佐々木マキさんインタビュー 「風刺漫画から生まれた、ちょっと毒のあるコミカルな絵本」
幼い頃、心をわくわくさせてくれた数々の絵本。大人になったいま読み返すと、あの頃の自分に戻れるだけでなく、新たに気づくことがあるはず。
撮影・黒川ひろみ
特定の読み手は想定しない。読んでいる間だけ楽しんでほしい。
好きなものを描きたいという思いは、絵のモチーフにも表れている。
「絵本を作る人って、一人ひとり違うと思うんですけど、僕は子どもの日常みたいなものを描くのがすごく苦手で。ちょっと浮世離れした話が好きだし、子どもも、どこから来たのかわからないような不思議な子が好きです」
特定しないのは、読み手側もそう。
「誰に読んでもらいたいというのはなく、なんとなく見ている間ぐらいは楽しい気持ちになってくれたらいいかなって。よく、絵本の効用とか言いますが、あんまりね、いろんな役目を負わせても……とは思います。絵本セラピーとか、泣けるとか、元気をもらえる、とか」
でも、“笑える”はありますよね。
「ええ、それは大事。バカバカしいのが好きなんです。教訓を入れようなんて、そんな大それたこと(笑)。読み終わったらさっさと外で遊んでほしい。予定調和的にきれいにまとめるよりも、突き放したような収め方が好きですね」
そんな佐々木さんにとって絵本とは、なんてベタなこと聞いていいですか?
「娯楽ですね、エンタテインメント。僕が好きだったものは貸本屋の漫画にしても、近所の映画館にしても、全部お楽しみ。読んだ後に答えが見つかったりしたら大変です(笑)」
「どこから来たのかわからないような、不思議な子を描きたい」
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