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理想の健康食・スリランカカレーができる、印度カリー子さんの基本の6レシピ。

何種類ものカレーをワンプレートに盛り合わせるスリランカカレー。野菜や豆、スパイスもたっぷり摂れて、ヘルシーかつ彩り豊かな食卓に。

撮影・黒川ひろみ スタイリング・肱岡香子 文・黒澤 彩

たっぷり野菜と多様なスパイス。スリランカカレーは理想の健康食。
たっぷり野菜と多様なスパイス。スリランカカレーは理想の健康食。

スパイスをたっぷり取り入れられるメニューといえば、もちろんカレー!

なかでも、スリランカカレーは「油っぽくこってりしたカレーはちょっと重い」と感じている人にもおすすめ。

「豆、チキン、野菜などのカレーと付け合わせをワンプレートで食べるのがスリランカカレーのスタイルです。お皿の上で混ぜながら食べるのが楽しく、辛味や酸味などを自分で調整しながら食べ進められるので飽きません」とは、スパイス料理研究家の印度カリー子さん。スリランカカレーのスパイス使いには、どんな特徴が?

「ポイントは、スパイスをローストしてから使うことです。肉のカレーなどは、よく炒ることで香ばしくビターな味わいに仕上げます。本場ではツナパハという、スパイスをブレンドしたカレー粉を使いますが、日本で作る場合はそれに似たスパイスを調合します」

コリアンダー、クミン、ターメリックなどおなじみのスパイス類に加え、もしも手に入れば、カレーリーフかパンダンリーフ(ランペ)を入れると、より本場の味に近くなる。

辛さはというと、基本的には「めっちゃ辛い」のがスリランカカレー。

「今回は食べやすいように、チリペッパーを控えめにして辛くないパプリカパウダーで代用したり、青唐辛子をピーマンに代えたりしています。辛いのが好きな方は、チリペッパーを多めにするなどアレンジしてもいいですね」

少量の油で作れるのもうれしい。主に使うのは植物油で、ココナッツミルクが欠かせない。カリー子さんによれば、スリランカの人にとってのココナッツミルクは、日本の醤油のようなもの。これがないとスリランカカレーとはいえないくらいなのだそう。

野菜たっぷり、油少なめ、スパイスと鰹節の風味が豊かなので塩分も控えめ、と体にいいことずくめのスリランカカレー。たくさんの品数を用意するのは大変そうに見えて、実は一つひとつはさっと炒めて軽く煮込むだけと案外手間がかからない。

あとはバスマティライスが手に入れば言うことなしだが、「ふつうのお米でもまったく問題ありませんよ。基本的なスパイス類とココナッツミルクがあれば大丈夫なので、ぜひ作ってみてください」。

理想の健康食・スリランカカレーができる、印度カリー子さんの基本の6レシピ。

バスマティライスをおいしく炊くには?

インディカ米の一種のバスマティライス。米2合に対し、水は2.5合弱くらいの水位まで多めに入れて炊く。

家でスリランカプレートができる! 基本の6レシピ。

パリップ

理想の健康食・スリランカカレーができる、印度カリー子さんの基本の6レシピ。

毎日のように食べられているスリランカのお味噌汁的存在。

パリップとは、レンズ豆のカレー。野菜や肉のカレーと比べてスパイスは少なめで、辛さよりも豆と玉ねぎの甘みを感じる。「このパリップとご飯、ポルサンボルはスリランカで定番の朝ごはんセット。毎日食べる、味噌汁のようなものですね」とカリー子さん。レンズ豆は長時間煮込まなくても柔らかくなるので手軽。

【材料(作りやすい分量)】
赤レンズ豆 100g(皮なし。茶レンズ豆では代用不可。よく水で洗っておく) 
玉ねぎ 1/4個(2mm厚のスライス)
にんにく 1かけ(潰してから千切り)
しょうが 1かけ(千切り)
水 500ml
ココナッツミルク 100ml
カレーリーフ(あれば)10枚
鰹節 2g
サラダ油 大さじ1
塩 小さじ1
ホールスパイス[シナモンスティック 3cm マスタードシード 小さじ1/2]
パウダースパイス[ターメリック 小さじ1/2 チリペッパー 小さじ1/2]

【作り方】
1.フライパンにサラダ油を引いて、ホールスパイスを熱する。マスタードシードがパチパチと跳ねるので、油の中にスパイスを入れるようにする。
2.マスタードシードの跳ねがおさまってきたら、にんにくとしょうがを加える。香りが立ってきたら玉ねぎとカレーリーフを加え、中火で1分ほど炒める。
3.赤レンズ豆、水、鰹節、パウダースパイスを加えて沸騰したら弱火で20分ほど煮る。吹きこぼれるため蓋はしない。水が少なくなって焦げそうであれば途中で少量水を足す。
4.水がほとんどなくなり、豆が簡単に煮崩れるくらいになったら、塩とココナッツミルクを加える。味が物足りなければさらに塩(分量外)を少しずつ加えて調える。

スリランカチキンカレー

理想の健康食・スリランカカレーができる、印度カリー子さんの基本の6レシピ。

パウダースパイスをしっかり炒って、香ばしさをプラス。

今回唯一、肉がメインの一品。「最初にパウダースパイスをローストしておき、そのあとホールスパイスを炒めます。役割としては、ローストしたパウダースパイスが香ばしさと深みを、ホールスパイスが爽やかな香りを添えてくれます」。パウダースパイスはよく炒るが、玉ねぎと鶏肉はほとんど炒めなくていい。

【材料(作りやすい分量)】
鶏手羽元 6本(350g)
玉ねぎ 1/4個(2mm厚のスライス)
トマト 1/4個(くし形切り)
にんにく 1かけ(潰してから千切り)
しょうが 1かけ(千切り)
カレーリーフ(あれば)10枚
水 200ml
ココナッツミルク 150ml
サラダ油 大さじ1
塩 小さじ1
ホールスパイス[カルダモン 3粒(軽く潰す) クローブ 6粒 シナモンスティック 3cm マスタードシード 小さじ1/2]
パウダースパイス[コリアンダー 大さじ1 クミン小さじ2 パプリカ 小さじ1 ターメリック 小さじ1/2 チリペッパー 小さじ1/2]

【作り方】
1.パウダースパイスはフライパンに入れて中火にかける。煙が出てきたら弱火にし、さらに2分ほど炒り、取り出しておく。
2.あいたフライパンにサラダ油を引いて、ホールスパイスを熱する。マスタードシードがパチパチと跳ねるので、油の中にスパイスを入れるようにする。
3.マスタードシードの跳ねがおさまってきたら、にんにくとしょうがを加える。香りが立ってきたら玉ねぎとカレーリーフを加え、中火で1分ほど炒める。
4.鶏肉、1、塩を加えて軽く混ぜ合わせ、水、ココナッツミルク、トマトを加えて沸騰させ、蓋をして弱火で30分ほど煮る。
5.味をみて物足りなければ、塩少々(分量外)を加えて調える。

ビーツのカレー

理想の健康食・スリランカカレーができる、印度カリー子さんの基本の6レシピ。

辛さ控えめ、甘くスパイシーな香り。

鮮やかな赤い色も美しいビーツのカレーは、プレートにぜひ加えたい一品。今回使ったのは袋入りや缶詰で市販されている水煮ビーツ。もし生のものが手に入った場合は、柔らかくなるまで煮ること。「甘みのあるビーツに合わせて、ホールスパイスもシナモンやフェヌグリークシードといった甘めの香りのものを使っています」

【材料(作りやすい分量)】
ビーツの水煮 250g(5mm厚の細切り)
玉ねぎ 1/4個(みじん切り)
ピーマン 1/2個(粗みじん切り)
カレーリーフ(あれば)10枚
ココナッツミルク 50ml
水 50ml
サラダ油 大さじ1
塩小さじ1/2
ホールスパイス[シナモンスティック 2cm マスタードシード 小さじ1/2 フェヌグリークシード 小さじ1/8]
パウダースパイス[コリアンダー 小さじ1/2 クミン 小さじ1/2 ターメリック 小さじ1/4 チリペッパー 小さじ1/4]

【作り方】
1.フライパンにサラダ油を引いて、シナモン、マスタードシードを熱する。マスタードシードがパチパチと跳ねはじめたらフェヌグリークシードを加える。
2.マスタードシードの跳ねがおさまってきたら玉ねぎ、ピーマン、カレーリーフを加え、中火で1分ほど炒める。
3.ビーツ、パウダースパイス、塩、ココナッツミルク、水を加えて混ぜ合わせ、蓋をして3分ほど蒸し煮にする。

いんげんのカレー

理想の健康食・スリランカカレーができる、印度カリー子さんの基本の6レシピ。

くたくたに煮た野菜がとろりとおいしい。

野菜そのものの味を生かせるバランスのいいスパイス使い。「いんげんはくたくたになるまで煮るイメージ。シャキッとした食感でなくてもいいので、冷凍のものでもおいしくできます。ほかにもオクラ、かぼちゃ、じゃがいも、カリフラワーなど、いろいろな野菜で応用できるので、季節の野菜で試してみてください」

【材料(作りやすい分量)】
さやいんげん 200g(3〜4cm長さに切る)
玉ねぎ 1/4個(薄切り)
にんにく 1かけ(潰してから千切り)
カレーリーフ(あれば)10枚
鰹節 1g
ココナッツミルク 50ml
水 50ml
サラダ油 大さじ1
塩 小さじ1/2
ホールスパイス[シナモンスティック 2cm マスタードシード 小さじ1/2 フェヌグリークシード 小さじ1/4]
パウダースパイス[コリアンダー 小さじ1/2 ターメリック 小さじ1/2 クミン 小さじ1/2 チリペッパー 小さじ1/4]

【作り方】
1.フライパンにサラダ油を引いて、シナモン、マスタードシードを熱する。マスタードシードがパチパチと跳ねはじめたらフェヌグリークシードを加える。
2.マスタードシードの跳ねがおさまってきたら玉ねぎとにんにく、カレーリーフを加え、中火で1分ほど炒める。
3.さやいんげん、パウダースパイス、塩、ココナッツミルク、水、鰹節を加えて混ぜ合わせ、蓋をして3分ほど蒸し煮にする。

なすのモージュ

理想の健康食・スリランカカレーができる、印度カリー子さんの基本の6レシピ。

カレーを〝味変〞できる爽やかな酢漬け。

モージュは、インド料理のアチャールと同じスパイス酢漬け。ワインビネガーの爽やかな酸味がしっかり効いていて、たとえば、甘みのあるパリップ(豆カレー)とこれを混ぜて食べることでカレーに酸味を補うといった食べ方を楽しめる。「スパイスの中でも酸味のあるマスタードシードのパウダーを使うのがポイントです」

【材料(作りやすい分量)】
なす 3本(拍子木切り)
玉ねぎ 100g(みじん切り)
ピーマン 1/2個(粗みじん切り)
にんにく 1かけ(潰してから千切り)
しょうが 1かけ(千切り)
カレーリーフ(あれば)10枚
白ワインビネガー 50m
水 50ml
サラダ油 大さじ2
砂糖 大さじ1
塩 小さじ1
ホールスパイス[カルダモン 1粒]
パウダースパイス[マスタード 大さじ1 ターメリック 小さじ1 チリペッパー 小さじ1/4]

【作り方】
1.なすに塩(分量外)をまぶして10分ほどおく。水が出てきたらキッチンペーパーで拭き取る。この工程をすることでなすが余分に油を吸わない。
2.フライパンにサラダ油大さじ1を引いて1を揚げ焼きにする。実がほとんど潰れて薄茶に色づくまで熱したら取り出しておく。
3.あいたフライパンにサラダ油大さじ1を加え、カルダモンを1分ほど熱し、にんにく、しょう
が、カレーリーフを加える。
4.玉ねぎ、ピーマンを加え、玉ねぎが茶色くなるまで炒めたら、パウダースパイス、白ワインビネガー、水、砂糖、塩を加えて混ぜ合わせ、蓋をして5分ほど弱火で加熱する。
5.2を加えて全体を混ぜ合わせたら火を止める。保存容器に移して冷蔵庫で一晩冷やす。

ポルサンボル

理想の健康食・スリランカカレーができる、印度カリー子さんの基本の6レシピ。
ココナッツファインは乾燥させた実をフレーク状にしたもの。
ココナッツファインは乾燥させた実をフレーク状にしたもの。
理想の健康食・スリランカカレーができる、印度カリー子さんの基本の6レシピ。
ココナッツファインは乾燥させた実をフレーク状にしたもの。

スリランカの食卓に必須の、ご飯のお供。

パリップが味噌汁ならこちらは漬物やふりかけのような存在。いずれにしてもカレーに欠かせない付け合わせ。レモンの清涼感とスパイスの辛味、ココナッツのしょりしょりした食感がいい。「火を使わず、材料を混ぜるだけ。チリペッパーを控えめにしていますが、好みでもっと辛くしてもいいですよ」

【材料(作りやすい分量)】
ココナッツファイン 80g
玉ねぎ 1/8個(みじん切り)
レモン汁 小さじ2
鰹節 1g
チリペッパー 小さじ1/4
パプリカパウダー 小さじ1/4
塩 小さじ1/4
胡椒 少々

【作り方】
全ての材料をボウルに入れて、揉み込むようにして混ぜる。

  • 印度カリー子

    印度カリー子 さん (いんど・かりーこ)

    スパイス料理研究家

    「スパイスカレーをおうちで手軽に」の思いから、初心者のための専門店『印度カリー子のスパイスショップ』でスパイスセット販売中。インスタグラム@indocurryko

『クロワッサン』1122号

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