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カリフォルニアワイン第3の聖地で、優雅で美味しいワイナリー体験を。

アメリカ・カリフォルニアのコーストラインには、一度は訪れたい魅力的なスポットが満載。サンフランシスコを起点にロサンゼルスまで南下していきながら、各地で出合った素晴らしいグルメや最高のホテル、美酒が体験できるワイナリーなどを、シリーズでご紹介いたします。

写真・Max Whittaker、斎藤理子 文・斎藤理子

サンフランシスコからロサンゼルスまで、カリフォルニアのベストを楽しむリュクスな旅。

カリフォルニアワイン第3の聖地で、 優雅で美味しいワイナリー体験を。

カリフォルニアワイン第3の聖地で、優雅で美味しいワイナリー体験を。

今やナパやソノマに並ぶ勢いのワインカントリーへ。カリフォルニアらしい広大なワイナリーでのティスティングはもちろん、名所旧跡や観光アトラクションが点在しているサン・ルイス・オピスポ・カウンティ(SLO)は見どころが満載です。

ホルター・ランチのワイン。左から、ロゼ、白、赤。
ホルター・ランチのワイン。左から、ロゼ、白、赤。

美味しいカリフォルニア料理と一緒に相性抜群なワインをテイスティング。

サンフランシスコとロサンゼルスのちょうど中間くらいにあるサン・ルイス・オビスポ・カウンティ(SLO)。その代表的なワインの産地がパソ・ロブレスです。この街の周辺には200以上のワイナリーがあり、ナパやソノマよりも歴史が長い葡萄畑も多くあるそうです。その中で今回は、オーガニック葡萄100%でワインを作っている『ホルター・ランチ(Halter Ranch)』で、ランチと一緒にワインテイスティングを楽しみました。

『ホルター・ランチ』は、パソ・ロブレスの最西端にあり、2700エーカー(約300万坪)の土地の中に256エーカーの葡萄畑を有しています。20品種の葡萄が育てられているその畑はすべてCCOF(カリフォルニア州有機認証機関)認証のオーガニック。葡萄の完全オーガニック栽培だけでなく、周囲の自然環境や野生動物の保護、温室効果ガス削減、雨水利用による水資源の確保と節水など、サステナブルなワイナリーを運営するためにさまざまな取り組みをしています。

サンタルシア山脈に囲まれた、広大な葡萄畑。
サンタルシア山脈に囲まれた、広大な葡萄畑。
より良いワインを生み出すために、弊害が多い単一栽培を避け、豊かな土壌づくりに日々取り組み、持続可能なワイン造りを実践している。
より良いワインを生み出すために、弊害が多い単一栽培を避け、豊かな土壌づくりに日々取り組み、持続可能なワイン造りを実践している。
葡萄畑の中にあるテイスティングルームとレストラン『アリス』があるカントリー調の建物。ショップは10時30分〜17時、レストラン(ランチ)は11時〜15時30分。テイスティングはひとり35ドル〜。テイスティングとランチは要予約。
葡萄畑の中にあるテイスティングルームとレストラン『アリス』があるカントリー調の建物。ショップは10時30分〜17時、レストラン(ランチ)は11時〜15時30分。テイスティングはひとり35ドル〜。テイスティングとランチは要予約。
サンタルシア山脈に囲まれた、広大な葡萄畑。
より良いワインを生み出すために、弊害が多い単一栽培を避け、豊かな土壌づくりに日々取り組み、持続可能なワイン造りを実践している。
葡萄畑の中にあるテイスティングルームとレストラン『アリス』があるカントリー調の建物。ショップは10時30分〜17時、レストラン(ランチ)は11時〜15時30分。テイスティングはひとり35ドル〜。テイスティングとランチは要予約。

オーガニック栽培された葡萄から作られる『ホルター・ランチ』のワインはもちろんすべて、添加物や化学物質は無添加。その素晴らしいワインをテイスティングしながら、オーガニック食材で作られるカリフォルニア料理を楽しめるのが敷地内のワイナリーレストラン『アリス』です。自社農園の野菜、近隣牧場の肉など、使う食材は極めてローカルでオーガニックなもののみ。それを、エグゼクティブ・シェフのポール・アランゴリンさんが、軽やかなカリフォルニア・キュイジーヌに仕立てます。どの料理も『ホルター・ランチ』のオーガニックワインとの相性は言わずもがな。ワインと料理の完璧なマリアージュを体験できます。

左から/2023発泡ロゼ50ドル、2023Fエルメンティーノ40ドル、2023CDP58ドル、2020カベルネ・ソーヴィニヨン68ドル、2021アンセスター88ドル。
左から/2023発泡ロゼ50ドル、2023Fエルメンティーノ40ドル、2023CDP58ドル、2020カベルネ・ソーヴィニヨン68ドル、2021アンセスター88ドル。
チーズとシャルキュトリーの盛り合わせ40ドル。これだけでワインがいくらでもすすむ。
チーズとシャルキュトリーの盛り合わせ40ドル。これだけでワインがいくらでもすすむ。
ホルター・ランチ・バーガー&トリュフオイルのフライドポテト25ドル。 バーガーに使われているラクレットチーズとスモーク・オニオン・アイオリ、上質な牛肉の旨味が、バーガーをきちんとした一品料理にしている。
ホルター・ランチ・バーガー&トリュフオイルのフライドポテト25ドル。 バーガーに使われているラクレットチーズとスモーク・オニオン・アイオリ、上質な牛肉の旨味が、バーガーをきちんとした一品料理にしている。
左から/2023発泡ロゼ50ドル、2023Fエルメンティーノ40ドル、2023CDP58ドル、2020カベルネ・ソーヴィニヨン68ドル、2021アンセスター88ドル。
チーズとシャルキュトリーの盛り合わせ40ドル。これだけでワインがいくらでもすすむ。
ホルター・ランチ・バーガー&トリュフオイルのフライドポテト25ドル。 バーガーに使われているラクレットチーズとスモーク・オニオン・アイオリ、上質な牛肉の旨味が、バーガーをきちんとした一品料理にしている。

ホルター・ランチ(Halter Ranch)
https://www.halterranch.com

オリーブオイルの本当の美味しさに目覚める、オリーブ農場でのテイスティング体験。

カリフォルニアの気候と土壌は、実はオリーブ育成にも最適。世界的にも評価が高いオリーブオイルを生産しています。その中でもパソ・ロブレスにある『パソリヴォ・ランチ(Pasolivo Ranch)』は、数々の受賞歴に輝くオリーブオイルを生み出しているオリーブ農場として有名。

130エーカーの敷地の中に45エーカーのオリーブ畑があり、7000本のオリーブの木が植えられています。そのすべてがオーガニックで、オリーブの実はひとつひとつ手作業で摘まれます。手摘みされたオリーブの実はゆっくりとプレスされエキストラヴァージンオリーブオイルとなってここで瓶詰め。オリーブ畑の中にあるショップでは、ひとり15ドルでオリーブオイル・テイスティングが体験できます。オリーブの木や種類やブレンドによって変わる味わいの違いに、オリーブオイルの世界の深さを体感する貴重な機会です。

『パソリヴォ・ランチ』のショップとテイスティングルーム。ショップは11時〜17時。テイスティングは要予約。
『パソリヴォ・ランチ』のショップとテイスティングルーム。ショップは11時〜17時。テイスティングは要予約。
シングルオリジン、ブレンド、インフュージョンなど多彩なラインナップをテイスティング。
シングルオリジン、ブレンド、インフュージョンなど多彩なラインナップをテイスティング。
テイスティングシートには、それぞれのオリーブオイルの特徴が書かれていてわかりやすい。好みは意外とすぐに見つかる。
テイスティングシートには、それぞれのオリーブオイルの特徴が書かれていてわかりやすい。好みは意外とすぐに見つかる。
エキストラヴァージンオリーブオイル500ml 49.95ドル〜。ローズマリーやバジル、ガーリック、レモンなどのフレーバーブレンドオイルは、本物のハーブや果実を使って作られ人工香料や防腐剤は一切含まれていない。
エキストラヴァージンオリーブオイル500ml 49.95ドル〜。ローズマリーやバジル、ガーリック、レモンなどのフレーバーブレンドオイルは、本物のハーブや果実を使って作られ人工香料や防腐剤は一切含まれていない。
7000本のオリーブの木が育つ、『パソリヴォ・ランチ』のオリーブ畑。
7000本のオリーブの木が育つ、『パソリヴォ・ランチ』のオリーブ畑。
『パソリヴォ・ランチ』のショップとテイスティングルーム。ショップは11時〜17時。テイスティングは要予約。
シングルオリジン、ブレンド、インフュージョンなど多彩なラインナップをテイスティング。
テイスティングシートには、それぞれのオリーブオイルの特徴が書かれていてわかりやすい。好みは意外とすぐに見つかる。
エキストラヴァージンオリーブオイル500ml 49.95ドル〜。ローズマリーやバジル、ガーリック、レモンなどのフレーバーブレンドオイルは、本物のハーブや果実を使って作られ人工香料や防腐剤は一切含まれていない。
7000本のオリーブの木が育つ、『パソリヴォ・ランチ』のオリーブ畑。

パソリヴォ・ランチ(Pasolivo Ranch)
https://www.pasolivo.com/pages/visit-pasolivo

人工の美の極限からワイルドライフまで必ず訪れたいスポットがあちこちに。

サン・ルイス・オビスポ・カウンティで絶対に外せないのが、サンシメオンを見下ろす丘に建つ『ハーストキャッスル(Hearst Castle)』の見学です。20世紀初頭に新聞・出版を支配しメディア王として巨額の富を築いたウィリアム・ランドルフ・ハーストが、個人別荘の一つとして文字通り贅を尽くして築き上げた “城” 。1919年から1947年まで、完成までになんと30年近くの月日をかけた地中海風の豪華な建物からは、セントラルコーストが一望でき、ロケーションも最高。25万エーカーの敷地には、なんとプライベートジェット用の滑走路まであります。

スペイン・ロンダ大聖堂の建築様式を模したファサードが豪壮なメインビルディング “カーサ・グランデ”。それに連なる地中海風の建築物が、カリフォルニアの陽光に映えます。ゲストハウスやコテージも合わせると、総部屋数は165。ギリシャやローマ時代の彫刻、ルネサンス期の絵画など、城内には博物館クラスの芸術品にあふれ、見るものを圧倒します。

豪華絢爛なハーストキャッスルの中でも必見は、屋外の “ネプチューン・プール” と室内の “ローマン・プール”。特に、ベネチアのムラノ島で作らせたタイルと24金からなる緻密なモザイクでできた “ローマン・プール” は圧巻の美しさを持つ芸術品のようなプールです。

メインビルディングの “カーサ・グランデ”。手入れが行き届いた庭の植栽も美しい。ハーストキャッスルの見学はガイド付きの館内ツアーがおすすめ。予約はオンラインで。ビジターセンンターで当日チケット購入も可。大人35ドル。
メインビルディングの “カーサ・グランデ”。手入れが行き届いた庭の植栽も美しい。ハーストキャッスルの見学はガイド付きの館内ツアーがおすすめ。予約はオンラインで。ビジターセンンターで当日チケット購入も可。大人35ドル。
“カーサ・グランデ” のファサード。
“カーサ・グランデ” のファサード。
広大な庭園は、どこを切り取っても美しい。
広大な庭園は、どこを切り取っても美しい。
緻密なモザイクと24金をふんだんに使った贅沢すぎる “ローマン・プール”。
緻密なモザイクと24金をふんだんに使った贅沢すぎる “ローマン・プール”。
屋外の “ネプチューン・プール”。ローマの神殿風の建物と数々の彫刻が見守る。
屋外の “ネプチューン・プール”。ローマの神殿風の建物と数々の彫刻が見守る。
メインビルディングの “カーサ・グランデ”。手入れが行き届いた庭の植栽も美しい。ハーストキャッスルの見学はガイド付きの館内ツアーがおすすめ。予約はオンラインで。ビジターセンンターで当日チケット購入も可。大人35ドル。
“カーサ・グランデ” のファサード。
広大な庭園は、どこを切り取っても美しい。
緻密なモザイクと24金をふんだんに使った贅沢すぎる “ローマン・プール”。
屋外の “ネプチューン・プール”。ローマの神殿風の建物と数々の彫刻が見守る。

ハーストキャッスル(Hearst Castle)
https://hearstcastle.org

ハースト城を堪能した後は、城が建つ丘のふもとにある『ハースト・ランチ・ワイナリー・サンシメオン・テイスティングルーム(Hearst Ranch Winery San Simeon Tasting Room)』でのワイン・テイスティングへ。メディア王ハースト氏の末裔にあたるスティーブ・ハースト氏と、共同オーナーのジム・サンダース氏がワイン造りを始めたのは1992年。サンシメオン湾の一角の海辺にある素敵なテイスティングルームは2010年にオープンしました。

『ハースト・ランチ・ワイナリー』は、シラー、マルベック、テンプラニーニョといった品種を栽培するのに最適な気候とされる東パソ・ロブレスの農園で、サステナブル農法で作られる葡萄を使い、いくつもの受賞歴がある美味しいワインを作っているワイナリー。そのワインを、海岸に並べられたテーブルで、海風に吹かれながらテイスティングというシチュエーションは、ワイナリーがたくさんあるサン・ルイス・オピスポ・カウンティの中でもここにしかない貴重な体験。ぼーっと海を眺めながらふんわりとした酔いに身を任せる、最高の時間が過ごせます。

オーシャンフロントで海を眺めながらのテイスティングは最高の体験。冬時間(〜2月28日 12時〜16時。火曜・水曜休み。4種テイスティング35ドル〜。
オーシャンフロントで海を眺めながらのテイスティングは最高の体験。冬時間(〜2月28日 12時〜16時。火曜・水曜休み。4種テイスティング35ドル〜。
2023グレイシャー・リッチ・シャルドネ32ドル(1本)。
2023グレイシャー・リッチ・シャルドネ32ドル(1本)。
テイスティング用グラスにワインが注がれる。
テイスティング用グラスにワインが注がれる。
2023ジュリア・ロゼ32ドル (1本)。
2023ジュリア・ロゼ32ドル (1本)。
右と左/2020プロプリエーターズ・リサーブ・ポイント85ドル、中央上/プロプリエーターズ・リサーブ・カベルネ・ソーヴィニヨン120ドル、中央下/プロプリエーターズ・リサーブ・シャルドネ75ドル。
右と左/2020プロプリエーターズ・リサーブ・ポイント85ドル、中央上/プロプリエーターズ・リサーブ・カベルネ・ソーヴィニヨン120ドル、中央下/プロプリエーターズ・リサーブ・シャルドネ75ドル。
シンプルだけど印象に残るロゴ。
シンプルだけど印象に残るロゴ。
オーシャンフロントで海を眺めながらのテイスティングは最高の体験。冬時間(〜2月28日 12時〜16時。火曜・水曜休み。4種テイスティング35ドル〜。
2023グレイシャー・リッチ・シャルドネ32ドル(1本)。
テイスティング用グラスにワインが注がれる。
2023ジュリア・ロゼ32ドル (1本)。
右と左/2020プロプリエーターズ・リサーブ・ポイント85ドル、中央上/プロプリエーターズ・リサーブ・カベルネ・ソーヴィニヨン120ドル、中央下/プロプリエーターズ・リサーブ・シャルドネ75ドル。
シンプルだけど印象に残るロゴ。

ハースト・ランチ・ワイナリー(Hearst Ranch Winery)
https://www.hearstranchwinery.com

サンシメオンから北に7マイルのところにあるピエドラス・ブランカス・ルーケリーは、世界で唯一、年中無休で無料一般公開されているゾウアザラシの繁殖地です。ビーチには想像以上に大量のゾウアザラシが寝そべっていて、その姿を間近の観覧エリアから見ることができます。ボランティアガイドの解説を聞きながら、野生のゾウアザラシを観察するというレアな体験はここでしかできません。運が良ければ海を泳いでいくラッコやクジラも見られます。

野生のゾウアザラシ。砂の色とほとんど一体化している。
野生のゾウアザラシ。砂の色とほとんど一体化している。

サンシメオン・ゾウアザラシ観察エリア
https://visitsansimeonca.com/what-to-do/elephant-seals-san-simeon/

【協力】
カリフォルニア観光局

Visit California
https://www.visitcalifornia.com/jp/

サン・ルイス・オビスポ観光局
Visit SLO CAL
https://www.slocal.com

  • 斎藤理子

    斎藤理子 さん (さいとう・りこ)

    フードジャーナリスト

    雑誌編集者を経てロンドンなど海外に長年住み、その間世界各国を食べ歩く。現在は国内外の生産者から三つ星シェフ、立ち飲みまで広く取材し執筆。著書に「イギリスを食べつくす」(主婦の友社)、「隣人たちのブリティッシュスタイル」(NHK出版)など。編著に『アル・ケッチァーノ』奥田政行シェフの連載をまとめた「田舎のリストランテ頑張る」(マガジンハウス)。2011年英国政府観光庁メディアアワード受賞。やまがた特命観光・つや姫大使。

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