実用的かつ夢がある。バレエシューズは永遠。【大沼こずえの「ずっとの、おしゃれ」】
毎月1つのテーマで、装う楽しさを再発見します。
撮影・小川真輝
こんにちは。スタイリストの大沼こずえです。9月はフラットな靴。まずはバレエシューズについてのお話です。
若い頃はブリジット・バルドーやジェーン・バーキンの、無造作で小悪魔的なファッションにふんわりと憧れたもの。
自分の素材はひとまず置いておいて、イメージの中のパリジェンヌスタイルに欠かせないのが、甲の浅い、ぺたんこのバレエシューズでした。
はじまりはやはり〈レペット〉。「靴底薄っ!」と思いきや、ぴたりとフィットして大層快適。さすがダンスシューズのブランド、と感動したものです。
とまあ、憧れからはじまったものの、履いてみると意外にラク、カジュアルにもエレガントにもなり、季節も選ばぬ汎用性。バレエシューズはいまや実用的フラットの定番となりました。
秋冬は特に、甲浅靴が足元に軽い色気を生み、重めのコートや厚地のパンツの効率のよいアクセントに。分量が少ない分、色や柄で遊べます。
洋服だとハードル高めのカラーツイードやヒョウ柄などもおすすめ。バッグなど小物で持つ手もありますが、いかにも「差し色ですよ」となりがちです。足元のほうが断然こなれる。お試しあれ。
ロングコートをさらりと羽織り、抜け感あるチャーミングな足元。あらま、今になって“あのパリジェンヌ”に少し近づいているじゃありませんか。
『クロワッサン』1101号より