自律神経の第一人者、医師・小林弘幸さんの「3行日記健康法」。
文・浅羽 晃 イラストレーション・山下カヨコ 撮影・岩本慶三
自律神経研究の第一人者、医師・小林弘幸さんの「3行日記健康法」
1日を3つのテーマで記録し、自律神経をコントロールする。
小林弘幸さんのタイムスケジュール
【5:30】起床、朝食
【6:15】家を出る
【7:00】大学に到着
【8:00】会議
【9:00】外来診療
【13:00】学食で昼食
【14:00】会議、打ち合わせ
【17:00】研究
【19:00】会食(自宅で夕食の場合は20:00)
【22:00】帰宅
【24:00】日記を書いて就寝
ドクター小林健康法(1)1日、3行の日記をつけることで、 自律神経のバランスを整える。
循環、呼吸、消化、体温調整、免疫など、生命維持に欠かせないさまざまな機能をコントロールする自律神経は、交感神経と副交感神経の2つの神経系からなっています。交感神経は自動車でいえばアクセルの役割で、副交感神経はブレーキの役割。このバランスが取れていないと、心身の病気や体調不良を招きます。
暑いときに発汗を抑えることができないように、自律神経の状態を意識的に変えることはできません。ただし、行動によってコントロールすることは可能であり、小林弘幸さんは、自律神経のバランスを取るために「3行日記」を実践しています。
「日記を書くときは、自分を見つめ直す時間であり、呼吸が安定します。日中、活動しているときは交感神経が優位で、呼吸が浅くなりがちですから、呼吸を安定させる時間が必要なのです」
3行日記の“3行”は、「今日いちばん失敗したこと」「今日いちばん感動したこと」「明日の目標」の3つのテーマを表します。3行に収める必要はありませんが、ポイントは簡潔に書くことです。
「テーマを決めて簡潔な日記にしたのは、継続しやすいからです。失敗、感動、目標という順番にも意味があります。こうするとモチベーションが高まり、より効率的に自律神経の力を引き出すことができるのです」
小林さんが日記を書くのは就寝前の5分ほど。短い時間でも、十分に効果があるそうです。
「大切なのは自分と正直に向き合うことです。人に見せるものではないので、カッコつけるとか、ネガティブな感情を隠すとか、そういうことはしないほうがいい。素直な自分にならないと、本来の効果は出にくいのです」
社会生活を送り、他人と接していれば、程度に違いはあっても誰もが自分を飾るもの。ありのままの自分ではないのですから、ストレスを感じているはずです。3行日記を書く時間は、本来の自分に戻る時間。自分を解放し、心の平和を保つためにも、習慣づけるといいでしょう。