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人間が必ずなる老眼、緑内障──40代から始まる老化に備える、目の最強メンテナンス!

何となく不具合を感じても年のせい? とやり過ごしてしまいがちな目。けれども、今からきちんと向き合えば、もっと長持ちするのです!

撮影・北尾 渉 イラストレーション・イオクサツキ 文・嶌 陽子 構成・堀越和幸

日頃のチェックを怠らず、早く異変に気づくのが鍵

カメラのような構造を持つ目。加齢により少しずつ機能が低下してくる
カメラのような構造を持つ目。加齢により少しずつ機能が低下してくる

目の老化は40代から。人間が必ずなるのが「老眼」と「白内障」

「体の中で一番早く老いを自覚するのが目。早い人で40代から老眼が始まります」と話す眼科医の平松類さん。老眼とは、目のピント調整機能が低下すること。加齢に伴い、レンズの働きをする水晶体の周りの筋肉、毛様体筋(もうようたいきん)の力が低下することや、水晶体自体の弾力が落ちることが原因となる。

「老眼は人間が必ずなるもの。もうひとつ、人間が絶対になるのが白内障です。白内障は水晶体が白く濁ることで、目がかすんだり見えづらくなったりする病気ですが、50代で50%、80代で99%の人がなります。最大の原因は加齢と紫外線。ほかには糖尿病やアトピー性皮膚炎が原因になる場合もありますし、目をこすったりすることで水晶体が傷つく場合もあります」

白内障は水晶体の代わりに人工的な眼内レンズを入れる手術で治せるが、「軽症で特に生活に不自由を感じないため、そのままにしておく人もいます。白髪を染めない人もいるのと同じです」

近視の人は「緑内障」にも注意。緑内障は目薬で進行を止める

視神経がダメージを受けることで視野が狭まり、放置すると失明につながる緑内障。近視の人、特に強度近視の人は視神経に負担がかかりやすく、緑内障になりやすい。また、目の中を満たしている「房水」と呼ばれる液体の出口が詰まって眼圧が高くなることも緑内障の原因のひとつだ。

「99%の人が目薬で進行を抑える治療をします。緑内障によって一度失われた視野は回復しないため、早めの治療が肝心ですが、問題は緑内障が気づきにくい病気だということ。どちらかの目が見えづらくても、もう片方の目で補うので、視野が半分になって初めて気づく人も多いのです。時々片目ずつでカレンダーなど格子状のものを見て、見え方をチェックしてみてください」

眼底検査は人間ドックでも受けることができる
眼底検査は人間ドックでも受けることができる

40歳を過ぎたら2年に1回は眼底検査を受けよう

緑内障をはじめとする目の病気の早期発見のために、平松さんが勧めるのは眼底検査を受けることだ。

「瞳孔の奥にある眼底を撮影し、血管、網膜、視神経などを調べる検査です。失明原因1位の緑内障だけでなく、2位の網膜色素変性症、3位の糖尿病網膜症、4位の加齢黄斑変性症の有無などを一度に調べることができます。40代になったら2年に一度、70代以上は1年に一度度受けるといいでしょう」

目の病気の怖さは、見落としてしまうこと。眼科も定期的に受診したい。

「老眼だと思っていたら実は緑内障だった、ということも。老眼鏡を作る際にも、眼鏡店に行くだけでなく一度眼科を受診することをお勧めします」

パソコン、エアコン、コンタクトレンズの「3つのコン」の使いすぎには要注意
パソコン、エアコン、コンタクトレンズの「3つのコン」の使いすぎには要注意

更年期世代の女性は「眼精疲労」にも注意したい

「“眼精疲労”は“眼の疲れ”とは違います。眼の疲れは、一晩寝れば回復しますが、眼精疲労は眼の疲れが進んだ結果、頭痛や肩こり、ほてりなど、全身に症状が出て、しばらく続くもの。更年期障害と勘違いする人も多いです」

眼精疲労の原因の中で多いのがドライアイ。涙の分泌量の減少や涙の質の低下によって、目の表面を潤す力が低下することだ。パソコン、エアコン、コンタクトレンズの“3つのコン”がドライアイを悪化させるといわれている。

「血流が悪いとドライアイになりやすいため、冷え性の人は要注意。またアイメイクによって、まぶたの縁から分泌される目の保湿成分が出づらくなることも。メイクを落とす際にも、目の端まできちんと拭き取りましょう」

緑黄色野菜に多く含まれるルテインは、目を紫外線から守ってくれる
緑黄色野菜に多く含まれるルテインは、目を紫外線から守ってくれる

今日から始める目を長持ちさせる生活習慣とは?

目の老化をできるだけ遅らせるために、まず実践したいのが紫外線対策。一年を通してUV効果のあるサングラスや日傘、帽子などでケアしたい。

「睡眠も目を休めるために重要。6〜9時間の睡眠時間が理想的です。有酸素運動も、眼圧を下げて緑内障を予防することが分かっています。人と話せる程度のウォーキングなどを週に3回、1回30分以上行うといいでしょう。バランスのよい食生活も大事。中でも“天然のサングラス”と呼ばれている栄養素がルテイン。ケールやゴーヤ、ほうれん草などに多く含まれています」

スマホやパソコンの見過ぎで目の老化が早まることも。なるべく目を休ませることはもちろん、遠くと近くを交互に見ることでピント調整機能を高めるトレーニングも習慣にしよう。

「老眼が始まったらすぐに老眼鏡を使うことをお勧めします。早くに老眼鏡を使い始めたからといって、老眼が進行するわけではありません。見やすくすることで目の負担を減らしましょう」

30cmほど離した指先と、2m以上離れた目標物に交互にピントを合わせる練習を
30cmほど離した指先と、2m以上離れた目標物に交互にピントを合わせる練習を
  • 平松 類

    平松 類 さん (ひらまつ・るい)

    ⼆本松眼科病院副院⻑

    雑誌やテレビなどの出演多数。YouTube「眼科医 平松類チャンネル」で目の情報も紹介中。著書に『名医が教える 新しい目のトリセツ』など多数。

『クロワッサン』1152号より

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