物事の感じ方が変わった! 句会を体験。
撮影・岩本慶三 文・後藤真子
【俳句講座】身の回りの感動を、五七五に込めて伝え、人と共有する喜び。
俳句を学んでみたいと思っていた。理由は後述するとして、まずは講座に参加しようと調べると、通信型から講演型までいろいろある。なかでも多いのが、句会形式のもの。ワークショップ型と言ってもいいが、参加者が実際に作句して提出し(投句という)、それをもとにして教わりながら、仲間と一緒に俳句の世界に親しんでいく。
見よう見まねでも、とにかく作句してみるのは楽しそうだ。そこで、俳人の水原亜矢子さんが主宰する『久珠の会』の句会にお邪魔することに。
「俳句は世界で一番短い詩です」と水原さん。「十七音でまとめることと、必ず季語を入れること。決まり事はこの二つです。自由すぎると逆にできにくいものですから、最低限のきまりの中で作りましょうということですね。切れ字は必須ではありません」
十七音と季語は必須。きまりがあるから詠みやすい。
句会では、月ごとにあらかじめ季題が出されており、私が参加した4月は「花、桜、春眠、当季雑詠(とうきざつえい)」となっていた。「花、桜、春眠」は言わずと知れた春の季語。当季雑詠は「この季節の季語を自由に使って詠んでいい」の意で、参加者は会の前日までに季題に沿う句を一人5つほど出すという。できなければ無理に出さなくてもいいとのことだったが、せっかくなら投句したほうが、興が乗るというもの。
水原さんは、「季節の中で感動したことや自分の好きなもの、見て面白いと思ったことを詠んでいいのです」と話す。実は私、この日のために家で作句し、ひそかに準備してきていた。はじめ「絶望の底にも光イースター」と詠んだ句は、夫に見せたら「標語みたいだね(笑)」と言うので(確かにそうだと納得し)、「桜降り若葉生まれしイースター」と詠み直した。ほか、身の回りに材をとった「春眠に猫もうっかり床に落ち」「朝グモや殺さず逃がし春惜しむ」を加え、計3句を提出。
会場に入ると、全員の句を一覧にしたもの(清記)が配られる。作者名は記されておらず、誰の句かはわからない状態で、通し番号がふられている。水原さんの句も混ざっているそうで、各参加者が、記載されている40句以上に目を通し、を5つ選んで投票する互選から句会はスタートした。