【佐伯チズさん×中江有里さん対談】横ジワは幸せを溢れさせ、縦ジワは不機嫌を渗ませる。

佐伯　シワって筋肉の癖なんです。肌が硬くなって形状記憶されたものだから、解きほぐして伸ばすマッサージをするといいのね。しかめっ面すると眉間にできる縦ジワはシワが消える方向にシワをつまんで、その後横に引っ張って伸ばしてあげる。シワは長年の蓄積でできたものだから、根気よく続けることが大切なんです。

中江　やっぱりふだんの癖がシワを作ってしまうんですね。怖いです。

佐伯　40代ならそう思っていいの。私の歳になってシワがなかったらおかしいでしょ。でも、笑いジワなら大丈夫。幸せの年輪だもの。

中江　シワが顔の一部としてちゃんとあって、美しいというのが理想です。

佐伯　悪いシワを作らないためには、上を向いて寝るのもひとつの秘訣ね。私ね、亡き夫に「君はやんちゃなのに寝姿はきれいだね」って褒められたの。夫は自分の歯ぎしりが気になって、私のことを見ていたらしいんです。だから、上を向いて寝る癖つけておいてよかった〜って思ったの（笑）。

中江　いいお話ですね。なんだか心が温まります。

佐伯　褒められて一番うれしいのは「お肌ツヤツヤですね」って言われること。ツヤがあるのが一番いいの、欠点が見えなくなるから。

中江　先生、本当にツヤ肌です。

佐伯　そのためには水分が大切ね。43歳のとき、和田式ダイエットで14㎏痩せたんです。炭水化物、菓子類を断って、1回9品目を食べる食事法で、毎日水を1.5ℓ飲みなさいって言われて、水太りするんじゃないかと心配だった。でも体の塩分や毒素が排出されて、肌がきれいになって、冷えも治って体がすっきりしました。

中江　人間の体は70%が水ですものね。体のすみずみまで水を循環させることが大切なんですね。いま1日どのぐらい飲まれるんですか?

佐伯　1日2ℓは飲んでいます。水はたくさん飲んでくださいね、って言ってますけど、なんだかんだ言い訳して飲まない人が多いんです。いい加減「でもしか」は卒業しないとダメね。

中江　「たられば」「でもしか」って女性の得意分野かもしれません。

「“夢は薬、あきらめは毒”なのよ。心と肌は一体だから顔に心ばえが出ます」（佐伯さん）
「きれいになるのに年齢は関係ない。大切なのは前向きな気持ちなんですね」（中江さん）

佐伯　私は講演の最後に「あなたの顔は心の証明であり、健康のカルテであり、生きてきた人生の看板」って言うのね。皮脳同根、脳と心はつながっているのだから、心ばえが顔に出ます。きれいになるのに年齢は関係ないのよ。

中江　先生にそう言われると、すごい勇気になります。どこかでもうダメかなってあきらめがちになってしまうことって誰しもあると思うんです。でも美しくなることに年齢は関係なくて、自分がやる気さえあれば、そのときの自分のマックスって目指せると思うんですよね。あきらめずに前向きな気持ちを持ち続けていたいですね。

佐伯　私は「夢は薬、あきらめは毒」って言っているの。夢はいくつになっても持っていたいでしょ。私は80歳になったら後進に道を譲って、男女差別が激しいアラブやアフリカで女性に美容の仕事を作ってあげたいんです。女性が生き生きと仕事ができて、元気で家庭が明るければ、男の人たちも戦争する気が起こらなくなると思うのね。

中江　国によっては衣食住の問題は立ちはだかるけれど、それが最低限整って、女性が社会進出できれば「美」って大切な要素になりますよね。女性が美しくなることが戦争をやめさせるひとつの手段になっていく。これはまさに美容道ですね。素晴らしいです。

佐伯　ヘップバーンに憧れてここまで来たでしょ。彼女は晩年ボランティア活動をしていたから、私も同じようにやってみたいんです。ヘップバーンにもシワはたくさんあったけれど、とても美しかった。そうありたいですね。