進化を続けるダウン、今季の推しはキルティング風【大沼こずえの「ずっとの、おしゃれ」】
毎月1つのテーマで、装う楽しさを再発見します。
撮影・小川真輝
進化を続けるダウンは今年も私たちを温める。
こんにちは。スタイリストの大沼こずえです。
当初は流行として現れた「アウトドアの視点をタウンユースに取り入れること」。インナーからアウターまで、プロが認める機能性とファッション性の高いデザインは、今では普通のことになりました。
ダウンコートはそんなアウトドアブームの初期のヒットアイテムです。都会の電車では暑過ぎたり、席でかさばったりといろいろありましたが、冷気を全く通さない頼りがいはそれまでにないもの。寒い朝はたとえコート内の装いに合わずとも、ダウンに手が伸びたものです。
その後は着々と都会に適応、ダウンのエッセンスを取り入れて進化したコートは、今や冬のおしゃれの定番に。
さて、今季の推しはキルティング風。シームレスよりもボリューム感が抑えめでさらりと羽織れるし、ロング丈でもエレガントなので、サッカーチームのコーチ陣にも見えません。あくまでゆるり、少しだけウエストに沿ったシルエットを選ぶとよさそうです。
アウトドアブランドでは、ダウンを洗浄しリユースが行われるなど、エコ意識に沿った流れです。便宜上「ダウンコート」と称していても、動物由来でない中綿も増えました。街の寒さすら裸ではしのげない人間ですが、装いを通してこれからの環境について考えることは、人間にしかできませんよね。
『クロワッサン』1106号より