娘の独立を機に、夫婦ふたりの快適な空間にマンションをリメイク。
撮影・小川朋央 イラストレーション・川合翔子 文・田村幸子
独立した娘の部屋を仕事部屋に。 寝室はリビングに移動させました。
東京都心にある駅近のマンション。建築家の夫と2人で暮らす綛谷久美さんは、2022年9月から半年かけて部屋を入れ換え、リメイクした。
「娘の結婚が決まり、5畳弱の部屋が空きました。そこで、以前は寝室と一緒になっていた私のワーキングスペースを移動させて、仕事部屋を作ることに決めました」
デスクトップパソコンのモニターが2台置けて、原稿や資料を広げられる横長の机が必要だったので、もともと使っていたIKEAの机の脚と引き出しだけ残し、新しいデスクを作った。
「狭い部屋をできるだけ広く見せるように、床と家具の色のトーンを合わせるようにしています」
デスクの天板と棚は、夫がサイズを測って図面を引き、木材を調達したオーダーメイドだ。綛谷さんの仕事部屋づくりと同時に、もともと寝室だった部屋を夫の仕事部屋にした。リビングの奥にベッドを置こうと提案した綛谷さんに、夫は最初反対していたが、「ホテルみたいで新鮮じゃない?」と話して最終的には合意。夫婦だけの暮らしになり、食器類も処分して数を減らした。次のリフォームはキッチン。使い勝手のいい空間づくりは今後も続く予定だ。
娘の部屋だった洋室を綛谷さんの仕事部屋に。かつて仕事部屋としても使っていた寝室を夫の専用スペースにした。大胆にもリビングにベッドを移動して寝室にし、それぞれ個室を確保。「2人とも趣味の物が多いので個室にして落ち着きました」
仕事道具の料理本を整然と並べた本棚は、 夫が作図したDIY。
4.8畳の洋室に、モニター2台が置けるデスクと料理本をどう収納するかを考えた。
「奥行きのある本がすっぽり入る棚を夫が作ってくれました。下は無印の衣装ケースで、趣味の着物を入れています。この上下の収納に高さと長さを合わせ、長さ264cmの天板をのせました」
(BEFORE)
夫婦2人の食器はかごに入れて棚1つ分に収納。
ふだん使いの食器はかごに入れた限られたものだけ。「たくさんありましたが、かなり処分しました。気に入ったものだけリビングの棚1つ分に収納し、残りはそのうち整理しようと思っています」
「リビングにベッド」は、 おしゃれなホテルのよう。
夫と妻、それぞれの仕事部屋を作るため、寝室をリビングの一角に。ホテルのような空間だと思えばいい、という発想の転換だった。間仕切りにはモジュール棚と観葉植物を置いて生活感が出ないよう工夫した。
『クロワッサン』1112号より