【達人たちの防災グッズ】避難生活を経験してわかった、本当に備えておくべきグッズあれこれ。
撮影・岩本慶三 文・知井恵理
東日本大震災では在宅避難を選択したアベナオミさん。もっともつらかったことは「トイレです!」と即答。
「水が流せなかったり、下水道の破損による漏水被害があったりで、トイレが使えなくなるのが何より大変でした。空腹は1~2日耐えられますが、排泄は数時間しか我慢できません。大人ひとりにつき、最低でも15~20回分は簡易トイレを備えておきたいです。最近は100円ショップでも購入できますよ」
また、以下に紹介するおすすめグッズ以外にも、今も常備している“あってよかったもの”があるそう。
「おしりふきは、大人の体も拭けたり、掃除に使えたりと大活躍でした。また、生ゴミの処理にはおむつ用の防臭袋を使うと、臭いが防げて快適に過ごせます。野菜不足を補うための粉末緑茶にも助けられました」
大震災から9年が経った今、アベさんが大切にしているのは、
「防災を日常に落とし込むことです。災害のリスクは家庭によって全く違うので、まずリスクを洗い出してから対策を。たとえば、自宅が土砂災害警戒区域にある場合、避難リュックの準備と中身の定期チェックは必ず行い、ローリングストックはほどほどに、というのが現実的で無理なく続けられる防災だと思います」
在宅避難を選択するなら、家族と防災情報を共有しあうのも大事。
「子どもたちには、手回しライトの場所や各部屋内での安全な場所を教えています。また、避難経路にはランドセルや体操着袋を放置しないよう、声をかけています」
充電式クリーナーは、被災後の足元確保に大活躍。
地震後に散乱しがちなガラスの破片や植木鉢の砂といった細かいものの掃除に活躍。「サイクロン式はガラスの破片で傷つく場合があるので、できれば紙パック式を」。
癒やし効果もある沐浴剤は洗浄力があり洗い流し不要。
新生児から大人まで使える沐浴剤は、節水時に重宝。「家族一同、沐浴剤を溶かしたぬるま湯にタオルを浸してしぼり、体を拭いていました。香りにも癒やされます」。
電池不要のライトを吊り下げて設置するように。
「地震でも落下しにくいよう、ひもをつけて家のあちこちに吊るしています」。
断水になる前に、まず生活用水を風呂に溜める。
災害時は、道路の封鎖などで水が運搬できないことも多々あるので、水道が使える間はすぐ溜めること。
顔や体、食器に衣服まで洗える頼もしい無添加石けん。
着色料、香料などの添加物は一切不使用。97年の歴史を持つ超ロングセラー商品。
コンパクトな調理器具は、節水生活の味方。
ステンレスのキッチンバサミは、「大抵の食材がカットできました」。
生活水の再利用には注ぎ口が付いたバケツが使える!
「手を洗った水をバケツに溜め、洗濯に使い、最後はトイレに使用」と何度も溜め注ぎするので、注ぎ口付きが便利。
小さいサイズでも、あるとないでは大違い。
ホウキとちりとりは玄関に置いて。「帰宅時に家じゅうがちらかっていても、片づけながら部屋に上がれます」
防災用品はレジかご用バッグにしまい、それを収納ケースに入れてクローゼットへ。「中身は定期的に見直し、水害の危険に備えて収納ケースには必要なグッズを入れて2階に垂直避難を。在宅が厳しい場合は車両避難を想定しているので、リュックではなくレジかご用バッグで事足りています」
イラストレーション・アベナオミ
『クロワッサン』1028号より
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