自分だけのフレグランスが作れる「調香体験」も。特別展「調香ミュージアム~香りで紡ぐ、秘密の世界」開催中
取材・文 伊東ししゃも
あなたには、お気に入りの香りはありますか?
香水、ルームフレグランス、化粧品、石鹸や入浴剤など、生活の中にはさまざまな「香り」が存在しています。そんな「香り」について気軽に学び、体験できる施設「AEAJグリーンテラス」を紹介します。
アロマ体験施設「AEAJグリーンテラス」に行ってきました
東京メトロ明治神宮前駅より徒歩3分。日本アロマ環境協会(AEAJ)が運営するアロマ体験施設「AEAJグリーンテラス」は、都心でありながらも閑静な住宅地の広がる一角にあります。
建築家・隈研吾さんが手がけた建物は、国産ヒノキを使った組積造が印象的。エントランスに続く小道には、精油の原料となる植物をはじめたくさんのグリーンが。
「AEAJグリーンテラス」では、2026年1月31日(土)までの期間、特別展「調香ミュージアム~香りで紡ぐ、秘密の世界」を開催中。香りにまつわるさまざまなコンテンツを通じて、調香とフレグランスの魅力を多角的に体験することができます。
「調香ミュージアム~香りで紡ぐ、秘密の世界」を体験
館内に足を踏み入れると、精油の香りが広がり、ヒノキの美しい内装が目に映ります。どこか別世界へ来たかのような空間で、窓から差し込む自然光も美しく映ります。
特別展は1Fのラウンジにて開催。展示はいくつかのセクションに分かれており、多角的に香りについて学ぶことができます。
注目は、古代から現代まで香りとフレグランスの歴史を辿る展示。香りはすべて手に取って嗅ぐことができます。
例えば、樹脂を原料とした香りが用いられていた、古代エジプト時代。神さまに捧げる神聖な香としても知られている「乳香(フランキンセンス)」や、ミイラの語源ともされる「没薬(もつやく/ミルラ)」。また、神殿などで使われていた香り「キフィ」は、当時のレシピをもとに再現されています。
一方、日本では“木を焚く”ことで香りを愉しんでいたそうで、古くから使われていた「沈香(じんこう/アガーウッド)」が展示されています。
時代は進み、中世ヨーロッパ。ここでは、マリー・アントワネットが好んだとされる香りを体験することができました。
有名なローズの香りに加え、オポポナックス、チュペローズ、ジャスミン、ジョンキルといった香りが並びます。こちらは単体の精油の状態ですが、実際は調香師に好きな香りを組み合わせてもらい、愉しんでいたそう。どんな香りを好んでいたのか、自身でぜひ体験してみてください。
ほかにも、香水の源流とされている「ハンガリアン・ウォーター」の展示、貴族の中で流行した香水、香水の抽出法の変化や、日本で好まれてきた香りなど。長い歴史の中に登場する香りが一堂に会する展示は、日本アロマ環境協会が運営する施設だからこそ。貴重な体験となりました。
多角的に「香り」について知る
展示は歴史だけにとどまりません。たとえば展示スペースの入口付近には、レジェンドと呼ばれる香水がずらり。世界初のオーデコロンであるドイツの「4711」や、1921年に誕生した「シャネル N°5」、近年人気を博した「カルバン・クライン」の「エタニティ」まで。
その奥には、天然精油のみで作られたフレグランスや、天然原料にこだわったフレグランスの展示も。天然ならではの繊細な香りを楽しめるエリアです。
より、知的好奇心をくすぐる展示も。
たとえば「54種の精油マップ」では、天然精油での調香に欠かせない54種の香りを、種類と持続性でマッピング。軽やかで消えやすい「トップノート」から、持続性の高い「ベースノート」まで、どの香りがどの位置にあたるのかを展示しています。
そのほか、化学的に見る香りの種類や、組み合わせによる香りの変化など、調香の奥深さをより体感できるコンテンツが盛りだくさん。香りから想起した言葉を書き記し、皆で作り上げる「香りの辞書づくり」など、体験型の展示も興味深いものでした。
自分だけのフレグランスが作れる「調香Bar」
会期中の火・水曜限定で、自分だけのフレグランスが作れるワークショップ「調香Bar」が開催されています。
AEAJ認定アロマブレンドデザイナーの指導のもと、フレグランスを作る体験ができる「調香Bar」。参加者はベースとなる3つの香りから1つと、アレンジに使用する精油4種類の中から最大2種類までを組み合わせ、自分の好みの香りを探ります。
ベースの香りは「ハーバルアロマティック」「フローラルブーケ」「フゼア」の3種類、アレンジの香りは「サンダルウッド」「ゼラニウム」「ベルガモット」「ラベンダー」の4種類です。
自分に馴染みのある香りはいくつかあるものの、実際に香りを試していくと「今日の気分はこっちかも……」「こっちの香りも素敵だな」と迷ってしまいます。気分に合わせたり、普段は使わない香りをあえて試してみたりするのもいいですね。
香りを選んだら、規定量の精油を組み合わせてフレグランスを作ります。参加者自身の手で行うのも、また特別な体験のひとつです。
最後にスプレーボトルに移して完成です。
ベースとなる香りには「フローラルブーケ」を、アレンジの香りとして「サンダルウッド」と「ゼラニウム」を選んだフレグランス。もともとやさしく甘めのフローラルブーケの香りに、深みのあるサンダルウッドの香りや華やかなゼラニウムの香りが加わることで、上品で穏やかな香りの1本が完成しました。
常設コンテンツやツアーも開催
「AEAJグリーンテラス」では特別展「調香ミュージアム~香りで紡ぐ、秘密の世界」のほか、常設コンテンツとして、世界中から集めた約250種類の精油の香りを体験できる「アロマラボラトリー」や、アロマ・植物・環境に関連する書籍を約1,400冊閲覧できる「アロマライブラリー」などがあります。
その日の天候次第ですが、「アロマテラスツアー」と題し、毎時50分頃より3Fの「アロマテラス」に入ることのできるイベントも開催されています。
香りの歴史や文化に触れ、香りを知り、学び、体験することができる「AEAJグリーンテラス」で、香りの奥深い世界に触れてみてはいかがでしょうか。
「調香ミュージアム~香りで紡ぐ、秘密の世界」
会期:2026年1月31日(土)まで
会場:AEAJグリーンテラス 1F
住所:東京都渋谷区神宮前6-34-24
開館時間:13時~18時
休館日:日曜、月曜、祝日 ※その他AEAJグリーンテラスの閉館日に準ずる
入館料:大人 500円
※AEAJ会員、高校生・18歳未満、障害者手帳をお持ちの方は無料
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