SNS依存、デマやトラブル…スマホ安全アドバイザーに聞く疲れ知らずのSNSルール。
ITジャーナリスト、スマホ安全アドバイザーの鈴木朋子さんに伺います。
撮影・山本康典 文・吉永美代
【自分のため、家族のためにルールを決めてトラブルを回避します。】
Q1. SNS記事に一喜一憂、疲れています。どうすればいい?
A. 生活ごと振り回される「SNS依存」には都度の対策を。
SNSによる気疲れは誰しも経験するものですが、下記チェックリストで該当する項目が8個以上あるならば、リアルの生活に支障をきたす「SNS依存」かもしれません。姿勢や視力にも悪影響があり、子どもはスマホの見すぎで斜視が増えているとの指摘も。
SNS依存を防ぐには、思い切っていったんSNSと距離を置くこと。周囲の人に宣言した上で、数日間デジタルデトックスするのもおすすめです。手軽なのは、「おやすみモード」などの機能でアプリからの通知を一定時間オフにすること。苦手な人の投稿を見えなくする「ミュート」設定や、自分の投稿を見られないようにする「フォロー削除」も適宜利用してみましょう。
SNS依存度チェックリスト
□ 使っていない間も常にSNSのことを考えている
□ 見ないとソワソワと落ち着かない
□ 気がつくと、思っていたより長く使っているる
□ 使用時間について身近な人から注意される
□ 使用時間を減らそうとして失敗したことが何度もある
□ SNSを見ていて電車を乗り過ごしたり約束に遅れたりする
□ 誰かと過ごしている間にもスマホをチェックする
□ 外食メニューや旅行先はいつも投稿を前提に選ぶ
□ 投稿が原因で友人や知人と気まずくなったことがある
□ 自分や他人の「いいね」数に気分が大きく左右される
Q2. デマや偏った情報に流されないためには?
A. 記事を簡単に信じず、まずはWebやTwitterで調べて。
新型コロナウイルスの流行当初にもさまざまなデマが飛び交いましたね。また美容や健康のサプリを絶賛するような記事は、タイアップの可能性もあります。目新しくインパクトの強い情報に触れたら、WebやTwitterで検索してみましょう。公的機関の発信や大手新聞社の記事など信頼できる情報が3つ以上見つかれば安心ですが、それでも受け止めるにとどめるのが無難です。また「フィルターバブル」といって、SNSの情報は自分の検索履歴に沿って好みの内容が集まるようになっています。偏った意見が多く集まりがちなので、あえてその反対意見を検索して読んだりと、いろんな方向から積極的に情報に触れるよう心がけるのも大事です。
Q3. 自分が投稿するときにトラブルを防ぐには?
A. 投稿回数は適度に、私生活の公開しすぎに気をつけて。
1日に何度も投稿するとフォロワーに疎ましく思われかねないので、更新頻度は1〜2日に1回程度に。プライバシーを保護する意識が浸透してきて、自分の投稿では個人情報を明かさないように注意している人も多いですが、油断しやすいのがコメント欄。知人にコメントする際に実名を出したりしないように気をつけましょう。
また、投稿を見る側の反応はさまざまです。写真付き年賀状と同じように、「子どもが生まれた」という投稿を素直に喜んでくれる人もいれば、自慢と取る人もいるかもしれません。たとえば、「子ども専用」「旅行用」など、複数のアカウントを使い分けるとターゲットが絞り込めて、発信する側も見る側も気兼ねなく楽しめます。
Q4 18歳成人もこの春からスタート。子どもをSNS被害から守るには?
A. 最初によく話し合ってスマホルールを決めましょう。
今では中学生の約8割、高校生のほぼ全員が自分専用のスマホを持っています。LINE、Twitter、Instagram、TikTokが人気ですが、SNSを通して詐欺被害や性犯罪に遭ってしまった事例もあります。突然の犯罪から身を守るために必須なのがフィルタリングサービスや、保護者が子どものスマホを管理できるファミリー共有などの機能。加えて、親子で話し合って上記のようなルールを決めておきましょう。
4月から成人年齢が変わり、18歳からクレジットカードやローン契約ができるように。大学入学など環境が変わる時期でもありますが、悩み事を話しやすい親子関係を作っておくことが大事です。いつの時代も、いちばん大切なのは家族のリアルな信頼関係なのです。
子どもにスマホを持たせるときのルール例
● スマホにはフィルタリングをかける。
● スマホのパスコードを変えさせない。
● スマホを使っていいのは夜10時まで。
● スマホを使える場所はリビングのみ。
● 個人情報をSNSに晒さない。
● 知らない人とつながらない、会わない。
● 友人のことについてSNSに書かない。
● 人や学校に見られて困る内容を書かない。
● 困ったことはすぐ家族に相談する。
『クロワッサン』1072号より