暮らしに役立つ、知恵がある。

 

広告

犬って、すごい! 実はこんなパワーを秘めている

犬や猫と一緒に暮らすと気づかされるのが、人間では想像もつかない能力や意外な一面。その不思議なパワーの理由はどこにあるの? 知るほどに愛犬や愛猫をより深く理解できる。「かわいい」だけじゃない、彼らの謎を獣医師・松原且季さんに聞きました。

文・黒田 創

Csand - stock.adobe.com/jp
Csand - stock.adobe.com/jp

地震を予知する

犬も猫も地震予知能力があるのでは?とはよくいわれており、地震のP波をすばやく察知しているとの説もありますが、科学的には解明されていません。ただ、どちらも嗅覚と聴覚が発達しているので、直前に地殻の変動によって地面から何らかのガスや化学物質が発生しているのをにおいでキャッチしたり、人間には聞こえない高周波音を感じて地震直前に走り回ったりすることは充分に考えられます。予知というより、予兆を感じているというほうが適切でしょう。

他の動物の乳母になる

過去の例では雌犬が猫やリス、豚を育てた報告があります。理由としては犬の社会性の高さが考えられますが、犬の脳内ホルモンの一種である愛情ホルモンことオキシトシンの影響も大きいと思います。特に授乳中でオキシトシンが大量に分泌している母犬は、他の動物も一緒に愛情をかけて育てることがあるのです。

卓越した嗅覚

犬の嗅覚受容体は人の50倍。嗅細胞の数は40倍もあって、軽微な化学物質や、何日も前の残り香も嗅ぎ分けられます。一方、猫も犬ほどではないですが嗅覚が鋭いのは同様。猫は特に環境の変化に敏感なので、動物病院では待合室を犬と別にしないと犬のにおいでソワソワしちゃいますし、猫用のアロマを焚いて気分を落ち着かせたりします。また、猫は棒状の物を見るとにおいを嗅ぎますが、嗅ぐことで物の安全性と有用性を確認しているのです。

驚異的なジャンプ力

犬は犬種による差が大きく、ブルドッグやパグなどはあまりジャンプしませんが、多くは体の高さの2〜3倍程度跳びます。中でもホワイトシェパードは高さ2m、グレイハウンドに至っては、記録会の幅跳び種目で8.5m向こうまで飛べた記録があるほど。しかし、胴体が細長い犬はジャンプを繰り返すと椎間板ヘルニアを引き起こす可能性があるため充分注意しましょう。猫のジャンプ力は言わずもがな。冷蔵庫や棚など、2m程度は助走なしでジャンプします。

帰巣本能がある

最近は室内飼いが多く、実感する機会は少ないですが、嗅覚に長けている犬は家から離れても飼い主のにおいを辿れますし、近年の研究では犬が地球の磁場の南北軸に沿って排泄するのを好むことから、その磁気を使って遠くからでも家に帰れるとの説が有力です。さらには視覚的な記憶力も優れており、家から迷子になった犬が私たちの病院に一匹で来たことも。犬の帰巣行動はこうした能力を複合的に使っているのではないでしょうか。

聴力がすごい

犬の聴力は人間の倍以上で、実に4倍以上遠くの音を聞き分けられます。ゆえにワンちゃんに対しては声で指示を出すことで「おいで」「お座り」といった動作を覚えてもらい、それによって離れた場所からでも聞き取って反応することが可能なのです。また、特に高い音を聞き取る能力に優れ、我々には聞こえないコウモリが発する高周波もキャッチできるとか。しつけで指示を出す際は、女性や子どもの高めの声のほうが聞き分けやすいかもしれませんね。

体内時計が正確

犬は脳の視床下部と太陽光で生活リズムを記憶および調整しており、朝、昼、夜の時間を正確に判別できます。また、鋭い嗅覚を利用して飼い主の帰宅時間や散歩、食事の時間を学習することで生活リズムを整えているともいわれており、その意味では飼い主が決まった時間に散歩、食事の習慣を作ってあげることが非常に大事になってきます。

人の行動、妊娠や病気、死も予知する

これは犬、猫の嗅覚の鋭さにもとづくもので、人間の体に妊娠や病気といった大きな変化が起きた時に、ホルモンバランスの変化などによる、人間では感じ取れない体臭の変わり具合を敏感に嗅ぎ分けている可能性があります。その意味では、これも地震と同じく予知ではなく予兆を感じているのだと考えられます。

走りがすごい

速さで有名なのがグレイハウンド。もともとウサギなどの小動物を狩るために作られた犬種なので、時速72㎞程度にも。チーターが時速112㎞なのでかなりのスピードですね。ブルドッグのようなコロコロした体形の犬はのんびり歩きます。多くの犬は前脚が短く、長い後ろ脚に筋肉がついているので登り坂のダッシュも速いです。前脚の爪で踏ん張って後ろ脚で加速するんです。また、肩まわりに重心があるのでコーナリングも得意ですよ。

噛む力、引っ張る力が強い

犬の噛む力は人の1.5〜5倍程度。成人男女の咬合力は70〜100kg程度ですが、チワワでも100kg、ピットブルで230〜300kg。マスティフ系だと550〜700kgにも。噛まれたらひとたまりもありません。咬合力は顎の太さや筋肉量次第で変わってきますし引っ張る力も犬種によって差がありますが、細身のジャックラッセルでも40〜50kg、女性なら余裕で引っ張れます。またハスキー犬は250〜400kg、セントバーナードは500kg以上引っ張れます。

  • 松原且季 さん (まつばら・かつき)

    ヴァンケット動物病院院長

    日本獣医がん学会獣医腫瘍科Ⅱ種認定医、日本獣医腎泌尿器学会認定医。2021年、東京・世田谷にヴァンケット動物病院三宿動物医療センターをオープン。高度な外科手術にも対応。banquet-tokyo.jp

『クロワッサン』1140号より

広告

  1. HOME
  2. くらし
  3. 犬って、すごい! 実はこんなパワーを秘めている

人気ランキング

  • 最 新
  • 週 間
  • 月 間

注目の記事

編集部のイチオシ!

オススメの連載