貞恭院(種姫)のもの。第十代将軍・家治の養女で紀州藩主徳川治宝の正室。(東京国立博物館蔵)

江戸時代の庶民の娯楽といえば歌舞伎。自由な外出を許されない大奥の女性たちのために、第十一代将軍徳川家斉の時代に、江戸城内で歌舞伎役者の女弟子・坂東三津江による歌舞伎が上演された。その舞台衣装が多数展示。その豪華絢爛ぶりに目を見張ります。

『時今成桔梗旗挙(ときはいまききょうのはたあげ)』の『本能寺の場』の衣裳。小田春永(史実では織田信長)に用いられた衣裳。歌舞伎では歴史上の史実を題材にしても実名は出さないことが多かった。信長らしく派手で豪奢
『時今成桔梗旗挙(ときはいまききょうのはたあげ)』の『本能寺の場』の衣裳。小田春永(史実では織田信長)に用いられた衣裳。歌舞伎では歴史上の史実を題材にしても実名は出さないことが多かった。信長らしく派手で豪奢
『寿蘇我対面(ことぶきそがのたいめん)』仇討ち物として人気があった曽我兄弟の物語、その敵役の工藤祐経の衣裳。立体的な龍の刺繍が見事
『寿蘇我対面(ことぶきそがのたいめん)』仇討ち物として人気があった曽我兄弟の物語、その敵役の工藤祐経の衣裳。立体的な龍の刺繍が見事

展示を堪能したあとは、展覧会グッズのお買いものも大きな楽しみ。今回はおしゃれ心を満たすアイテムが豊富に揃っています。歌舞伎衣裳のデザインを模した羽織ものは観劇やレストランでの食事など、夏の室内での冷え対策にちょうどいい。人気のぬいぐるみは、今回はサンリオのキャラクターが登場。ハローキティもマイメロディも、それぞれがやんごとなき衣裳でお待ちしています。

信長の歌舞伎衣裳の羽織りもの。6,600円。黒やネイビーのノースリーブドレスと合わせたい
信長の歌舞伎衣裳の羽織りもの。6,600円。黒やネイビーのノースリーブドレスと合わせたい
京都の老舗の組紐を使用した鈴のオブジェ。これがあれば我が家が御鈴廊下に! ドアに吊るしてシャランと鳴らし、お目見えごっこができます。6,600円
京都の老舗の組紐を使用した鈴のオブジェ。これがあれば我が家が御鈴廊下に! ドアに吊るしてシャランと鳴らし、お目見えごっこができます。6,600円
桂昌院(お玉の方)の衣裳姿のキティちゃんのマスコット。3,300円
桂昌院(お玉の方)の衣裳姿のキティちゃんのマスコット。3,300円
大奥でのお菓子といえばカステラですよね。十三代将軍・家定は自身でカステラ作りをしたという史料も残っています。葵の紋入りで1,500円
大奥でのお菓子といえばカステラですよね。十三代将軍・家定は自身でカステラ作りをしたという史料も残っています。葵の紋入りで1,500円
これは楽しい!衣裳を3通りに着せ替えできるブローチ4,950円。帯留タイプもあります
これは楽しい!衣裳を3通りに着せ替えできるブローチ4,950円。帯留タイプもあります

特別展「江戸☆大奥」
会期・開催中〜2025年9月21日(日)まで
会場・東京国立博物館 平成館
※会期中、一部作品の展示替えを行います。

https://ooku2025.jp/

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