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【後編】40代で始めたい、胃腸から若返る食事術。

胃腸に不安を抱える作家・真梨幸子さんと専門医・江田証さんによる対談の後編。寿命と深く関わる便秘の話から、新しい食事の概念へ。

撮影・青木和義 文・石飛カノ

真梨 見た目が内面の情報を伝えているという先ほどのお話ですが、先生が患者さんをご覧になって、この人の胃腸はこうだろうなという見当はつくんですか?

江田 腸に関しては顔のシワが少ない人がいい菌を持っている場合が多いです。

真梨 私はこんなに腸が弱いのにシワだけは少ないんです。腸内細菌のバランスは本来、悪くないのかもしれない?

江田 大豆に含まれているイソフラボンを代謝してエクオールという物質ができます。このエクオールは女性ホルモンに似た働きをしてシワを予防する作用も期待できます。でも今の10代、20代には大豆を食べてもエクオールを作れない人が多いんですよ。

真梨 聞いたことがあるような。小さい頃から食べてきたものの話じゃないですか?

江田 伝統的な和食を食べてきた世代はエクオールを作る腸内細菌を持っている人が多いんですが、最近の若い女性はそれを持っていない人のほうが多いんです。

真梨 私、子どもの頃は海藻と魚ばかり食べていました。昭和の食卓ってそんなものでしたよね。

江田 ところが、今の日本人の腸内細菌はかなり変化しています。大腸がんでの死亡率が世界一高いというのがその証拠です。

真梨 欧米人は欧米人の腸内細菌に合う食生活を何万年もかけて培ってきたんですものね。日本人は急にその上辺だけ取り入れたことで、腸の中が大混乱してるんじゃないかと思います。

江田 おっしゃるとおりです。

真梨 欧米人に比べて日本人は若く見えると言われますが、昭和の頃の食事でエクオールが作れていたせいかもしれないですね。

江田 見た目が若いというのは感覚的な話のようですけど、論文でも若く見える人はテロメアが長いという指摘があります。

真梨 テロメアって染色体の端っこにあるものですよね。

江田 はい。Xの形をした染色体の四隅にあって細胞分裂するたびに短くなっていきます。テロメアがなくなるとそれ以上分裂できなくて細胞が死んでしまう。いってみれば命の切符のようなものです。見た目が若い人は実際、そのテロメアが長いんです。

真梨 さっきの双生児の若く見えるほうの人は老けて見える人よりテロメアが長い……。じゃあ、老けて見える人が頑張って生活改善して若く見えるようになるとテロメアが伸びるんですか?

江田 伸びるというより長い状態を維持できます。逆に、タバコを吸うとテロメアが短くなることが分かっています。

真梨 テロメアの長さって遺伝的に決まってるものじゃないんですか!?努力によって改善することができるんだ!

江田 そうなんです。ピロリ菌を除菌したり、タバコをやめたり、胃や腸を若返らせる食べ物を積極的に食べたり、適度な運動をしたり。そうすることでテロメアを長く維持できます。アンチエイジングは我々次第なんです。

真梨 いいことを聞きました。私、ピロリ除菌をして小麦食をやめたらシワがもっと減るかも。

腸を若返らせる食べ物

ナッツ 高カロリーの食事による肝炎の予防に有効なのはビタミンE。おやつやおつまみにはビタミンEが豊富…

ナッツ 高カロリーの食事による肝炎の予防に有効なのはビタミンE。おやつやおつまみにはビタミンEが豊富なナッツをどうぞ。

タマネギ 脂肪肝になると肝臓がんを引き起こす腸内細菌が増える。タマネギはその改善に有効。ただ高FODMAP食なので注意したい。

『クロワッサン』956号より

真梨幸子さん 作家/2005年デビュー。ベストセラー『殺人鬼フジコの衝動』を契機に、イヤミスの女王として活躍。近著は『祝言島』(小学館)。

江田証さん 江田クリニック院長/日々200人近い患者の診療と多数の胃カメラ、大腸カメラ検査を行う。近著は『おなかの弱い人の胃腸トラブル』(幻冬舎)。

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