「博物館に勤めてみるといろんな動物を知ることになります。さまざまな繁殖についても。動物にとって次の子孫を残すということは一番本能的で、生物らしい行い。忖度はないし、単純明快。だけどそこにものすごい戦略があるわけです」
頭でっかちになってしまった人間には学ぶことが多い、と田島さん。
「生きることに疲れてしまったり、自ら命を絶ってしまったりと、人はどうしてもまず頭で考えてしまう傾向にある気がするんです。説教くさくはなりたくないですけれど、動物たちを見ていると生きてるだけで楽しそうだし、それだけで実はすごいこと。
でも人間は自分を他人と比べちゃうと、リア充とか承認欲求しちゃうとか、自分も含めて、他者との優劣をつけてしまいがちな生物ですよね。そういうところが人間らしいところではあるのですが」。
楽しそうに見える動物たちも、生きていること自体がすでに大変だったりする。「そういうところを少し、読み取ってもらえれば」
人間界では少子化が大きな問題だが、動物界から学べることは?
「どんどん産もうとは言えない難しい問題なことはわかります。でも生物として、妊娠とか出産をもっともっと楽しめる社会になるといいのになとは思います。子どもがいる風景が当たり前の社会、動物のように多世代が共存して一緒に生きる社会がもっと増えれば、もう少し子どもを育てやすい環境になるのでしょうか」