人生100年時代を乗り切る、 長く、小さく、稼ぎ続ける策。
撮影・黒川ひろみ イラストレーション・小池ふみ 文・小沢緑子
「10年前と比較して、会社を定年した後も、70代、80代くらいまで『まだまだ働きたい』、そして『生涯最後にこそ、自分がやりたい仕事をしたい』と考える人が多いと感じています」と、定年前後での起業相談や創業支援サービスを行う「銀座セカンドライフ」代表取締役の片桐実央さん。
片桐さんのもとを訪れる人のうち、3〜4割は女性。これまでの仕事の経験、または趣味や習い事を活かして起業を考える人の2つに分かれるという。
「年代的には30代、40代が一番多いですが、50代、60代もいます。中には70歳近くで見守り付きの高齢者向け住宅に入居したものの、不便を感じ、『自分だったらこうする』と行政の創業補助金を得て、カウンセリング付きの同じサービスを立ち上げた女性も」
50代以降、仕事をして長く稼ぐうえでどんな可能性があるのかを聞いた。
(1)50代、60代からの雇用環境は、 思った以上にシビアなのが現実。
実際、50代、60代の労働環境や条件はどうなっている?
「再雇用や再就職は、男性も含めて現役時代より年収は下がる、前線から外れるなど、厳しくなるのが現実です」と片桐さん。
また、夫の転勤や子育て、介護などの事情で仕事を一度辞めてキャリアのブランクがある場合も、なかなか再就職しづらい。
「パートに就いた場合、家計の総収入は増えるものの、今までの経験は活かせず、体力仕事があると年々きつくなるという話蝣はよくあります。『このままではいけない』『ではどうする?』と、もやもやしている人は多い」
資格を取れば再就職に有利ではと考えがちだが、「これまでの経験を補完するもの以外は、資格で稼げるようになるまでは時間がかかるので、ビジョンなしに取るのはもったいない」。
シビアな状況だが、片桐さんは「雇用されるだけが稼ぐ策ではない」と話す。
「再雇用や再就職がその程度ならと、近年は起業を選択する人も多い。50代、60代を颯爽と過ごすために、この機会にセカンドキャリアを考え直してみてはどうでしょう。これまでの経験を洗い直して、今後自分はどう働き、どう稼ぐかを考えることは、第2の人生を見据えるうえでムダにならないと思います」
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