事故やケガでお金はいくらかかる? 保険のカバーは? お金のプロに聞きました。
ピンチをなんとか乗り切るために、知っておきたいことをファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに聞きました。
イラストレーション・しりあがり寿 文・長谷川未緒
相手あっての事故やけがは、保険加入の有無などで大きな差が出ることもある。
(CASE 1)通勤中、転んで手をついた拍子に手首を骨折してしまい…。
【 会社員 なら労災保険があるので0円】
【 自営業 なら手術・入院(10日間)で約15万円*】
社員やアルバイトなどの労働者が業務上負った傷、疾病、死亡は、労災保険から補償を受けられる。
「工場や建設現場等での作業中に負ったけがのイメージが強いかもしれませんが、通勤中の事故やけがにも労災の補償が適用されます。医療費のほか、休業した場合は休業補償、後遺症が残った場合は障害補償の給付なども」。
ただし、通退勤時の寄り道等の場合、労災と認められるかどうかは個別に判断される。なお、個人事業主は基本的に労災保険に加入できないため自己負担になるが、大工やとび職人、漁師、林業・農業従事者など、特別加入の対象となる職業もある。仕事中の事故やけがが多い職種に該当する人は、加入を検討してもいいだろう。
(CASE 2)運転中のもらい事故で、ムチウチになりました。
【入院(9日間)で約16万円*】
交通事故によるムチウチ。首に強い力がかかることで起こる首の捻挫で、頚椎捻挫や外傷性頚部症候群などの診断名がつく。
「こちら側に過失がない場合は、いったん支払いが生じても、実際には加害者側に請求できます。主な請求内容は、治療費や通院費、通院交通費、休業した場合には休業損害や、後遺症が残った場合は後遺障害逸失利益、慰謝料なども考えられるでしょう」。
交通事故の直後は症状がなく、加害者側の要請により「物損事故」として警察に届け出てしまうと、あとから症状が出ても、破損車両の修理代しか請求できない場合も。症状の有無にかかわらず、交通事故にあったら必ず「人身事故」で届け出て、病院で診てもらうこと。
(CASE 3)駐車場で、停車中の隣の車にぶつけてしまいました。
【約5万円〜】
車の修理費用は損傷部位や状態によって異なるが、5万円程度から100万円以上のケースも(編集部調べ)。
「自動車を購入する際に必ず加入する自賠責保険は対人賠償のみで、物損事故は対象外。任意の自動車保険は基本的に対物賠償も含まれているので、確認しましょう。なお、数万円なら修理費より翌年以降の保険料のほうが高くなることもあるので、検討を」。ぱっと見、相手の車に被害がなくても、トラブル回避のために事故を起こしたら必ず警察へ通報を。
*厚生労働省「医療給付実態調査」(令和3年度)より算出。
『クロワッサン』1111号より