【後編】ほんとうに役に立つ? スマホで管理するクローゼット
撮影・森山祐子 文・芳沢祐子
> 【前編】ほんとうに役に立つ? スマホで管理するクローゼット
シンプルライフを提案する金子由紀子さんに、上手な洋服の片づけ方を指南してもらったクロワッサン倶楽部会員の上村朋美さん。まず持っているアイテムをきちんと把握するため、クローゼット管理アプリをダウンロード。手持ちのアイテムを撮影し、登録してもらった。
「アイテムを1点ずつ撮影する過程で、処分する決心がしやすくなった一方で、仕舞い込んですっかり忘れていたけれど、これ、今でもかわいく着られるのじゃないかしら?と思う服を発見できたのもうれしい収穫でした」
このアプリに慣れてきた上村さんに、次に試してもらったのがコーディネート機能だ。
「女性がたまにする自宅ファッションショーが、アプリの中でできてしまうんです。これなら部屋も散らからないですし、手軽にコーディネートできるので、手持ちの服の意外な組み合わせが発見できるかも」(金子さん)
「部屋が散らからないのはいいですね。着ていく服に迷う時、あれこれ着ては時間がないので片づけないまま出かけ、帰ってきてから、毎回片づけるのにうんざりしていましたから(笑)」
ショップアイテムと自分の服を合わせるのも可能。
洋服はたくさん持っているはずなのに、いつも着る服がないと感じてしまう。気がつけば同じような服をついつい何枚も買っていた。
「そんな買い物の無駄が多い人は、パッと目についた〝欲しいもの〟ばかりを買って、自分に〝必要なもの〟を買っていない傾向にあります」(金子さん)
そんな失敗を防ぐことができるのが、『スタイリシャス』の中にあるショッピング機能。
「普通にネットショッピングもできるのですが、ショップ内の写真をレンタルして、自分のアイテムに加えることができるのがミソです。欲しいと思ったものをすぐ買うのではなく、まずは自分の持ち物とコーディネートしてみましょう。似たものはないか、自分の着こなしに合うのか。買うのは、じっくりと検討してからです」
金子さんが最近、レンタルしたのは、ベージュのジャケット。
「なんと21万円もするジャケット(笑)。これは私の欲しいジャケットのイメージの具体化です。似たような色や形で身の丈に合った価格のものを、実際のお店で探します。そのほうが失敗のない買い物ができますから」
ネットオークションより手軽、とユーザー数を伸ばしているのがフリマアプリ。三大フリマアプリと呼ばれるのが、ファッションフリマ人気No.1の「フリル」、フリマアプリ最大手の「メルカリ」、手数料無料の楽天の「ラクマ」。
収納の工夫もプラスして、クローゼットがスッキリ。
取材の短い時間内に、上村さんが処分を決めた服は5着ほど。「もっと処分すべきですか?」と心配そう。
「おしゃれが好きな人に、捨てろ捨てろというのは酷ですよね。大丈夫。収納の工夫でもスッキリできます」
金子さん、クリーニング店の袋や不織布の洋服カバーを外し、ハンガーを揃え、洋服を種類別に並べた。
「ほら、これだけでも、洋服収納はかなりスリム化することができます」
また、クローゼットの横板を外して収納ケースを2段にし、カゴもセット。隙間に詰め込んでいたTシャツ類やジーンズなどがきれいに収まった。
「左側に隙間ができたので、バッグを2つ3つ置けますよ」と金子さん。
「頻繁に使うママバッグがここに収まると便利!」と大喜びの上村さん。
「このアプリで、自分の洋服を完璧に把握できたらどんなに気持ちがいいでしょうね。よし、がんばります!」
後日、上村さんはさらにポリ袋3つ分の洋服を処分した。「スッキリした気持ちで引っ越しできそうです」
【Before】それほど乱れてはいないが、洋服をかなり詰め込んでいる印象。「余裕のないクローゼットです」と上村さん。
【After】省いた服はわずかでも、服カバーを外し、ハンガーを揃え、服を種類別に並べ替えただけで、見事に変身。
「立てる収納は、戻しにくいし、巻くのも手間。畳んで斜め収納が現実的」と金子さん。
「気分晴れ晴れです」と上村さん。「これからもアプリでクローゼット管理を楽しんで」と金子さん。
『クロワッサン』934号より
●金子由紀子さん シンプル&ライフ研究家/モノに振り回されない、少ないモノで楽しく暮らすノウハウを提案する。著書に『持たない暮らし』(アスペクト)など多数。