冷凍食品を見つめて40年! 事情通の山本純子さんに聞く最先端。
気になる新商品や業界の動向をご紹介。
撮影・内山めぐみ 構成&文・河野友紀
時を止め空間を超える冷食。魅力も市場もどんどん拡大中。
「料理をできたてのタイミングで、素材は旬の時季に凍結をし、菌が繁殖しないマイナス18度以下を保つことで品質をキープ、適切に解凍することで凍結前の美味しさが再現できる、というのが冷凍食品の最大の魅力です」
というのは、冷凍食品事情に詳しいジャーナリストの山本純子さん。
日本冷凍食品協会の発表によると、国内生産量、海外からの輸入量を合わせ、’22年には日本国内での冷凍食品の消費量が過去最高を記録。山本さんは、日本人にとって冷食はもはや日常に欠かせない食品だと言う。
ここ最近の冷食の新しい動きについて聞いてみると、ワンプレート、驚きのメニューの登場、そして高級品という3つのキーワードがある、とのこと。また冷食を美味しく食べるコツも伝授してくれた。
「どの冷食も、最後はユーザーが家で加熱をし、調理が完了。凍結した時点の美味しさを再現するには、メーカーが指示する方法や時間どおりに加熱することが一番大事。冷凍食品は掛け算です。最後の調理で失敗すると、美味しさがゼロになることも。表示どおりに解凍して加熱不足なら少しずつ微調整。食卓がレストランになりますよ」
おかずもごはんも一度にチン。 ワンプレートメニューが充実。
「1つのプレートにご飯とおかずの両方がのっており、一度加熱すれば1食出来上がる、その便利さが人気の理由。ニッスイの『まんぞくプレート』シリーズは、おかずはもちろん白米の美味しさが業界で大絶賛されました。またセブン-イレブンが今年1月より始めた『EASE UP』シリーズは、レストラン監修のカレーシリーズが好評」
●「まんぞくプレートふっくらごはんとチキン南蛮」
若手シェフ監修シリーズの第3弾。釜炊き白米の美味しさが大好評。
●「EASEUP(イーズアップ)」魯珈監修 ろかプレート
電子レンジで簡単に1食が完成。エリックサウスやルー・ド・メール監修のカレーも。
技術とアイデアで、こんな驚きの冷食も登場。
「日清食品冷凍が冷凍麺で培ってきた技術を応用した、このワンタン麺。ワンタンを氷の中に閉じ込めることで、加熱後でもツルンとした驚きの食感を実現している。もんじゃ焼きは、コナモンの冷凍食品でおなじみの、かねます食品の意欲作。6年近く試行錯誤を繰り返し、今年ついに商品化。まさにもんじゃ焼き!な品質に驚き」
●冷凍 日清本麺 ワンタン麺
肉ワンタンのなめらかな食感は驚異的。中細ストレートの麺とも相性良し。
●人気もんもんじゃ焼
焦がしソースが香ばしく、スプーンやヘラですくうと一口分が取れ、再現性の高さに感動。
極上の味こそ冷食向き!? 高級系ラインナップも続々。
「2019年末からロイヤルが自社の冷凍工場を活用し冷食に参入。さらにコロナ禍の巣ごもりでレストラン業界も冷食に取り組むようになり、価格高めの商品が増えました。高級スーパーなどでは2,000円、3,000円の商品も人気、実はかねてより巨匠シェフ監修で、1万円以上の冷食を作る超高級ブランドも登場しています」
●奥出雲和牛のプレミアムローストビーフ
フレンチの巨匠、ダニエル・マルタンシェフが監修、島根県の銘柄牛のローストビーフ。
『クロワッサン』1095号より