普段の料理に使いたい! 江戸の味を再現できる、台所道具
撮影・黒川ひろみ 文・嶌 陽子
うぶけや(人形町)
職人の高度な技術により生まれる美しい刃物
菜切包丁
平和が続いた江戸時代は武器の需要が減ったため、刀を作る技術が包丁の製作に生かされるように。先の尖っていない菜切包丁などが台所で活躍した。持ち手には握りやすい朴(ほお)の木、柄には水牛の角を使用。3万3000円。
蛸引き包丁
食文化の発展とともに包丁も細分化。蛸引き包丁は、江戸を含む関東で使われた刺身包丁。刃渡りが長く細身で、薄造りなどにも適している。鋼製のため、常に清潔な布巾などで汚れや水気を拭き取ることが大事。6万3800円。
おろし金
銅製のおろし金は1712年編纂の百科事典『和漢三才図会』にも載っている。最初はわさびおろしとして使われていたが、江戸で天ぷらが流行したこともあって大根おろしの道具としても広まったとか。1万5180円。
天明3年(1783年)創業の刃物店。職人が成形した刃物の刃付けや仕上げ作業をして販売。メンテナンスも行う「商職人」の形態を続けている。包丁から鋏、毛抜きまで、多様な刃物を取り扱う。商品価格は時期により変動。
釜浅商店(浅草)
おいしいものを求める人々の知恵が生んだ道具
江戸びつ
江戸の庶民は朝に1日分のごはんを炊き、それをおひつに入れて昼も夜も食べられるように保存した。木曽産のさわら材でできたおひつにごはんを入れると粗熱が取れ、米の甘みが引き立つ。直径18cm(2.5合)1万780円。
長次郎作 鮫皮おろし
そばや寿司の普及とともに、わさびをきめ細かくすりおろす道具が作られた。当時の宮大工が鮫皮をやすりにしていたことに着想を得たそう。職人による丁寧なつくりが香りと辛さを引き立たせる。特大 1万9800円。
銅厚手たまご焼器 関東型15cm 銅玉子焼器関東型用蓋
関東型の玉子焼き器は正方形。卵液を一気に流し込み、関西のように巻かずに2つ折りにする作り方に合う形。江戸時代後期には、寿司屋が口直しとして甘い玉子焼きを出すようになった。本体1万1946円、蓋1,386円。
明治41年(1908年)、浅草合羽橋にて釜の専門店としてスタート。釜以外にも包丁、南部鉄器、手打ち鍋、おひつ、炭道具など、全国各地から職人の手で受け継がれる良質な調理道具の数々を扱う。
オクダ商店(浅草)
庶民の暮らしと共にあった竹や木の素朴な道具
平ざる
米とぎ、野菜の水切り、蕎麦の盛り付けなど、ざるは江戸の食文化においてさまざまな用途に使われていた。主に活躍したのは竹製のざるだった。細くてしなやかな篠竹で編まれたざるは丈夫さが魅力。直径24cm 3,630円。
渋うちわ
かまどや七輪の火おこしに欠かせなかったうちわ。渋うちわとは、うちわの表面に柿渋を塗ったもの。柿渋の成分によってうちわが丈夫になり長持ちするほか、防虫効果もある。横24×縦41cm(柄入り)935円。
竹皮
天然の抗菌性と通気性に優れ、包装材として重宝された竹皮。おにぎりだけでなく、さまざまな食材やお菓子を包むのに使われた。屋台の料理をテイクアウトする際にも竹皮が活躍したそう。5枚 385円。
大正13年(1924年)創業の木製品・竹製品・漆器の店。水切りざる、干しざるといった、各種のざるやかごのほか、おひつや飯台、家庭用の漆器なども豊富に揃う。素材ごとの特性やお手入れ方法なども親切に教えてくれる。
『クロワッサン』1145号より
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