心地よく眠れる部屋へ、すぐできる方法が知りたい。睡眠のスペシャリストに聞きました。
文・斎藤理子 イラストレーション・柿崎サラ
汚れた空気は眠りの質を悪くする。寝室は意識して空気をきれいに。
実は、寝室の空気は意外と汚れている。寝具や衣類からは綿ぼこりがたくさん出るし、花粉やPM2.5など外気から入ってくる汚れも溜まる。高温多湿を好むダニにとっても、寝室は絶好の場所。汗を吸う寝具にはダニがつきやすく、死骸やフンも残る。加えて、寝室は北向きの部屋であることが多いため、カビも生えやすい。ベッドを壁に密着させていると湿気がこもりやすく、接した部分の壁とマットレスがカビだらけになることも。
「空気が汚れていると、呼吸が浅くなります。呼吸が浅くなると取り込む酸素が少なくなり、緊張がとれない状態が続きます。しかも、汚れた空気を吸うことで異物が体内にたくさん入ってくると、その排除にエネルギーがたくさん使われてしまい、細胞の修復が後回しになってしまいます」
その結果、睡眠の質が低下し、眠っても疲れがとれないままになってしまうのだという。
「食べ物や水などを含め、人が一日に摂取する物質のうち83%は空気です。その空気総量の実に57%が自宅室内なんですね。自分の家の空気を一番多く吸っている。しかも、一日のほぼ3分の1は寝室で眠っているわけですから、寝室の空気の質は重要です」
ほこりや湿気が溜まった寝室では、熟睡はむずかしい。ベッドは壁から最低10cmは離して通気性を確保し、シーツ類のこまめな洗濯、日々の掃除機かけを。空気清浄機も大いに利用して、清潔で快適な寝室を保ちたい。
さらに、寝室は物が少ないほうが快眠できるという。ベッドの周囲に物が多く置かれていたり、ゴチャゴチャと散らかっている寝室は、それだけで眠りの質を落とすと三橋さんは指摘する。
「寝室にはなるべく睡眠とは関係ないものを置かず、すっきりとした状態をキープすることを心がけて。また、高さのある家具があると、不安感が増長して熟睡できない原因になるので、こちらも避けてほしいです」
人は安心安全で快適なところでないとくつろぐことができない。その分、質のよい眠りにつけなくなるのだ。
寝室に忍び込む、主な汚れの原因。
●寝具、衣類の綿ぼこり。
●外気の汚れ(花粉やPM2.5の影響)。
●ダニの死骸やフン。
●北向きの寝室の場合はとくに、カビ問題も。
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