ふくらはぎの筋ポンプを刺激する(1)──簡単にできる4つのストレッチ
撮影・小川朋央 スタイリング・白男川清美 ヘア&メイク・大谷亮治 モデル・阿留奈 イラストレーション・山下アキ 構成&文・堀越和幸 撮影協力・UTUWA
血液はどうやって全身を駆け巡っているのか? そのメカニズムは動脈と静脈とではちょっと違います、とトレーナーの清水忍さんは語る。
「動脈を流れる血液にはまず心臓の拍動によって押し出される“心臓ポンプ作用”があり、そして動脈自体が伸び縮みを繰り返す“血管ポンプ作用”によって、各器官や筋肉に運ばれるのです」
新鮮な酸素と栄養を各器官や筋肉に送り届けた動脈の血液は、今度は静脈に乗り換える。静脈を流れる血液は、二酸化炭素と老廃物の類いだ。
「静脈は自分で伸び縮みができません。また出所が各器官や筋肉なので、心臓ポンプの影響も乏しい。例えるなら、動脈は勢いよく流れる上水道、静脈は池のように流れのない下水道です」
動脈と静脈で心臓を往来する血液
心臓の左心室から流れてくる動脈の血液は酸素や栄養を各器官に運んでから静脈を経て心臓の右心房に。「例えるなら動脈は上水道、静脈は流れのない下水道」(清水さん)
筋肉の収縮で血液が押し出される
静脈を取り巻く筋肉が動くことで初めて“筋ポンプ作用”が働く。「動かずにじっと座っている状態が続くと、滞留した血液に血栓が貯まりやすくなるので要注意です」
上水道も下水道も大切なインフラだが、下水道が滞ったら大変。
「なので静脈には3つ目のポンプ、“筋ポンプ作用”が使われるのです」
筋ポンプ作用とは、静脈を取り囲む筋肉が収縮することで血管中の血液が押し出される働きだ。
「しかも静脈弁が付いているので、一方向にしか押し出されません。筋ポンプ作用はその名のとおり、筋肉が動くことで初めて働くポンプ。下半身にある静脈の血液は重力に抗って、心臓に戻らなければなりませんので、とにかく脚を動かすことが大切になります」
そのヒントを次から見ていこう。
ジッとしていてはダメ。筋ポンプ作用を働かせよう
もも前ストレッチ
動かずにいるのが血液循環には一番よくない。椅子に座りっぱなしが続いていたら、左手で左足を持ち、踵をお尻に近づけ膝を後ろに引いて太ももをストレッチ。引いては戻す、のワン・ツーを10回。反対側も。
ふくらはぎ・もも裏ストレッチ
こちらも椅子に座りながらできる、ふくらはぎ&もも裏のストレッチ。片方の足を軽く持ち上げ、つま先を上げたらそのまま脚を水平に伸ばす。上げ下げをテンポよく10回繰り返したら、反対側も行う。清水さんも日常でこれをよく行うそう。
ふくらはぎ壁ストレッチ
椅子の脚に左足のつま先をかけ、床につけた踵に体重をかけながらお尻をゆっくり前に出し、脚の主要な筋ポンプであるふくらはぎをストレッチ。椅子ではなく壁を使っても。お尻の前後を10回繰り返したら、反対側も行う。
もも裏お辞儀ストレッチ
両足を肩幅に開き、上体を倒して両手で椅子の座面をつかむ。その状態からゆっくりお辞儀をしながら肘を曲げ、肘下をなるべく水平に近づけて太もも裏をストレッチ。起き上がってはお辞儀を10回繰り返す。
『クロワッサン』1154号より
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