冷蔵庫内の温度の違いやお手入れ方法など、専門家に聞く冷蔵庫Q&A。
最新の冷蔵庫や食品保存に精通した家電ライフプロデューサーの神原サリーさんと料理研究家の島本美由紀さんにそのコツを聞きました。
イラストレーション・ヒラノトシユキ 文・増本幸恵
Q.冷蔵室内の上下で温度差はあるのですか?
A.冷気は下にたまるため、上段と下段では2〜3度違います。
「メーカーにより違いはあるものの、冷蔵室はたいてい3〜6度に設定され、強弱の調整も可能です。
とはいえ、冷気は下降するためにどうしても庫内の上下で温度に差が出てしまう。この温度差を利用した保存を心がけたいですね。果物やケーキなど、冷やしすぎたくないものは一番上の段に。作り置きのおかずは中段に。傷みやすい豆腐や油揚げなどは下段での保存が適しています。
ちなみに、卵をドアポケットに置くのはあまりおすすめできません。これは温度の問題ではなく、ドアの開閉にともなう振動の影響を受けてしまうためです」(島本)
Q.パーシャルとチルドはどう使い分ければいい?
A.パーシャルには肉や魚、チルドには発酵食品が適します。
「パーシャルは約マイナス3度で、食材がわずかに凍る絶妙な温度。冷蔵室やチルドより鮮度を高く保て、肉や魚は約1週間おいしく保存できます。約マイナス18度の冷凍室ではカチコチに凍る肉や魚が、パーシャルならすっと切れるのも便利です。
一方のチルドは約0度で、食材が凍り始める寸前まで冷えた状態。チルドでの保存に向くのは、発酵を抑えておきたいチーズや食べかけのヨーグルト、冷凍させたくない加工食品など。パーシャルがついていない冷蔵庫の場合は肉や魚もチルド保存がおすすめです。その場合は3〜4日で食べきりましょう」(神原)
Q.自動製氷機に浄水を使ってもいい?
A.NGではないけれど、よりこまめな掃除を心がけて。
「自動製氷機は放っておくと水垢やカビが発生してしまうことも。自動製氷機に水道水を推奨しているのは、水道水には雑菌の繁殖を防ぐ塩素が含まれているためです。
ただし、水道水であっても週に一度は給水タンクや製氷皿を取り外して水洗いするのが理想です。製氷機内部の汚れが気になる場合は、市販されている製氷機用の洗浄剤を使うといいですね。
最近の冷蔵庫は自動掃除機能がついているものもあり、お手入れがしやすくなったとはいえ、油断は禁物。浄水器を通した水や市販のミネラルウォーターを使いたい時は、よりこまめな掃除を忘れずに」(神原)
Q.冷蔵庫のイヤなにおい、どうしたら防げますか?
A.まずは汚れを取り除き、消臭剤は下段に置くのが鉄則です。
「冷蔵庫臭のもとは、庫内で固まった食品の液だれや、放置している汚れであることが多いです。
まずはクエン酸を溶いた水やレモン水でそれらの汚れを拭き取り、キムチなどにおいが強い食材は、ホウロウやガラスなどにおい移りのない容器でしっかり密閉保存するようにしましょう。
最近の高性能冷蔵庫には消臭・脱臭機能が付いていますが、市販の消臭剤を置く場所は、冷蔵室の下段でなければ効果が半減。なぜなら、においは冷気と一緒に降りてきて一番下にたまるから。抽出後のコーヒー粉にも消臭効果があるので、乾燥させてから上手に活用しましょう」(島本)
『クロワッサン』1069号より