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【脚本家、演出家、映画監督・加藤拓也さんに聞いた】毒を喰らう愉しみの先に。極上のリアルな会話劇──た組『景⾊のよい観光地』

1993年⽣まれ、⼤阪府出⾝。2013年に劇団「た組」を結成、脚本・演出を⼿がける。2022年『ドードーが落下する』にて第67回岸⽥國⼠戯曲賞、『もはやしずか』『ザ・ウェルキン』にて第30回読売演劇⼤賞優秀演出家賞を受賞した脚本家、演出家、映画監督・加藤拓也さん。「映画や芝居を観て、『何が言いたかったかわからなかった』という感想をよく目にしますが、言いたいことを伝えるなら、コラムを書くほうが手っ取り早い」

撮影・五十嵐一晴 文・黒瀬朋子

加藤拓也(かとう・たくや)さん 脚本家、演出家、映画監督。1993年⽣まれ、⼤阪府出⾝。2013年に劇団「た組」を結成、脚本・演出を⼿がける。2022年『ドードーが落下する』にて第67回岸⽥國⼠戯曲賞、『もはやしずか』『ザ・ウェルキン』にて第30回読売演劇⼤賞優秀演出家賞を受賞
加藤拓也(かとう・たくや)さん 脚本家、演出家、映画監督。1993年⽣まれ、⼤阪府出⾝。2013年に劇団「た組」を結成、脚本・演出を⼿がける。2022年『ドードーが落下する』にて第67回岸⽥國⼠戯曲賞、『もはやしずか』『ザ・ウェルキン』にて第30回読売演劇⼤賞優秀演出家賞を受賞

家族や恋人、友人たちのありふれた日常から、予想もしないところに自然と導かれる。加藤拓也さんが生み出す物語は、あまりに会話がリアルなので、フィクションであることを忘れ、観客自身も体験したかのような、容赦のない感情の揺さぶりをかけられる。プロデュース作品も多く手掛けているが、劇団「た組」は加藤さんにとってホームグラウンド。

「何の制約もなく一番自由に作れる場所ではありますね」

17歳からラジオの構成作家としてキャリアをスタートし、18歳でイタリアに渡り映像演出を学んだ。帰国後に立ち上げたのが「た組」である。

「コメディとか社会風刺劇など、毎回何かしら決まっていればお客さんも安心するのでしょうが、うちはそういうのがなくて。ただその時々に僕が面白いと思うものをやっているだけなんです」

最新作『景色のよい観光地』は、元鍼灸師が山間の観光地でお茶屋を始め、食べてはいけないものを食べる話。危険なものにこそ惹かれてしまう人の業が浮き彫りにされそう。

「数年前から鍼に通うようになったのですが、鍼を刺して痛みを取るとか、単体では毒とされるものも掛け合わせによって薬になるなど、東洋医学ってわかるようでわからないところが面白いと思います。毒と薬の関係は人間関係にも似ています。一人一人はいい人でも相性が良くなかったり、癖のある人同士がチームを組むことで意外とうまくいったり」

交わされる会話とは裏腹にそれぞれの気遣いや本当の思いがあり、他愛もないことのはずが思わぬ流れに呑み込まれてしまう。緻密な脚本と俳優の高い演技力によって、観客は背後に起きていることを想像し、感じながら楽しむ。格別な演劇体験だ。

「映画や芝居を観て、『何が言いたかったかわからなかった』という感想をよく目にしますが、言いたいことを伝えるなら、コラムを書くほうが手っ取り早い。紅葉を見て『何が言いたいんだ?』と思わないように、テーマを探ろうとしないで、ただ観てそれぞれ自由に感じてもらえたら」

2023年には『綿子はもつれる』を台湾で上演し、一昨年はロンドンで、書き下ろしの『One Small Step』を発表。監督した映画『ほつれる』は海外でも高い評価を受けた。

「海外との仕事が増えて、文化や感覚の違いなどを目の当たりにしました。日本人としてのアイデンティティを見つめ直す機会にもなった気がします。翻訳されることを念頭に脚本の書き方も少し変わってきています。『景色のよい観光地』はここ数年の僕の経験の融合がなされた作品になったのではないかなと思います」

た組『景⾊のよい観光地』

【脚本家、演出家、映画監督・加藤拓也さんに聞いた】毒を喰らう愉しみの先に。極上のリアルな会話劇──た組『景⾊のよい観光地』

山にある観光地でお茶屋を営む健介と隆治。健介は趣味で毒のあるものを調理していたが、あるきっかけからその趣味を広げるべきだと勧められる。

作・演出:加藤拓也
出演:平原テツ、安達祐実、⽥村健太郎、宮﨑秋⼈、吳静依(Jing Wu) 
東京公演:1⽉17⽇(⼟)〜2⽉1⽇(⽇)東京芸術劇場 シアターイースト、札幌公演:2月14日(土)〜15日(日)ジョブキタ北八劇場、大阪公演:2月21日(土)〜22日(日)ABCホール https://takumitheater.jp/news/id_763/

『クロワッサン』1157号より

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