中央線は身の丈に合った財布で暮らせる街ですーー牧野伊三夫 × 稲垣えみ子 対談
今も昔懐かしい昭和の空気が漂う東京・中央線の沿線。「中央線的」とは何か?暮らしやすい街をどう残すか?画家の牧野伊三夫さんとフリーランサーの稲垣えみ子さんが語り合います。
撮影・黒川ひろみ 文・辻さゆり イラストレーション・牧野伊三夫
東京を横断する中央線。下町感漂う高円寺、学生が多い国分寺と街により個性が違う。
唐変木(とうへんぼく)
1974年にオープンした、ママが一人で切り盛りする店。高円寺北口の中通り商店街の階段を降りていくと、70年代の世界が広がる。「納豆オムレツ」や「焼そば」(写真)など、食事も魅力的。
やきとん和田屋 高円寺
高円寺の線路近くにある、いつも賑わっている居酒屋。やきとんや焼き鳥はタレと塩から選べ、冷や奴など料理の種類も豊富。焼酎の種類は常時90銘柄以上を揃えているという充実ぶり。
小杉湯
1933年の創業以来、地元の人々に愛されてきた銭湯。創業当時から変わらぬ破風(はふ)屋根は存在感たっぷり。銭湯文化だけでなく地域におけるアートやイベントなどの発信基地にもなっている。
珍屋(めずらしや)
昭和歌謡や日本のフォーク&ロック、ジャズ、ソウルなど、さまざまなジャンルのレコードやCD、カセットテープを揃えている店。じっくりと時間をかけて、掘り出し物を探す楽しみも。
でんえん
1957年創業の名曲喫茶。開店当時からほとんど変わらない内装を手がけたのは、中央線の名曲喫茶を数多く手がけてきた画家の美作(みまさか)七朗。店主の新井富美子さんは97歳で、今も店に立つ。
ほんやら洞
フォークシンガー故・中山ラビさんがオーナーを務めた70年代の香り漂うカフェバー。現在は中山さんの息子が継ぐ。牧野さんのお気に入りは、チョリソーをツマミに飲む「トマト酎ハイ」(左写真)。
でめてる
農薬を使わない安心して食べられる旬の野菜や豆腐、豆、海藻を中心にしたおかずを、玄米と共に定食として提供する店。女性1人でも食事を楽しめる店を目指して、1982年につくられた。
『クロワッサン』1134号より
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