〈新田恵利の看取りの話 Vol.2〉大人の修学旅行in真鶴——人生のスクランブル交差点
文・新田恵利 編集・クロワッサン編集部
日除けや冷え対策にも便利なシアーカーディガン
コットン100%で軽くて涼しい素材ながら、日差しや冷房の冷えからもしっかり守ってくれるカーディガン。これから暑くなる季節に持っておきたい、心強い1枚です。
介護の講演がもたらしたうれしい“再会”
満開の桜が桜吹雪に変わる頃、46年ぶりの「大人の修学旅行」へ出かけました。小学5~6年の時の同級生、女子5人(敢えて女子と書きますね)での1泊2日旅。真鶴半島の貸別荘でのんびり気ままな時間を過ごすことができました。
そもそも46年ぶりの大人の修学旅行がなぜ実現したのか? それは3年前の秋のこと。出身地である埼玉県ふじみ野市で介護をテーマに講演をさせていただいたのがきっかけです。その会場に何人かの同級生が来てくれて、講演後に数人と集まり昔話に花が咲く中、ふと気がついたのです。「みんなは私の人生を検索すれば知る事が出来る。でも私はみんなの人生を何も知らないな」って。純粋に「知りたいな」と思ったのです。そんなことをポツリと呟いたら「ミニミニ同窓会を開こう!」ということになりました。
毎年恒例のミニミニ同窓会から、初の温泉旅へ
翌年の2月、第1回目のミニミニ同窓会が開かれました。仕事の都合で遅れ、慌ててお店に入ると大きく細長いテーブルにズラッと並んでいた同級生達(懐かしのフィーリングカップル5対5の並びとでも言いましょうか。ちゃんと男女が向かい合ってました)。息が上がったまま周りに急かされ、コートを脱ぎながら指定された椅子へと向かいます。
何十年ぶりの同級生たちの顔をガン見したい、そんな興味津々の気持ちを抑えつつ、失礼のないよう大人の対応で遅れた事を謝罪。でもチラチラと並んだ顔を盗み見ると……。誰が誰だか、分かるような分からないような。当時の顔がそのまま大人になったタイプと面影があるタイプ、そして全くの別人タイプに分かれますよね。ちなみに私は小学校の時から変わってないタイプです(笑)。
私を含めて集まったのは11人。46年の月日の隔たりは何ひとつなくて、本当に盛り上がって楽しかった。余韻が残ったまま、春には女子4人で浅草から浜離宮まで舟下りしてお花見。翌年にも仕事で地元近くに行くことになり全員集合。そして今年もうまい具合に仕事が重なり大集合! と、毎年恒例となりつつ、もはや小学校も中学校も関係なく、声をかけたい人に声をかけ、来たい人が来るというスタイルになってきました。そして今回は、昨年から絶対に行こうと話していた「温泉旅」の実現となったのです。
46年ぶりの大人の修学旅行
旅行当日、週間天気予報で2日しか晴れがない中、その2日間にピッタリとハマりました。やはり普段の行いでしょうか。旅先の近くに住む私は在来線で、前日推し活で地方にいた子は新幹線で、埼玉・都内組はロマンスカーで集まって、既に旅気分。小田原に集合して同じ電車に乗り込み、真鶴へ向かいました。
まずはお散歩しながら海が見えるレストランでランチ。なのに海を眺めるどころか喋りっぱなし(笑)。電車内では良識のある大人を演じていたので、レストランでは少しボリュームアップ。平日で人もいなかったので店主のお言葉に甘えてしまいました。
50代女子が集まれば最強! それぞれの人生がクロスした日
夕飯は、宿泊先の貸別荘で自炊です。地元の人から入手した情報をもとにスーパーへ買い出しに。おいしい情報は「探す」より「聞く」という簡単なおばさん手法にみんな進化していました。
地元産のブリの柵はお刺身に、鯖っ子という初めて見る肝は甘辛く煮付け、ジンタというマアジの稚魚は素揚げに、ウマヅラハギはアクアパッツァに……。追加で、レンジで出来る手羽の唐揚げと新じゃがの塩辛バターに、カプレーゼもプラス。50代女子が5人もいれば、あっという間に料理が完成。はてさてイタリア料理なのか居酒屋か、無国籍なメニューの出来上がり、地元の味を堪能しました。
その後は、「お風呂、入っちゃって」という友人のお母さんのような言葉に甘えて、「ありがと。じゃ、お先に〜」と別の友人と一緒に入浴。46年という年月は大きく体型を変えたけれど、そんな事も気にせず肩を並べて「いい湯だな」♫
会話の中心はもちろん恋バナではなく、自分の健康と親の介護。足が痛い、腰が痛い、更年期はどうだの、薬を飲まなきゃだの、時折り垣間見えるのは等身大の私たち。小学生の頃は若かった親たちも今は立派な後期高齢者、「言うことを聞いてくれない」と心配するからこその愚痴もこぼれます。それでも5人の空気感はあの頃のまま。喋り倒して、飲んで食べて、大笑いして。別々に歩んで来た同級生の人生が、大きなスクランブル交差点のようにクロスした1日でした。
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