寺島しのぶさんの美しさと健やかさを保つ習慣。
撮影・天日恵美子 スタイリング・ 中井綾子(crêpe) ヘア&メイク・光倉カオル イラストレーション・塩川いづみ 文・一澤ひらり
更年期は女性が必ず通る道。体を見つめ直すきっかけに。
タイトスカートからのぞかせる、寺島しのぶさんの美しく引き締まった脚。撮影スタッフからもため息が漏れる。
「褒めてくださってうれしいけど、実は更年期に突入して揺らぎっぱなし。去年はもう無理かなって思ったぐらい気持ちが落ち込んで、しかもこのご時世でしょ。8歳の息子にも『なんで遊んでくれないの』って責められたけど、『ごめんね。お母さんちょっと体調悪いから』って。息子も私がずっと横になっているから分かってきて、友だちと遊んでくれるようになったり、友だちのお母さんが連れ出してくれたり、ありがたいなって思いました。去年はいろいろな人に助けられましたね」
それまでどんなに過酷なスケジュールでも平気でやってきた、丈夫が自慢の寺島さんだっただけに、ガタッと崩れたときのショックは大きかった。
「そんな自分が許せなくて、受け入れるのには時間がかかりました。でも更年期は女性の誰もが通る道。自分の体を見つめ直せてよかったんだと、ようやく思えるようになりましたね」
ヨガの呼吸法と出合って、気持ちが整ってきました。
昨年はマッサージや鍼をやってもらうだけで、何もできない1年だった。
「今年に入ってから、自分の体を自分で動かそうって思えるようになったんです。まず朝、犬の散歩に行くようにしました。清々しい空気を吸いながら歩いていると爽快なんですよね。それと2週間に1回ぐらいヨガに通って心身を整えます。あとはサウナで水風呂と交互に入って、交感神経と副交感神経がちゃんと切り替わるようにしようとか、お水も2Lのペットボトルを持ち歩いて1日1本飲んでいます。いまはまだ試行錯誤中ですが、その中で自分に合うものがあったら続けていこうかなって思っています」
なかでも大切にしているのがヨガの腹式呼吸。現代の生活はストレスが多く、胸式呼吸になりがちで呼吸が浅くなってしまう。でも、腹式呼吸で深い呼吸をすれば心身がリラックスできる。
「私はまだ全然できていないんです。でも、呼吸でお腹の動きを意識するだけでも腹筋、背筋がついてくるし、奥が深いですね。脳と体をちゃんと連動させるって難しいけれど、呼吸はその手助けになってくれます。雨の日や気圧が下がって気分が落ち込みそうなときも、好きなアロマを嗅ぎながら、お水を飲みながら、ゆっくり呼吸をしていると、とっても気持ちよくなるんです」
今夏、公開された映画『キネマの神様』で寺島さんは、沢田研二さんが演じるぐうたらな父親を必死で更生させようと奮闘する娘を演じている。
「撮影中、首が痛くて首を冷やしたり、具合が悪くてつらかった。でも母親役の宮本信子さんが『大丈夫、大丈夫。乗り越えられる』って、そっと肩を抱いてくださったんです。そこには女性としての連帯があったし、泣けてきますよね。これからは体の声に素直に耳を澄まして生きていこうって思います。よく寝て、食べて、笑って、暮らしの中の幸せを数えていきたいですね」
寺島しのぶさんの体を整えるルーティン。
●脳で考えながら呼吸を整える。
右手を胸に、左手をお腹に当てて、1、2、3で息を吸い、1〜6で吐く。「脳で呼吸を意識して、しっかりお腹を動かすことがポイントです」と、ヨガインストラクターの山田ひとみさん。
●呼吸法のあとに続ける足首回しストレッチ。
ヨガのレッスンで欠かさず取り入れているもの。右足を左ももにのせ、左手と右足の指を互い違いに組み、足首を大きく回す。足首の力で回すこと。左右を替えて10回ずつ。
●自分が美味しいと思う水をたくさん飲む。
寺島さんのお気に入りは大分県別府の「天然温泉水Beppu ゆ」。2L×6本入り 2,385円(おんせん県おおいたオンラインショップ )
『クロワッサン』1051号より