扁桃周囲膿瘍 (へんとうしゅういのうよう)

原因と特徴

のどの奥の口蓋垂(こうがいすい)の付け根の両側にある口蓋扁桃に生じた炎症が悪化し、周囲に膿がたまった状態が扁桃周囲膿瘍です。インフルエンザウイルスなどのウイルスや、黄色ブドウ球菌や化膿性連鎖球菌などの細菌が原因となり、発症します。主な症状以外にも、唾液が飲み込みにくくなることから、口の中に唾液がたまりやすくなります。重症化すると、膿がたまった膿瘍が首や胸の縦郭(じゅうかく)まで広がって頚部(けいぶ)膿瘍や縦郭膿瘍になり、呼吸困難や窒息などの気道閉塞を引き起こすため、緊急手術が必要になります。

治療

膿瘍が形成されている部位には血流がなく抗菌薬が届かないため、膿を十分に排出するために、口から膿瘍部分に針を刺したり、切開するなどの治療を行い、点滴などで抗菌薬を投与します。食事や飲水ができないことが多いので、点滴によって栄養や水分の補給も行います。再発するケースもあり、根本治療としては口蓋扁桃摘出の手術があります

受診の目安

のどの痛みが強い

水分や唾液が飲み込めないほど、のどに激しい痛みがあるときや、呼吸が苦しく声が出ないなどの症状があるとき、口が開かないときは、空気の通り道に影響が出ている可能性があるため、速やかな受診が必要です。また、飲食はできるものの飲み込むたびに痛みをともなう場合や、のどが痛むだけでなく発熱が続いていて、咳やくしゃみなど風邪のような症状をともなう場合は、近日中に内科や耳鼻咽喉科へ行きましょう。

監修

前田裕輔 (まえだ・ゆうすけ)

グランプロクリニック銀座院長

関西医科大学卒。内科専門医、日本抗加齢医学会専門医。

https://granpro-clinic.com/

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