【正月編】正月を豊かにする、7つの暮らしの風習。
撮影・広田行正 文・大澤はつ江
[正月に行うこと]清々しい心で新年を迎え、若水や屠蘇で家族の健康と安全を祈る。
1. 元日の朝、太陽に 手を合わせる。
心静かに朝日に手を合わせ、一年間の無病息災を祈る。
元旦のまだ薄暗い中、うっすらと朝日が差し込むと、旧年が終わり、新年が始まるという心持ちになる。ましてや、山々や水平線に昇る初日の出は、神々しいまでに美しい。
「新しい年が明けた朝、洗顔をして身を清めたら清潔な衣服を身に着け、無事に新しい年を迎えられた感謝と、この一年が幸いであることを願って朝日の入る方向に向かい、心静かに手を合わせます」
初日の出を拝むことは、太陽のエネルギーを授かり、一年間の無病息災、豊穣を祈る習わしだ。
「自然界の中でも太陽は強いエネルギーを持つ私たちに身近な神様ですから、一年間どうかお守りください、といった意味もあるのでしょう。手を合わせ、日に向かうだけで謙虚な気持ちになり、活力が湧いてきます」
2. 干支の置き物を飾る。
その年の干支は縁起物。玄関や部屋に飾って福を。
年、月、日、時間や方位、角度などを表す干支(えと)。日本では十二支(じゅうにし)を干支と呼ぶことが多いが、本来は十干(じっかん)十二支という。十干は甲、乙、丙、丁などの総称で十二支はいわゆる子、丑、寅、卯といった動物の名で表される。この2つを組み合わせて方位などを示す。
「なじみのあるのは十二支。その年の干支は縁起物とされ、年賀状やカレンダーなどに使われますよね。我が家は干支の置き物を、元日の朝に袱紗の上にのせ、玄関のインテリアとして飾っています。リビングなどに飾ってもいいですね。飾ると、さあ新しい年が始まるんだ、と実感でき、気分がアップします。いつ頃飾るかより、心を込めて飾ることが一番大切なことだと思います」
写真の亥の置き物は、文鎮として売られていたもの。