しなやかで質のいい筋肉を保つ、食べ方の秘訣を公開します。
撮影・黒川ひろみ 文・石飛カノ
食事は太る痩せるという体型変化だけではなく、カラダのやわらかさにも大きな影響を及ぼします。糖質の多い食品や揚げ物などの摂りすぎによるAGEが、筋肉中のコラーゲンの質を低下させてしまうというのが、その理由。
では、具体的にはどんな食事を心がければいいのでしょう? ストレッチ指導をしていただいたスポーツ&サイエンス代表の坂詰真二さんに、ふだん摂っている食事内容をちょっとだけご紹介してもらいました。
理想的な体型と柔軟性を兼ね備えている坂詰さん、
「極端な食事制限はしていないし、サプリ類もあまりとりません」
とのこと。肝心なのは量のコントロール以上に、質のバランスを考えること。
「甘いものはほとんど口にしません。主菜や副菜は生のままか焼く、炒める程度まで。揚げ物はお付き合いの席で食べる程度です」
(昼食 1)野菜どっさりのイノシシ肉のスタミナ焼き定食。
(A)お肉は糖化予防にも大切なビタミンB群を含みつつ、脂少なめのイノシシ肉。
(B)加えて、付け合わせ小鉢のもやしナムル、浅漬けはしっかり食べ、ポテトサラダは減らしてもらいました。
(C)αリポ酸を含む緑黄色野菜のピーマンやニンジンなどの野菜がお肉の下にしっかりあります。鉄板にたまった油脂は、鉄板を傾けて端に寄せて、できるだけ摂らないようにしています。
(D)主食は十穀米で、少なめ盛りにしています。
(E)汁物の海藻で繊維質も十分に摂れています。
昼食1を見てみると、一見がっつり系に見えるものの、主食のごはんとおかずのポテトサラダは減らしてもらうなど、糖質の量をきちんとコントロールしています。
主菜は脂肪の少ないイノシシ肉。イノシシ肉や豚肉には、AGEの生成を抑えたり、AGEの吸収を防ぐといわれているビタミンB群が豊富に含まれています。
また、付け合わせのどっさり野菜にも、抗糖化作用が期待できるαリポ酸を含む緑黄色野菜がたっぷり。満腹感を得ながら、糖化を予防できる食事内容になっています。
(昼食 2)AGEの少ない生の食材が食べられるお刺身定食。
(A)主菜は自分の好みでもありますが、AGEの少ないお刺身。今日はDHA、EPAの多いサーモンとアジのタタキ。料金を追加して、刺身の量を少し増やしてもらっています。
(B)サラリーマンや男子学生が多く、山盛りでご飯が出てくるのですが、私はその半分にしてもらっています。
(C)汁物の海藻(今日はわかめ)で繊維質も十分に摂れています。
(D)野菜は漬物と煮びたしで少なめなので、刺身のツマの大根もしっかり食べました。緑黄色野菜が少ないのでこれは夜に補いました。
(E)タンパク質を補うために、これまたAGEの少ない生卵を一つプラス。
(F)副菜の冷や奴は植物性タンパク質の補給源。
昼食2も主食の量を半分に減らし、主菜はAGEの少ないお刺身。卵や豆腐など複数の食材からタンパク質をしっかりカバーした、バランスのとれた内容です。
さらに、間食もお菓子類ではなく、筋肉の材料であるタンパク質が豊富に含まれているものをしっかりチョイス。
食事会でもハメをはずすことなく、食べる順番を組み立て、血糖値が急激に上がらないような工夫を取り入れています。飲み物はもちろん、ノンアルコールビールだそう。
「栄養バランスをとることに加え、我慢や無理をせず、カラダとココロが満足感を得ることが大事。ベストな状態を維持していくためには、食事も運動も苦行ではダメ。楽しむことが重要です」
(食事会)食べる順番で血糖値の急上昇を防ぐ。
一番の特徴はコースは頼まず、アラカルトにして「飲み物→副菜→汁物→主菜→主食」の順で摂り、全体の栄養バランスを整えつつ、血糖値の上昇をゆるやかにし、満腹感を演出することです。
(A)エスニック系のお店でしたので、まずはオリエンタルサラダと生春巻きで副菜を。
(B)次に汁物のトムヤムクン(左)。それから主菜その1の小籠包。
(C)主菜その2は、串焼きの盛り合わせで、タンパク質を。
(D)主食がガパオライスです。
「抗糖化は工夫次第。 我慢や無理をせず、 楽しみましょう!」(坂詰さん)
『Dr.クロワッサン 何歳からでもカラダはやわらかくなる!』(2019年1月5日発行)より。