隣人トラブル、介護、ペット…家で問題が起きたときにかかる費用とは?
ピンチをなんとか乗り切るために、知っておきたいことをファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに聞きました。
イラストレーション・しりあがり寿 文・長谷川未緒
家
持ち家も賃貸も、自助で備えることが基本。
隣人トラブルも考慮に入れて。
(CASE 1)隣人の騒音がひどいです。 引っ越し代を管理会社に請求できますか。
【引っ越し代として家賃5カ月分】
賃貸人には、家賃に見合う価値を入居者に提供する義務がある。騒音のレベル計測、ほかの入居者へのヒアリング等で騒音にあたると判断されれば、隣人にやめるよう働きかけるはず。それでも解消されない場合、ストレスを抱えながら過ごすより引っ越しも選択肢になるかもしれない。
「その際、賃貸人に対する賠償請求ができる場合もありますが、すぐに決着がつかない、一部しか認められない、などの可能性も」。
すぐ動けるという意味でも引っ越し費用(現家賃5カ月分)は常から準備があるほうが心強い。失業のケース2で紹介したひとり暮らしなら3~6カ月分の生活費、家族がいるなら6カ月〜1年分があれば、それと共用できる。
(CASE 2)足が不自由な義母と急に暮らすことに。バリアフリー 化に、当面いくらかかる?
【最低でも2〜6万円必要】
介護のために暮らしやすい家にしたいと考えたときに、利用できる国の補助金制度がある。
「介護保険の中に居宅介護(介護予防)住宅改修費という項目があり、バリアフリーのための工事費用が一部支給されます。受け取れるのは在宅で生活している要介護者で、要介護度にかかわらず、支給限度額は20万円です。
年齢や年収に応じて、利用者は1〜3割の負担で済みます。ケアマネジャーに相談してみるといいでしょう」。
対象になる工事は、手すりの取り付け、スロープ設置など段差の解消、滑り防止のための床材替え、和式から洋式へのトイレリフォーム、扉の取り替えなど。また助成金制度のある自治体も多いので、市区町村の窓口で確認を。
(CASE 3)ペット可物件なのに、引っ越し時に多額の修繕費を請求されました。
【家賃の2〜3カ月分程度必要】
ペット可物件は、不可の物件に比べて家賃が1〜2割高い傾向にあるため、ペットが汚したり傷つけたりしても問題ないと考えがち。しかし、敷金で相殺しきれない原状回復工事の費用は請求されることになる。
「国土交通省のガイドラインでは、日焼けした床、ダイニングテーブルを置いてできた床の凹みなど、経年による損耗は、賃貸人の負担に。一方で猫の爪とぎ跡がある壁紙の張り替えや消臭クリーニングなど、ペット由来で生じた費用については、入居者負担です。もちろん金額が妥当かどうか確認は必要。原状回復のためにどこまで支払う義務があるか、契約時にしっかり確認を」
『クロワッサン』1111号より