Vol.38 出血があるのですが、お尻からなのです……。【40歳からのからだ塾WEB版】
今回は、「お尻からの出血」がテーマです。
トイレのときに出血があったり、便に血が混じっていたりすると、「もしかして大変な病気では?」と、ドキッとしますよね。お尻からの出血は、痔だけでなく、腸の病気の可能性も考えられます。
では、そんなときどんな対応をとったらよいのか。大腸肛門病専門医の山口トキコさんに聞きました。後半は、お尻からの赤黒い出血や下腹部痛などが特徴の「大腸憩室症」について詳しくお伝えします。
トイレのときに出血があったり、便に血が混じっていたりすると、「もしかして大変な病気では?」と、ドキッとしますよね。お尻からの出血は、痔だけでなく、腸の病気の可能性も考えられます。
では、そんなときどんな対応をとったらよいのか。大腸肛門病専門医の山口トキコさんに聞きました。後半は、お尻からの赤黒い出血や下腹部痛などが特徴の「大腸憩室症」について詳しくお伝えします。
文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子
下血や血便は腸の病気の可能性も
40歳以上は検診も大切
まず、お尻からの出血(血便、下血)がある場合に考えられる病気について整理していきましょう。
大腸肛門科専門医、山口トキコさんによると、
●痔
●大腸炎
●大腸・小腸がん、
●大腸ポリープ
●大腸憩室症
●胃潰瘍、十二指腸潰瘍など
こうした病気の可能性が考えられるそうです。
赤い血なのか黒い血なのか、便に血がつくのか、混じるのか、痛みが伴うのかなど、専門家なら症状によってある程度推測はつくようです。
ただ、痔の人が腸の病気やがんになる可能性もあり、一般の私たちには判断が難しいところ。ですから、あえてここでは、出血の種類による見分け方の紹介はしません。お尻からの出血があったら、消化器科や大腸肛門科を受診し、必要な検査を受けてくださいね。
ちなみに、近年増加している大腸がんに対しては、早期発見、早期治療につながる大腸がん検診の有効性が確認されています。下血・血便などの症状がなくても、40歳以上の人は1年に1回、大腸がん検診(便潜血検査)を受けましょう。
下腹部痛や赤黒い下血は要受診のサイン
近年増えている「大腸憩室症」
ここからは「大腸憩室症」について紹介していきます。
大腸憩室症でも、お尻からの出血が起こることがあります。腹痛がたびたびある、突然赤黒い出血があるなどの場合は、大腸憩室からの出血かもしれません。
大腸憩室症でも、お尻からの出血が起こることがあります。腹痛がたびたびある、突然赤黒い出血があるなどの場合は、大腸憩室からの出血かもしれません。
憩室って何?
「憩室」とは聞き慣れない言葉ですが、「腸だけでなく胃や食道など消化器系の臓器にできるもの。大腸憩室は、大腸の粘膜が外に飛び出たもので、大腸内視鏡をしたときに偶然発見されることが多いです」と山口さん。大腸の壁の一部が外側に押し出されて、袋のようなものができるイメージですね。
内視鏡で見るとこんな感じです。
内視鏡で見るとこんな感じです。
内視鏡で見た憩室
74歳女性の上行結腸の内視鏡画像。半球状に穴が開いたように見えるのが憩室。
資料提供:マリーゴールドクリニック
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