芯から温めて健やか美人。冬のお風呂の入り方。
温活で不調は改善し、体も心も肌も上向きに。
さっそく今日から始めませんか。
イラストレーション・水野朋子 文・熊坂麻美
体を温めることが健康や美容につながる一番の要因は、体温が上がって血液がスムーズに全身を巡るようになるから。この血流アップがさまざまな恩恵をもたらすと、眠りとお風呂の専門家の小林麻利子さんは言う。
「免疫力が上がること、自律神経のバランスが整うことが大きいと思います。自律神経が適切に働けば、血流を健やかに保つ好循環につながり、基礎代謝も上がります。また更年期世代の不定愁訴の原因となるホルモンバランスの乱れが緩和されやすくなるのもポイント。ホルモンバランスが整えば、肌ツヤもよくなるんです」
食事や運動でも体は温められるが、手軽で確実な温活といえば入浴。毎日湯船に浸かることがキレイへの近道に。
「入浴で血流が上がると、全身の老廃物がリンパに回収されて排出されやすくなり、肌のターンオーバーが整います。そして末端まで張り巡らされた毛細血管の血流が上がることで肌の保湿力が高まるほか、髪質も改善されます」
なかでも注目は、心と体に及ぼす影響が大きい「睡眠」との関係。
「睡眠には深部体温が密接に関わっており、入浴で深部体温が一時的に上がり、その反動で平熱よりもしっかり下がることで熟睡につながるとわかっています。また温熱作用と浮力作用により、寝る前に副交感神経を優位にすることも眠りの質を大いに高めます。深い睡眠は健康の基本で、肌荒れや肌老化のサイン減少、脂肪分解など美容面での効果も期待できます。つまり、入浴で睡眠の質を上げることがキレイのカギを握っているのです」
温めるときれいになる理由
肌の保湿力が高まる。
自律神経とホルモンのバランスが整う。
ぐっすり眠れるようになる。
きれいはお風呂で作られる。冬場の入り方をマスターして。
入浴効果を最大限に高めるためにはまず、安全に配慮した準備を。
「冬場の入浴は気温差による血圧変動で起こるヒートショック対策が必須。脱衣所や浴室を寒さを感じない環境に整え、湯船に浸かる前に頭を洗う。この2点を必ず守り、血圧の急上昇を防ぎましょう」
入り方は、いかに副交感神経を優位にできるかがポイントになる。
「熱いお湯のほうが温まると思いがちですが、42度以上は交感神経が優位なストレスの領域になり、生体恒常機能で血流が下がります。40~41度の湯温にし、睡眠ホルモンを分泌させるために浴室内はほのかな明かりが理想です。アロマや入浴剤も活用して心地よく過ごせば、ストレスも解消されます」
入浴から1時間後が、就寝するベストタイミング。
「上がった深部体温が放熱されて下がり、気持ちよく眠りにつけるのがその時間です。湯冷めをすると放熱が妨げられるので室温を20度程度に保ち、ストレッチや深呼吸をしてゆったり過ごしましょう」
1.お風呂を沸かし浴室の準備を。
浴槽に蓋をして40~41度の設定でお湯をため、浴室の換気扇と電気を消してドアを閉める。脱衣所が寒ければ脱衣所に暖房を。「浴室が冷えている場合は浴室暖房を入るまでの間つけて、浴室をしっかり温めます」
2.洗面器にシャワーのお湯を出す。
お風呂が沸いたら浴室暖房を切り、高い位置のシャワーから熱いお湯を出して洗面器にためる。「浴室内に温かい蒸気を充満させましょう。湿度が上がると体感温度もアップします」
3.服を脱いで浴室に入る。
浴室が蒸気で温まったら服を脱ぎ、照明をつけずに浴室へ。「『あ~気持ちいい』と言いたくなるようなミストサウナ状態がベスト。脱衣所の光だけつけておけばOK。ただし暗くて不安な人は防水の間接照明を使っても」
4.入浴前に洗髪を。
洗面器のお湯で足湯をしながら洗髪する。「頭からお湯をかけると全身の血管が拡張し、湯船に浸かる際に血圧が急上昇するのを防げます。足湯は副交感神経を優位にします」
5.15分間全身浴する。
40~41度のお湯に15分浸かると深部体温が0.5度上がり入眠への準備が整う。「血流が落ちつき副交感神経が優位になるまで7分以上あったほうが安心です。逆に15分以上は肌の乾燥が進みます」
6.体を洗い、浴室内で拭く。
体を洗って、タオルで拭く。5の全身浴で温まっていれば、体を洗った後の入浴は必要ない。また、温まった体を冷やさないよう、肌の保湿は浴室内で行うのがおすすめ。
お風呂にゆっくり入るための簡単ストレッチとヨガ。
入浴時間が短いと血圧が下がらず交感神経が優位なままになるケースも。湯船に長く浸かるのが苦手な人や15分の入浴タイムを有効活用したい人は、お風呂でできるストレッチやヨガにトライ! 浮力でラクにできるはず。
「浴槽の形やサイズでポーズをとるのが難しければ、できる範囲で大丈夫です。心地よく感じる体勢で脱力することを意識し、呼吸は鼻から吸って口から吐く、が基本です。吐く時に自然にもれる声は心が休まるまで何度でも出しましょう。息を長く吐くほど副交感神経が優位になって心拍数も減少し、体と心がゆるみます」
上・頭の右側を浴槽のふちに預け、左手を頭の上に伸ばして1分を目安に脱力する。
下・体を斜め後ろにひねる。頭は浴槽のふちに完全に預けて脱力し、ゆっくり呼吸しながら1分を目安に行う。反対側も同様に。
上・浴槽のふちに頭を預けて全身の力を抜く。口からゆっくり息を吐きながら体をお湯に沈める。
下・息を吐ききったら、鼻から息を吸って胸とお腹に空気を入れるように胸を開く。体が自然とぷくっと浮くような感じに。以上の動きを繰り返し、1分行う。
(お風呂時間のマストアイテム)
湯温が下がりやすい冬は水温計を使って。
特に冬場は給湯器の設定よりお湯の温度が下がりやすい。可能なら水温計で確認し、追い焚きや足し湯で調整を。水に浮き、湯面から15cm下の温度を計測できて使いやすい。
炭酸ガス系入浴剤で温浴効果をアップ。
体を温める効果が高い、炭酸ガス系の入浴剤。重曹、クエン酸、ビタミンCを主成分とする重炭酸イオンが特徴。パワフルに血流を促進し、お湯の塩素も中和する。
発酵熱で体を温める〝酵素風呂”系入浴液。
栄養豊富な米ぬかと昆布を独自の技術で発酵させたエキスを配合し、ぽかぽかのうるおい肌に。発酵熱が体を芯から温めてくれる。心身を鎮静する青森産天然ヒバ油の香りも心地よい。
天然精油の香りで入浴時間も楽しみに。
100%の天然精油。左はラベンダーブレンドの「リラックス」、右はローズブレンドの「バランス」。お湯を注いだカップや浴槽のふたの端に垂らし、香りを楽しんで。
香りよいバスオイルでしっとりと体も潤う。
乳白色のお湯が全身を包み、天然アロマの香りと植物由来の保湿成分で心と体をケア。香りは甘いスイートドリームと爽やかなクリアビューティ。
『クロワッサン』1106号より
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