介護サポート現場の心強い味方!最新“便利”ケアグッズ・カタログ
撮影・小川朋央 スタイリング・矢口紀子 イラストレーション・村上テツヤ 構成&文・堀越和幸
便利なものあれこれ
介護グッズは進化している。かつては子どものおもちゃであったマジックハンドが専用のケア用品として復活していたり、ベッドの上で体を洗身できる最新テクノロジーの機器が現れたり。
「あれば介護をする側もされる側もラクですし、選ぶのも楽しいというのが昨今のケアグッズ界隈の印象です」
と語るのは、94歳の母親を介護しながら暮らす介護・福祉系ライターの浅井郁子さんだ。自身もヘルパーの資格を持つ浅井さんは、プロの目線からこんなアドバイスをしてくれた。
「物によって介護保険を利用できるので、事前に調べておきましょう。そして取り入れる時は、できれば理学療法士やケアマネジャーに使い方や適正を相談すると間違いがないはずです」
最新情報をさっそくチェックしていこう。
ボタンはめのイライラを解決
関節炎や指が動きにくい人のために開発されたボタンをはめる際の自助具。
イラストのように金具部分をボタン穴に通してボタンにかけて引っ張れば、スルッとはめることができる。「ボタンがはめづらいという理由でその服を着なくなる高齢者は案外多いです」。
レバーを握って遠くのものをキャッチ
昔流行った昭和のおもちゃが今再び介護の現場で復活。
「使っている高齢者は多いです。いちいち立ち上がるのが難儀な人には大変便利」
アルミニウム製で軽量、先端には磁石が内蔵されているのでちょっとした金属品もこれでキャッチ。
音と光でやさしく教えてくれる
ワイヤレスで簡単に連絡が取れる卓上型の発信器と受信器。
「トイレや玄関など高齢者が“ちょっと来て”となりそうな場所に設置すると便利です」
電波の到達距離は水平で障害がないところであれば約40メートルが目安だ。
握る力が弱ったらこんなカトラリーも
写真のようにネック部分が曲げられ、自分が食べやすい形にできるスプーン。
「箸を使うのがしんどくなったという人などにいい。食事は毎日のことだからなるべく負担を減らしたい」
これなら利き手に関係なく、握り持ちも、鉛筆持ちも、さまざまな持ち方が可能に。
ベッドで水分補給もこれで安心
ペットボトルの口に装着。ストローをくわえてワンタッチでレバーを引けば、寝たままの状態で水などの飲料が飲めるというアイテム。ボトルを倒しても水漏れはしないので、ベッドの上でもこれであれば安心。月に1〜2回の洗浄お手入れで清潔に使える。
服を汚すことなく食事を楽しむために
大きなサイズの食事用エプロン。食べこぼしの心配な高齢者に重宝。タオルの表地でしっかり水分を吸収し、洋服には染みない3層仕立てが特徴。下部を折り返せばポケットも作れる。洗濯機、乾燥機の使用が可能でお手入れも簡単。
靴下履きは高齢者の困りごとの一つ
こちらは腰を曲げて前かがみにならずとも靴下が履けるアシスト補助具。使い方は先が割れた本体を丸めて靴下を上からかぶせ、中に足を落としたらイラストのように紐を引いて本体を引き抜くだけ。
「腰痛持ちの人にもおすすめです」
座ったまま、寝たままで穿ける介護用
パンツの脱ぎ穿きが難しい人のために、両脇が全開になるスウェットタイプ。座りながらの着衣も簡単にできる。片側を開いたパンツの後ろ側半分を椅子にのせ、その上に座ったら前半分を脚にかけファスナーを閉めればOK。
高齢者を転倒から救うために
家の中や野外などで不意の転倒に備える専用の保護帽。帽体部の2層構造のEVA素材がいざという時の衝撃を緩和する。「頭囲」だけでなく、「頭頂部」も微調整が利くため、かぶった際のフィット感が高い。手洗いで洗濯が可能。
就寝中の無意識の行為から身を守る
寝ている時に痒いところを過剰にかきむしったり、無意識のオムツいじりを防ぐための介護用手袋。はめている本人には外しにくいアイデアホックを使用。手袋の中はゆったりしているので手指の動きは妨げない。
おしゃれをする気持ちを忘れない
年齢を重ねれば頭髪も薄くなる。おしゃれのためにウィッグをつけるのもいいがもっと手軽なのが帽子だ。
「ウィッグのようにお金もかかりませんし。ターバン型の帽子やスカーフをターバン風に巻いたりするのはさりげなくおしゃれを演出できるのでおすすめです」
それに、と浅井さんは言う。
「今の75〜85歳はおしゃれな60〜70年代を謳歌してきた人々です」
メイクの楽しみをいつまでも
乾燥しやすいこの季節。特にリップクリームは高齢者とは言わずとも必需品だが。
「せっかく使うなら色付きタイプを使ってみるのはどうでしょう。つけるだけでちょっと若々しい気持ちになれるはず」
ちなみに浅井さんのお母さんは今でも毎朝おしろいと口紅だけはつけている。
「その気持ちが大切。逆にやらなくなると高齢者は認知症や孤独が心配になるので、おしゃれは意識的に楽しみましょう」
『クロワッサン』1134号より
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