鮭とともに生きる町・村上を訪ねる。きらきら羽越観光圏の旅<3>
文・斎藤理子
越後最北にある城下町村上へ。
今も息づく歴史と文化にふれる旅。
新潟県、山形県の羽越本線を走るきらきらうえつ号。(時期により秋田駅までの延長運行あり)海岸線に沿って走る列車からは、日本海の絶景や沿線の大自然が堪能でき、停車駅には見所も満載な街が点在しています。日本海の旅情がたっぷり味わえるこの列車に乗って、新潟県村上市を訪れました。
村上の風土が作り上げる塩引鮭。 鮭文化を支える老舗の製作現場へ。
村上市を流れる三面川(みおもてがわ)は、日本有数の鮭の産地として知られています。
その歴史は古く、平安時代には京の都に鮭を献上していたという記録が残っているそうです。江戸時代には、鮭は村上藩の貴重な財源となり自然ふ化増殖システムが考案され、明治時代になると日本初の人工ふ化に成功するなど、まさに鮭とともに歩んできた土地です。
独特の鮭文化が伝わる村上ですが、その中でも特徴的なのが、《塩引鮭》というもの。鮭に塩をすり込み4〜5日漬け込んだら、流水で塩抜きして寒風にさらし熟成させたものです。この塩引鮭が一般の塩鮭と違う点は、製造過程で発酵の力を借りていること。それによって、ここでしか作ることができない、深い味わいになるのだそうです。
1626年創業。390年の歴史がある「千年鮭きっかわ」は、村上にある塩引鮭店のなかでも最も古い歴史を持つ老舗です。店舗は町家と呼ばれる伝統的な日本家屋。趣のあるこの1軒家は、店舗、製作工房、住居を兼ねています。店舗の奥に入るとそこが工房。梁に1000尾以上の鮭が吊り下げられている光景はまさに圧巻です。
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