キレイへの近道、美容のプロが解説する7つの最新美容キーワード。
まずは日進月歩のコスメ業界の注目キーワードを、美容のプロが解説。
最新美容を牽引する商品を知っておこう。
撮影・久々江 満 構成と文・今井 恵
Keyword 1【肌悩みを全方位から改善する、幹細胞の新知見。】
「再生医療分野で、日々幹細胞の研究が進み、それを応用して肌老化への新しい知見が生まれています。幹細胞コスメは、それゆえに最先端なのです」と、ビューティサイエンティストの岡部美代治さん。
「幹細胞とは万能細胞と呼ばれ、新しい細胞を生み出す大本。皮膚のあらゆる場所に存在し、これを活性化することで、たとえば線維芽細胞を作る新しい幹細胞が生まれるなどして、若々しい肌が作られるのを期待できるということ」(岡部さん)
そして細胞同士はつねに情報を伝え合い、ダメージの修復や再生を行う。この伝達物質に新知見があるという、美容ジャーナリストの倉田真由美さん。
「幹細胞が分泌するエクソソームは情報伝達物質を運ぶカプセル。幹細胞が情報を出しても、老化などが原因でほかの細胞がエクソソームを受け取れず、組織再生力が低下する。『エピステーム』は、その受け取る力を強化し、無駄なく幹細胞を活かそうという考えです」
Keyword 2【美しさの印象は、目元ケアでアップする。】
「目元・口元は皮膚が薄いのに、まばたきや会話で一日中動く部位です。しかも老化兆候が見えやすい場所でもあります。アプリケーターのようなツールがついた目元製品には、使う際に〝お手入れをする気持ち〟にもなりやすい工夫がされています」
と、松倉クリニック代官山院長の貴子さん。新製品はひんやりするアプリケーター付きで、成分を塗布しながら軽くマッサージできるものが多い。
「マスク生活の中で人の顔を認識するのが今や目と眉。好感度も目で決まるといってもいい。メイクももちろん大事ですが、やはり目の周りの組織そのものを整えておかないと」(岡部さん)
今やスキンケアは目元に全集中! といっても過言ではない。
「目元がたるむのは前頭筋やこめかみの張りなども影響してくるので、アプリケーターでおでこやこめかみをマッサージするのも効果的」(貴子さん)
目元ケアで美しさの印象を上げて。
Keyword 3【細胞を元気にする鍵はNMN。】
巷で目にする「NMN」の文字。正式名称が〝ニコチンアミドモノヌクレオチド〟で、タバコのニコチンと混同して体に悪いもの、と思う人も?
「もともと体の中で作られているもので、長寿遺伝子と呼ばれるサーチュインを活性化し、肌の若々しさを復活させます。でも残念ながら加齢に伴い、体内の生産量は減少してしまうのです。クリニックではサプリも点滴も人気で、疲れが取れるという声が多く、私自身が実感したのは、眠りの質や集中力が高まったという効果です」(貴子さん)
ほかには肌のキメがアップ、代謝が上がるなどの効果も。倉田さんも40代を過ぎたら、NMNは積極的に摂取していきたいという考え。
「NMNは食品でいえばブロッコリーやアボカドに含まれていて、体の機能を回復する効果を持っています。でも食品では少量しか摂れません。年齢を重ねたら自分を手厚く労る意味でも、サプリメントで補ってもいいのでは」
Keyword 4【作り手が見える、メイドインジャパン化粧品。】
日本ならではの植物や食物を原材料にしたり、古来の技術を活かした成分などに着目した、メイドインジャパンの化粧品が注目を集めている。
「四季がある日本は、植物が育つ環境にはとても恵まれています。さらに近年、契約農家など目が行き届いた場所でモノ作りがしたいという考えで、化粧品会社のメイドインジャパン傾向もあるんだと思います」(岡部さん)
愛知・東三河の植物を素材とする「ワフィト」や五島列島の椿を原材料にした「ON&DO」、老舗酒造会社が米醗酵と美容の因果関係から誕生させた「フレナバ」などが、その一例だ。
「食べもので地産地消が推奨されるように、日本人の肌には日本の土で育ったものが合うんだと、足元をもう一度見つめ直した結果では。時代が安心安全を求めるようになり、小さなブランドもきちんとエビデンスを取るように。作り手の顔も見え、信頼できる品質がいいものが増えています」(倉田さん)