麻木久仁子さんがひとりご飯に愛用する、軽くて小さな料理道具。
そんな生活を実践する麻木久仁子さんの愛用品とは。
撮影・黒川ひろみ 文・板倉みきこ
60歳を迎えたタレントの麻木久仁子さん。一人娘も独立し、いざ自分の第二の人生をどう充実させていくか、を考える中でテーマになったのが、台所のスリム化だった。
「ここ数年、ひとりご飯用の調理器具をいろいろリサーチして取り入れてきました。作る量が変わるのでサイズが小さくなるのは当然ですが、使い勝手の良さ、片づけやすいかなど、機能を追求することも大事。自分のためだけのご飯作りは、面倒くさいと思った時点で『ご飯とお漬物でいいや』みたいな感覚になり、侘しいおひとり様ご飯になりがちです。自分が喜ぶものだけを作れる贅沢を満喫すべく、使いやすくて片づけやすいものを集めました」
調理器具は「大は小を兼ねない」が麻木さんの持論。例えば、大鍋で少量の食材を煮ると、煮締まらず味がぼやけたり、逆に煮汁が足りなくなったり。
揚げ物は食材に比べて油の量が多く必要で不経済。美味しく、無駄なく作るために、適正サイズの器具を厳選した。
「スリム化といっても、いわゆる“断捨離”はしていないんです。無理せず、自分がハッピーで健康でいられる料理を作るために、今必要なものを揃えていったので、むしろ増えたものも。例えば2号サイズのおひつなんかがそう。でもそのおかげで『お米ってこんなに美味しくなるんだ』と感動しました」
クリスマスや正月など、家族や仲間が集まって食事を楽しむ時に必要な、大きな鍋などは収納場所に保管した。そして楽しいご飯の演出用に、様々なデザインのお膳も所有している。
「たとえ一汁一菜でも、お膳に載せるだけで見た目が素敵になるんです。食事が流れ作業にならず、お膳を前に『いただきます』という気持ちになれるから、演出も大切だと思いますね」
麻木さんの毎日の食卓を充実したものにしている調理器具の数々。今回は、簡単な料理例とともに紹介してくれた。
2品同時に調理できる、小さなせいろが2段。
直径約15cmの中華せいろが2段。
「大きいサイズ1段より、1度に2つの料理ができる小サイズ2段のほうがひとりご飯向きです」。
ただ極小サイズは上質の素材を使ったものが見つからず、消耗品と思って割り切ったそう。味付けした肉だねを、キャベツたっぷりのシュウマイと、肉味噌がけの蒸し豆腐、2種の料理に展開。素ラーメンを添えて。
ミルクパンは小鍋。様々な調理に使える。
一汁一菜で済ませることも多く、ミルクパンは汁鍋に重宝。
「ちょうどお椀1杯分を作れるので、お玉を使わずそのまま注げる点も便利です」。
具だくさんの味噌汁で栄養バランスを整える。
今回はズッキーニ、トマト、ナス、しいたけ、青菜に、コク出しのカマンベールチーズをプラス。小サイズのおひつに入れたご飯は、冷めてもしっとりもちもち。
食パン1枚で作る、適量ホットサンド。
こんなのあると便利、と感心したのが1枚の食パンで作れるホットサンドメーカー。
「栄養バランスを考えた具で作れるホットサンドは、時短料理に役立ちます。でも普通は食パン2枚で作るから、ボリュームがありすぎるけど、これなら適量です。」
「プレートが2つに取り外せるので、小さなフライパンとしても使え、洗いやすい点もいいですね」
検索ワードを駆使し、ネットで逸品を発見。
麻木さんが「これぞ」という調理器具を見つけるのは、日々のネットリサーチの賜物。
「おひとり様用の調理器具は、作りたい料理のほか、〝お弁当〟〝ソロキャンプ〟〝ぴったり〟などのワードを加えてみると、いろいろ出てくるはずです。また話題のアイテムがあってもいきなり買わず、そのメーカーの大本のホームページを見て、商品や作り手の背景を知り、『ここは絶対いいもの作っているな』と納得してから購入しています」
その結果集まった調理器具を、ガスレンジ下の引き出しに取り出しやすいようにまとめて収納。
「どうやったらもっと使いやすくなるか……。この先もまだリサーチは続くと思います」
小さな鍋もガタつかず、火にかけられるミニ五徳。
小サイズの卵焼き器はマルチに活躍。
アウトドアで人気の軽い圧力鍋を発見。
機能と軽さを両立した、大好きな鉄鍋。
『クロワッサン』1101号より