【シアトルの旅①】雄大な自然、素晴らしいワイナリー、美味しい料理が満喫できるシアトルへ——シアトルや周辺で味わえる、高品質なワシントン州産ワインを体験
写真・文 斎藤理子
ワシントン州には1050以上のワイナリーがあり、シアトル市内には各ワイナリーのワインが試せるテイスティング・ルームもたくさんあります。毎年春にシアトルで開催される食とワインの祭典『テイスト・ワシントン』には、ワシントン州にあるほとんどのワイナリーが結集。ワシントン・ワインの全貌がわかる、ワイン好きにはたまらないイベントです。
年に一度のワインと食の祭典《テイスト・ワシントン》でワシントンワインの奥深さと豊富さを知る
《テイスト・ワシントン》は、ひとつの州限定のワインと食のイベントとしては、全米最大規模の祭典。ワシントン州のワインと美食を世界に紹介する目的で、毎年3月中旬に1週間ほどの日程で開催されます。このイベントには200以上のワイナリーと75の有名レストランが参加。イベント中は、市内の至る所でさまざまなダイニング体験やワインテイスティング、人気レストランでのブランチやディナー、ワインや食に関する多彩なセミナーなどが開催され、ワインと食に興味がある人にはたまらないラインナップになっています。
シアトルの街がグルマンで溢れるこの1週間のメインイベントは、州全体から集まるワイナリーのワインがテイスティングできる《グランドテイスティング》。会場になっている広大なルーメン・イベントセンターが、世界中のバイヤーや一般のワイン愛好家で溢れかえります。
事前にチケットを購入すると、会場の入り口でワイングラスを渡され、あとは好きなところで好きなだけ飲んだり食べたり!スパークリングワインから重厚な赤ワインに至るまで、フルでワシントンワインの美味しさが堪能できます。フィンガーフードからデザートまで、食のコーナーももちろん大充実。ワシントン州の食材の豊かさに驚きながら、思いがけないペアリングの妙に出会えるのもまた楽しい体験です。
シアトル市内で今一番人気のテイスティングルーム《WeRise Wines》
シアトルのダウンタウンにある《ウイライズ・ワインズ(WeRise Wines)》は、ワイン製造業界ではまだまだ少数派の女性やアフリカ系アメリカ人醸造家などのワインにこだわったセレクションが並ぶワインバーです。ワインメーカーの多様性の拡大と少数生産者のワインにアクセスすることに焦点を当て、有色人種や女性、LGBTQなどがオーナーの醸造所のワインを手厚く幅広く扱っています。ここで1杯飲んだりワインを買ったりすることが、マイノリティーのワインメーカーへの応援になるとの信念のもと、日本ではほぼ味わうことのできないワインが揃えられています。
しっかりとした哲学があるワインバーですが、店内はいたってカジュアルで居心地が良いのが特徴。ワインはすべてグラスで頼め、気に入ったら購入することも。ワインに合う料理も美味しくて、サクッと食事をしたり簡単な集まりに利用するのにもピッタリ。構えずに気軽にテイスティングが楽しめる、話題のワインバーです。
130以上のワイナリーが集まる、シアトル郊外のワイン名産地ウッディンビルへ。
シアトル中心地から北東に車で約30分。美しいサマミッシュ川渓谷に130以上のワイナリーがあるウッディンビルは、まさにワシントンワインの中心地。ワシントン州で最も古い《シャトー・サン・ミッシェル》をはじめとする素晴らしいワイナリーやテイスティングルームがたくさんあり、シアトルから日帰りで気軽に行けるワイン天国です。
最初に訪れたのは《パターソン・セラーズ(Patterson Cellers)》のテイスティングルーム。《パターソン・セラーズ》は、ワインメーカー兼オーナーのジョン・パターソンさんが2000年にスタートしたワイナリーで、今年創業25周年を迎えます。良質な葡萄が採れることで有名なワシントン州南部のワラ・ワラをはじめ州内各地に広大な葡萄畑を所有し、
親しみやすい、ニューワールドスタイルのワインを幅広く醸造しています。
州内に5ヶ所あるテイスティングルームの中で訪れたのはウッディンビルのハリウッド・ヒルにあるお店。ここでは、軽やかなスパークリング、クラシックな白、活気のあるロゼ、エレガントな赤まで、色々と試飲することができます。ワインのみのテイスティング体験はひとり25ドル〜(75分間)。ランチタイムに楽しみたいピッツアとのペアリングコース(32ドル)や夕方からつまみつつ飲みたいシャルキュトリーとのペアリングコース(40ドル)なども用意されています。
次に訪れたのは《マーク・ライアン・ワイナリー》。ワイン作りを独学で学んだオーナーで醸造家のマーク・ライアン・マクニーリーさんが、1999年に小さなガレージで仕込んだ数トンの葡萄からできたワインが人気になったことからスタートしたワイナリーです。マクニーリーさんは、ホースヘブンヒルズ、ヤキマバレー、コロンビアバレーといった葡萄の生産に適したワシントン州の畑から最高品質の葡萄を仕入れてワインを作ります。特にレッド・マウンテンという地域で採れる葡萄で作る繊細さと優雅さを併せ持ったワインは、ワイン愛好家や批評家からの賞賛を得ていて、ワシントンワインのレベルの高さを証明しています。
《マーク・ライアン・ワイナリー》はウッディンビルとワラワラにテイスティング・ルームがありますが、ウッディンビルのテイスティング・ルームはとてもスタイリッシュでお洒落。スタッフは全員《マーク・ライアン・ワイナリー》のワインに精通していて、どんな質問にもフレンドリーに丁寧に答えてくれます。テイスティングは、クラシック・テイスティング(1人35ドル。65ドル以上のボトル購入で返金)とリザーブ・テイスティング(1人60ドル。90ドル以上のボトル購入で返金)の2種類。リザーブ・テイスティングは、限定生産のプレミアムワインが5種類含まれています。
ブティックホテルのレストランで味わうクリエイティブなアメリカ料理。
ウッディンビルでランチを楽しむなら、おすすめはブティックホテル《ウイローズ・ロッジ(Willows Lodge)》の中にある《バーキング・フロッグ(Barking Frog)》というレストラン。大きな円形の暖炉を囲むテーブルを中央にしつらえたカントリーテイストのインテリアが、カジュアルの中に高級感もあるくつろぎの空間を生み出しています。
地元産の旬の食材を使った料理は、洗練されたアメリカンスタイル。ハワイ出身のエグゼクティブシェフ、ライル・カクさんは、シアトル近郊の海の幸山の幸をふんだんに使い、自身のバックグラウンドであるパンパシフィック料理のエッセンスも取り入れながら、他のどこにもないオリジナル料理を仕立てて行きます。ハーブやスパイス使いも繊細で、主張を抑えつつ効果的な分量で料理の味わいを深めているのが見事です。
ワインリストは、ワシントンワインのセレクションには定評があります。ここに来たら、マスターソムリエのタイラー・アルデンさんがチョイスするペアリングをぜひ試してみてください。
*ウイローズ・ロッジ(Willows Lodge)
https://www.willowslodge.com
協力
シアトル観光局
https://visitseattle.org
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