50歳を過ぎてからの住まいの大改造で、「180度人生が変わった」!
50歳を過ぎて住まいと暮らしを大人仕様に取り戻した、インスタグラマー・しょ~こさんの物語を届けます。
撮影・津久井珠美
2020年の夏。ベランダに椅子を出してお茶を飲みながら、しょ〜こさんは考えた。20年間、インテリア雑誌のライターとして忙しくしてきたが、新型コロナの流行で個人宅の取材が難しくなり仕事が減ってきた。
今後の生活に不安もあるが、同時に気持ちを覆うのは長い時間を過ごすようになった家の居心地がよくないことだ。
住まいは築45年の3DKの団地。シングルマザーとして子ども3人を夢中で育て上げた。
長男次男は独立して家を出て、高校生の娘と2人暮らし。息子たちの居室だった部屋は物置きに。キッチン隣に出しっぱなしのこたつからは、灼けた色のふすまが目に入る。
思いがけず時間のできた今、ここで自分の家に向き合いたいと思った。本当に好きな空間を作ってみよう。
「自分は元からインテリアが好きだったことを思い出したんです」
子どもの頃、折り込み広告の間取り図が好きだった。1畳ほどのプレイスペースを、何度も模様替えして楽しんだ。
「インテリア雑誌の仕事をしているのに、自分の住まいを後回しにしてきてしまったことに今さら気がついて」
どうしても邪魔なふすま。いっそ、取っちゃう?
次は冷蔵庫、その次は本棚。モチベーションを上げるためインスタグラムで片づけの様子を発信した。きちんとするのが苦手なことも隠さず書いたら、共感のコメントが多くついた。
「皆同じなんだと励みになりました」
インスタに上げる写真を撮るとき、どうしても映り込むふすまが重苦しい。キッチンと2つの和室を区切るふすま。和室は自身と娘の部屋で、どちらもモノで溢れている。これを取り払って1つの部屋にしたらどうだろう。
「娘におそるおそる相談したら、窓辺で勉強したいから、自分の部屋が窓側になるならいいよ、って」
3日かけて全て外し、互いの部屋を入れ替えて家具を再配置。間仕切りには本棚とガーゼの布をあしらったところ、ゆるやかに繋がり、風のよく通る心地よい空間が出来上がった。
家族写真も多くは不要。思い出は心の中に。
並行してモノの処分も進めた。
「本当に好きな空間にするには、要らないものをなくさないと無理だなと」
服は、今日明日着ないものは捨てる、くらいの気持ちで。
「〈痩せたら着る〉は本当に禁句(笑)。買ったときの値段を思い出さないこともコツですね」
家族の写真もほとんどを処分。
「思い出はすべて、心の中にありますから」
インスタで発する言葉が自分の思いを明確にする。
昨年の夏、娘が留学のために家を出た。娘の部屋だった窓ぎわのひと間を、自分のくつろぎスペースに。
住まいを大改造したことで、「180度人生が変わりました。生き方も、性格も」としょ〜こさん。好きなものだけが視界にある暮らしは、人生を好転させると語る。一部始終をインスタで発信したことも功を奏した。
「発信には言語化が必要なので、考えがまとまります。自分発見器みたいな」
現在、フォロワーの数は20万人以上。
「今も、私がダメな自分を晒したり、悩んだ記事には多くのいいね!がつきます。ダメでも共感してもらえるならいいや、って。若いフォロワーさんが『こんな楽しい50代があるなら楽しみ』と言ってくれる。この先も楽しいことだけ計画していきたいです」
しょ〜こさんが古いふすまを外して部屋に通した風は、自身の人生を動かして、前に進めているのだった。
『クロワッサン』1090号より