閉経後の女性に多い骨粗しょう症、原因や予防法。
文・山下孝子 イラスト・宇和島太郎、松元まり子
骨粗しょう症(こつそしょうしょう)
骨がスカスカになって強度が下がり、転倒などの軽い衝撃で骨折のリスクが高くなる病気です。
この病気の患者の大半は閉経後の女性ですが、これは骨からカルシウムが溶け出すのを抑制してくれる女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が、閉経によって減少することが関係しています。
ほかにも、加齢による代謝の低下や運動不足、また若いときに行った無理なダイエットによる栄養不足、喫煙、飲酒などが骨粗しょう症の要因とされていますが、病気の治療薬の副作用で骨粗しょう症になるケースもあります。
骨粗しょう症になると、骨が非常にもろくなるため、例えば転倒した際に足の骨を折ったり、それを防ぐために地面に手をついた衝撃で手首の骨が折れたりすることも珍しくありません。
高齢者が足を骨折すると、そのまま寝たきりになるリスクが高くなりますが、骨粗しょう症で特に警戒が必要なのが背骨です。
骨粗しょう症になると、背骨にかかる圧力によって、知らないうちに背骨が潰れるように骨折していることがあり、これを「圧迫骨折」といいます。骨折に気づかないと、放置された背骨は潰れた形でくっついてしまいます。その結果、上半身を支える背骨が曲がってしまったり、背骨が潰れた分だけ背が縮んでしまったりするのです。
そのため、閉経後に背中が丸まったり、身長が縮んだりする症状が現れた場合は、早急に骨粗しょう症の検査が必要になります。
なお、骨粗しょう症の場合は背骨の骨折は背中をぶつけても起こりますので、ぶつけた直後から背中や腰が痛む場合は背骨の骨折を疑うようにしましょう。
ただし、骨粗しょう症になってしまうと、年配者ほど骨の強度を以前の状態に戻すことが難しくなります。そのため、そうなる前の若いうちから、骨密度の低下を予防するための生活習慣を心がけることが大切になってきます。
【背骨の圧迫骨折】
↓
放置すると潰れた状態で骨が固まり背骨が曲がる!
予防法
(1)適度な運動
筋肉を鍛えるだけでなく、骨に刺激を与えて再生を促す。
(2)栄養バランスのよい食事
カルシウムの吸収を促すビタミンDや骨を強くするビタミンKを摂取する。
(3)日光に当たる
日光に当たることで体内でのビタミンDの生成を促す。
(4)年に1度の骨密度検査
年に1度病院で測定し、自分の骨密度を把握しておく。
骨・椎間板・神経に支障が出て痛む腰痛とは?
痛みが出る部位や範囲、また痛みの強さなど、腰痛といっても症状の現れ方はさまざまですが、原因が特定できるかどうかで大きく二分されます。
特定の原因はなく、姿勢の悪さや運動不足、血行不良、肥満、疲労、加齢などの複数の要因が絡み合って発症する腰痛は、原因を特定しにくいため「非特異的腰痛」と呼ばれています。いわゆる一般的な腰痛のことで、正しい姿勢や適度な運動などのセルフケアで改善が可能な腰痛です。
一方、症状や医師の診察・検査によって腰痛の原因と部位が特定できる腰痛は「特異的腰痛(器質的腰痛)」と呼ばれ、非特異的腰痛に比べると少数派になります。
脊柱管狭窄症、変形性脊椎症、腰椎変性すべり症、椎間板ヘルニア、骨粗しょう症といった骨の病気、さらに感染性脊髄炎、外傷、内臓の病気など原因がはっきりしていますが、症状の改善には治療が必要になることが少なくありません。
『Dr.クロワッサン 脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、ぎっくり腰もスッキリ! 腰痛の新常識』(2020年8月27日発行)より。
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