「自分の自由になるお金を確保したい」、プロのアドバイスは?
イラストレーション・サンダースタジオ 文・一澤ひらり
自分の自由になるお金を、もう少し確保したいです。
シノブさん 52歳/会社員(夫の会社の従業員)/既婚(会社経営の夫と子ども2人)
■シノブさん家計シート
月々の生活費は夫から口座に振り込まれる40万円だが、食費20万円と雑費15万円、光熱費などでほとんど消えて貯蓄に回せない。子どもの塾代など教育費17万円は教育資金贈与分から支出しているので生活費には含まない。
会社経営の夫と2人の子どもとの4人家族で、1カ月の生活費は40万円。かなりの高額だが、毎月使い切ってしまう、とシノブさん。
「その内訳としては、光熱費、通信費で約5万円。残りの35万円が食費、雑費ですが、なぜかほとんど残らないんですよね」
との話に、井戸さんが頭を抱え込む。
「家族4人が食費だけで月20万円! ちょっと衝撃的です。なぜこんなに?」
「自分でもわからないんです。スーパーで高級食材を買っているわけではないし、買い過ぎて食材を余らせたこともないし、外食もしません。自分なりに倹約しているつもりなんですけど」
と、シノブさんは1カ月分の買い物のレシートの束をテーブルに広げた。見れば1回の買い物は5000円平均だが、1日に数軒回っていることも。井戸さんが根本的な問題点を指摘する。
「家計簿をつけていないんですね。お金がどんなふうに使われているかを把握できていないのが最大の原因です。雑費の15万円も多いですよね。お金の使い方を意識しないでいては節約できるはずはありません。毎日溜まるレシートを家計簿アプリで撮影するなどして、まず食費の細目を見直すことから始めてください。スーパーにはどのくらいの頻度で行かれますか?」
「毎日、行っています。スーパーだけでなく、夫の好きな専門店のコーヒーや、家族みんな甘党なのでケーキ屋さんでスイーツを買ったり……」
シノブさんの返答に対策が見えてきた。毎日買い物するのは、ちょっとずつ余計なものを買い過ぎてしまう。1週間に1~2回、スーパーでまとめ買いをするようにすれば、あるものでなんとかしようという工夫も生まれるし、食費の節約に効果大、と井戸さん。
「まずは1日おきに行くようにしましょう。買い物に費やしてきた時間を自分のために使えるようになりますよ」
子どもたちが独立して夫婦2人暮らしになった時のことも、そろそろ考えたい時期。自分は何をしたいのか。そのためのスキルを磨く時間にも当てられる、とアドバイスする。
「生活費40万円を35万円と決めて、必ず守ってください。5万円を貯蓄して、自分のために有効に使いましょう」
買い物回数を減らしまとめ買い。お金も時間も、自分のために。
『クロワッサン』1062号より