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声を解放すると心も解放される――編集部

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、声と心の関係について考えてみましょう。

文・澁川祐子

1978年8月25日号「声が変われば人生だって変わります」より
1978年8月25日号「声が変われば人生だって変わります」より

声を解放すると心も解放される――編集部

ふだんはあまり意識していない声。しかし実際、声はその人の印象を大きく左右します。ゆえにいま一度「声」を見直してみようという記事が、今回の名言の出どころです。

「声が変われば人生だって変わります」というタイトルはちょっと大げさな気も。しかし、映画がサイレントからトーキーに移行したとき、声が原因でスターでなくなってしまった女優がいるという例を読むと、あながち言いすぎでもないのかも、と思えてきます。

もちろん声質そのものを変えるのむずかしいもの。ならば声の出しかたを変えようと、声を矯正する専門家の言葉を紹介しています。それによれば、脊椎から尾骶骨まで自覚し、胸と胸膜を収縮させること。要は腹筋を緩めないことが肝心だといいます。

<筋肉が収縮すれば、背中まで、ゆったりとした意識が広がっていき、はじめて自分の体の奥行きをたしかめることができる>

まずは体を意識し、それを操るイメージで声を出す。いわゆる「腹の底から声を出す」ということだと思いますが、そうして声を出すことによって体の閉塞感が解消され、心も解放されると説いています。

別の箇所で書かれていたように私たちは幼い頃から「静かにしなさい」「大きい声を出しちゃダメ」と諭されてきています。知らず知らずのうちに、体を使って声を出すことを忘れている。だから、たまにカラオケで大声で歌ったり、スポーツを見て歓声をあげたりすることがストレス解消になるわけです。

ときに体を意識して声を出すこと。それが少しでも心を整えることになるなら、ちょっとやってみたいなという気にさせる記事でした。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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