電車、トイレ、レストラン…。アップデート必須の公共マナー。
マナーコンサルタントの西出ひろ子さんにお話を伺いました。
イラストレーション・五月女ケイ子
意外と知らない、マナーにまつわるコラム。
歌舞伎鑑賞では拍手のタイミングが肝!
「歌舞伎鑑賞というと堅苦しい作法があるように感じるかもしれませんが、案外そんなことはなく、服装も基本的には自由です。ただし、注意してほしいのは拍手のタイミング。新参者は自由に拍手するのは避け、周りのタイミングに合わせて。“大向こう”という専門の会に入っている方々がいるので、〈〇〇屋〜〉という声がけも控えたほうが無難です。歌舞伎に限らず、伝統的な鑑賞劇には必ずベテランのお客さんがいます。出すぎた真似はせずに、彼らの様子を観察しながら、マナーを学ぶのが賢明だと思います」
「着物警察」って知っていますか?
着物で街に出かけている若い女性に対し、見ず知らずの年配女性(ここでは着物警察と呼ぶ)が「着付けがなっていない」などと指摘して、場合によってはトイレに連れ込んで何がなんでも着付けを直そうとする。
「親切心からやっている人もいるのでしょうが、着物警察に捕まったことがトラウマになり、着物はもう着たくないという女性がいるのも事実。和装を楽しむ若者が増えているのはとても喜ばしいことなので、温かく見守る姿勢も必要かもしれません。どうしても伝えたいというのなら、着物を褒めたうえで、優しく教えるなどの工夫が必要です」
歩きながらブツブツ独り言をつぶやいていると思ったら……。
大声で独り言をつぶやいている人に驚いていたら、電話をしているだけだとわかり、ほっとしたという経験があるだろうか。
「最近ではワイヤレスイヤホンが増えてきて、便利なことにスマートフォンを耳に当てずとも、電話ができるようになりましたよね。夜道で大声で話している人に遭遇して、思わずひやりとした経験、私も何度かあります(笑)。街中で電話する人が増えてきたことを知っておけば、変に驚くことも減るでしょう。もし自分が電話をする場合でも、声のボリュームは抑えましょう」
西出ひろ子(にしで・ひろこ)さん●マナーコンサルタント。「ヒロコマナーグループ」代表。ドラマや映画でのマナー指導や監修に加え、企業のマナー研修やメディアなどで幅広く活躍中。
『クロワッサン』1007号より
広告